トップ 事例を探す 千葉県 【事例】千葉県四街道市の部活動地域展開 ─ 野球1部活動から始める拠点型モデル事業と段階実証
野球 👥 5~10万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 千葉県

【事例】千葉県四街道市の部活動地域展開 ─ 野球1部活動から始める拠点型モデル事業と段階実証

公開:2026.07.24 更新:2026.07.24
この記事でわかること

・野球1部活動から段階的に拡大する四街道市の実証研究方式
・複数校を1拠点に集約する拠点型と、その移動負担への対処
・初年度無償から保険料年800円程度へ段階移行する費用負担設計

自治体名 千葉県四街道市
人口規模 約9.6万人(令和6年3月時点)
中学校数 5校(旭中・千代田中・四街道北中・四街道中・四街道西中)
運営形態 民間事業者「オークス」への委託による拠点型。市内2か所(千代田中・旭中)を拠点に、指導員を各拠点2名ずつ委託業者から派遣。休日(土日いずれか)の地域クラブ活動で、平日は従来どおり学校部活動を継続
対象競技 令和6年度モデル事業は野球(1部活動)、令和7年度は3部活動に拡大
保護者負担額 令和6年度は負担なし(国の支援制度を活用し市が負担)。将来的には保険料年800円程度から段階的に保護者負担を求める方針

取り組みの概要

四街道市は令和5年10月に「部活動地域移行推進協議会」(大学教授・校長代表・部活動顧問代表・保護者代表・スポーツ/文化芸術団体関係者・県総括コーディネーター等 計20名)を立ち上げ、まず休日の部活動の地域移行から検討を開始しました。年度計画は、令和5年度=協議会設置と在り方検討、令和6年度=1部活動(野球)で実証研究、令和7年度=3部活動へ拡大しつつ全部活動移行完了までの推進計画を策定、令和8年度以降=推進計画に基づき順次移行、という段階方式です。令和6年度は野球部活動を千代田中・旭中の2拠点に集約する拠点型で9月から実施しました。全部活動の移行完了時期は現時点で未定としています。

特徴的な取り組み

  • 段階的な実証研究: 「1部活動→3部活動→全部活動」と段階的に実証を積み上げるモデル事業方式。まず野球1種目で成果と課題を整理してから拡大する慎重な設計です。
  • 拠点型による環境確保: 少人数校のデメリット解消を狙い、複数校を1拠点に集約する拠点型を採用。前年度は各校の野球部員数が少なく合同チームもあったため、実践的な練習環境の確保を狙います。
  • 教員の兼職兼業の活用: 希望する顧問教員が市教委に届け出て委託業者に指導者登録することで、地域移行後も従来の指導の連続性を保つ仕組みを整えています。

課題と解決策

課題 解決策
拠点集約による移動負担(西中エリアから千代田中まで片道約7km、交通量の多い道、保護者送迎による駐車場の混雑懸念) 徒歩・自転車・保護者送迎を想定しつつ拠点校と駐車場利用を協議し、大会結果や拠点校行事によっては他中学校の利用も検討
3校合同で40〜50人規模に対し指導員2名で公平な指導ができるか、レギュラーを外れた生徒のモチベーション低下 生徒のレベルに応じたグループ別練習、紅白戦・学年対抗戦の導入、限られた時間での効果的な練習を工夫

成果・効果

令和6年度は野球1部活動での「実証研究」という位置づけで、成果・効果を数値等で総括した公式資料は現時点で確認できません(実証を通じて課題を整理し市に合った移行を進める段階と市教委は説明)。背景として市教委は、①少子化による将来的な活動困難の回避、②教員の働き方改革、③平日と休日で異なる多様な体験機会の確保、を移行の目的として明示しています。

出典

→ 原文: 中学校部活動の地域移行(四街道市公式)

→ 原文: 千葉県の部活動地域移行(地域展開)に関する先行モデル事業(千葉県教育委員会)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

四街道市の設計は「まず1種目で徹底的に検証する」という慎重さが際立ちます。野球1部活動を2拠点に集約して実証し、そこで見えた移動負担や指導体制の課題を整理してから3部活動へ拡大する順序は、失敗のリスクを最小化する堅実な進め方です。特に、教員の兼職兼業を使って顧問が委託業者に指導者登録できる仕組みは、地域移行で最も懸念される「指導の連続性の断絶」を回避する現実的な工夫です。移行時期を無理に確定せず「未定」と正直に示している点も、実証重視の姿勢を裏づけています。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

拠点型の最大のハードルは、四街道市自身が課題として挙げた「移動負担」です。片道7km・保護者送迎による駐車場混雑という具体的な懸念は、拠点校方式を検討するどの自治体にも共通します。導入自治体は拠点の立地選定と送迎・駐車のルールを早期に関係者と協議しておく必要があります。もう一つは費用負担で、四街道市は初年度を国支援で無償にしつつ、将来は保険料年800円程度から段階的に求める道筋を示しています。負担ゼロから始めて徐々に受益者負担へ移す設計は、保護者の理解を得やすい現実的な進め方です。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

大学教授・校長・顧問・保護者・競技団体・県コーディネーターら20名からなる推進協議会を意思決定の中心に据えている点は、多様な立場を反映した透明性の高いガバナンスといえます。国の先行モデル事業の支援を活用して初期費用を抑えつつ、段階的に受益者負担へ移す財源設計も、持続可能性への配慮が見られます。一方で、全部活動の移行完了時期が未定である点は、長期の見通しを関係者に示す上での今後の課題です。

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