トップ 事例を探す 岐阜県 【事例】岐阜県可児市の部活動地域展開 ─ 総合型クラブ「可児UNIC」委託と「指導」先行の段階移行
全種目 👥 10~30万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 岐阜県

【事例】岐阜県可児市の部活動地域展開 ─ 総合型クラブ「可児UNIC」委託と「指導」先行の段階移行

公開:2026.07.22 更新:2026.07.22
この記事でわかること

・可児市が総合型地域スポーツクラブ「可児UNIC」に地域クラブ活動の運営を委託した資源活用型モデル
・「指導」を先行移行し大会参加・監督・施設調整を段階的に移す機能分解アプローチ(令和7年度末完了目標)
・令和4年度からの指導者講習による教育的理解のある指導者の確保・養成と他地域への示唆

自治体名 岐阜県可児市
人口規模 約10万人
中学校数 5校(可児・蘇南・広陵・東可児・中部)
運営形態 総合型地域スポーツクラブ運営型(可児市が可児UNICスポーツクラブに地域クラブ活動の運営を委託)
対象競技 中学校の運動部活動の各種目(休日活動を地域クラブ活動へ移行)
保護者負担額 参加者は可児UNICへ登録し年会費を支払う(受益者負担)

取り組みの概要

可児市は、令和3年3月に「可児市中学生期のスポーツ・文化活動指針」を策定(令和4年3月改定)し、部活動を取り巻く課題と学校の働き方改革を踏まえて、中学生期のスポーツ・文化活動環境の整備に取り組んできました。国・県のガイドラインに沿い、休日の学校部活動を地域クラブ活動へ移行する期限を令和7年度末と定め、令和7年4月には「可児市における部活動改革プラン」を策定して移行の方針を明確化しています。特徴は、地域クラブ活動の運営を総合型地域スポーツクラブ「可児UNICスポーツクラブ」に委託し、参加者はUNICに登録して年会費を支払う仕組みとした点です。令和6年度からは、まず休日の学校部活動のうち「指導」の部分を地域クラブ活動へ移行し、大会参加・監督・施設調整といった他の要素も段階的に移行する計画で進めています。

特徴的な取り組み

  • 総合型地域スポーツクラブ(可児UNIC)への委託運営: 地域クラブ活動の運営を、市内の総合型地域スポーツクラブ「可児UNICスポーツクラブ」に委託。既存の総合型クラブの運営ノウハウを活用し、参加者はUNICへ登録して年会費を支払う受益者負担型の仕組みで、休日の受け皿を担わせています。行政が受け皿を新設するのではなく、既存の地域スポーツ資源を運営主体に据えた設計です。
  • 「指導」から始める段階移行: 令和6年度から、休日の学校部活動の中でも「指導」の部分を先行して地域クラブ活動へ移行し、その後に大会参加・監督・施設調整といった要素を段階的に移していく計画。一気に全機能を移すのではなく、移しやすい部分から着手して令和7年度末の移行完了を目指す、現実的な工程管理です。
  • 令和4年度からの指導者講習: 休日活動の地域移行に備え、令和4年度から指導者講習を継続実施。教育的な理解のある指導者の確保・養成に力点を置き、単なる技術指導者ではなく、中学生の成長に配慮できる指導者を育てる体制を整えています。令和8年度もWEB版の指導者講習を用意し、指導者の裾野を広げています。

課題と解決策

課題 解決策
休日部活動を担う受け皿と運営体制の確保 既存の総合型地域スポーツクラブ「可児UNIC」に運営を委託し、登録・年会費制で運営基盤を確保
指導・大会参加・監督・施設調整を一度に移すのは困難 令和6年度に「指導」部分を先行移行し、他の要素を段階的に移す工程で令和7年度末の完了を目指す
教育的理解のある指導者の確保 令和4年度から指導者講習を継続実施し、教育的理解のある指導者の確保・養成に注力

成果・効果

可児市は、令和3年の指針策定から段階を追って準備を進め、令和7年4月の改革プランで移行方針を明確化し、令和7年度末の移行完了という期限を定めています。最大の特徴は、地域クラブ活動の運営を総合型地域スポーツクラブ「可児UNIC」に委託した点で、既存の地域スポーツ資源をそのまま受け皿の運営主体に据えることで、行政が一から受け皿を作る負担を回避しています。移行は「指導」部分の先行(令和6年度)から始め、大会参加・監督・施設調整を段階的に移すという丁寧な工程で、現場の混乱を抑えています。さらに、令和4年度から指導者講習を継続し、教育的理解のある指導者の確保・養成に早くから着手することで、移行後の指導の質を支える基盤を整えてきました。

出典

→ 原文: 可児市における部活動改革プラン(可児市公式ホームページ)
→ 参考: 可児市中学生期のスポーツ・文化活動指針(令和3年3月策定・令和4年3月改定)、令和8年度地域クラブ活動 指導者講習【WEB版】(可児市公式ホームページ)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

可児市の強みは、地域クラブ活動の運営を既存の総合型地域スポーツクラブ「可児UNIC」に委ねた点です。多くの自治体が受け皿づくりをゼロから始めて苦労する中、可児市は既にクラブ運営のノウハウ・会員基盤・事務体制を持つ総合型クラブを運営主体に据えることで、立ち上げの時間とコストを大幅に節約しました。さらに秀逸なのが「指導」だけを先に移し、大会参加・監督・施設調整を後から移すという分解アプローチです。部活動を「指導・大会・監督・施設」という機能の束と捉え、移しやすい機能から順に切り出すことで、令和7年度末という早い期限に無理なく間に合わせています。総合型クラブが根付いた地域ならではの、資源活用型の好例です。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

総合型クラブ委託モデルは、地域に運営を任せられる総合型クラブが存在することが前提です。総合型クラブが弱い地域では同じ形はとれません。ただし、可児市の「機能を分解して段階移行する」考え方は受け皿の種類を問わず応用できます。導入する場合は、部活動を指導・大会・監督・施設調整に分解し、指導者だけ地域に委ねる段階から始めれば、受け皿が総合型クラブでなくても着手できます。また、可児市が令和4年度から指導者講習を先行実施したように、移行の数年前から教育的理解のある指導者を育てておくことが、どの運営形態でも移行の質を左右する要点になります。参加は年会費制の受益者負担のため、経済的配慮の仕組みも併せて設計しておく必要があります。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

指針(令和3年策定・令和4年改定)と改革プラン(令和7年)で方針を段階的に明文化し、指導者講習を継続実施している点で、計画性とガバナンスは堅実です。運営を総合型クラブに委託し年会費制の受益者負担としたことで、行政の恒久的な運営負担が軽く、持続可能性の面で有利な構造です。一方、受益者負担が前提のため経済的事情による参加格差への配慮が課題であり、また運営を可児UNIC一者に依存する構造は、クラブの体力が受け皿の上限になるリスクもはらみます。指導者講習で育てた人材をどれだけ確保し、UNICの運営規模を休日全部活動をカバーできる水準まで広げられるかが、令和7年度末の完全移行を実効あるものにできるかの分岐点になります。

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