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全種目 👥 30万人以上 🏫 大規模校(300人以上) 📍 岐阜県

【事例】岐阜県岐阜市の部活動地域展開 ─ 保護者クラブと総合型スポーツクラブ並行モデルで休日部活動の段階的移行を推進

公開:2026.04.11 更新:2026.05.27
この記事でわかること

・岐阜県岐阜市が地域移行で直面した課題と具体的な解決策
・運営主体の選択背景と財源確保の工夫
・他の自治体が参考にすべき3つの視点(部活動地域展開ナビの分析)

自治体名 岐阜県岐阜市
人口規模 約40万人(令和5年度時点)
中学校数 22校(市立)
運営形態 保護者クラブ型(主体)+総合型地域スポーツクラブ型(精華・長森日野・三輪の3地域)ハイブリッド
対象競技 運動系・文化芸術系全種目
保護者負担額 「可能な限り低廉な設定」を方針とするが、具体額は調査時点で未公表

取り組みの概要

岐阜市は、令和4年7月にスポーツ庁・文化庁が示した休日部活動の地域移行方針を受け、令和5年4月に「岐阜市中学校部活動指針」を改定するとともに、「岐阜市地域クラブ活動指針」を策定しました。令和5年度からは市のぎふ魅力づくり推進部内に部活動地域移行推進係を新設し、教育委員会・各学校と連携しながら休日部活動の地域移行を推進しています。国が定める改革推進期間(令和5〜7年度)に合わせ、令和7年度末を目標に市内全22校の休日部活動を地域クラブ活動へ移行させることを目指しています。

特徴的な取り組み

  • ハイブリッド運営体制:市内の大半の地域では保護者が主体となる「保護者クラブ」形式を採用しつつ、既存の総合型地域スポーツクラブが整備されている精華・長森日野・三輪の3地域については、種目に応じて総合型地域スポーツクラブへの移行も選択できる2軌道制を設けています。
  • 社会人指導者制度と人材バンク整備:令和5年度から地域クラブ活動における社会人指導者の単独指導を認め、「岐阜市地域クラブ活動社会人指導者」として登録・謝金支払いの仕組みを整備しました。各競技団体・スポーツ少年団指導者や競技経験のある大学生、文化芸術団体指導者など多様な人材を人材バンクとして確保・派遣しています。
  • 指導者ライセンス制度の導入:岐阜県が公益財団法人岐阜県スポーツ協会と連携して指導者育成研修会を開催し、効果的な練習方法・スポーツ医科学・コンプライアンス・体罰防止等を学んだ指導者に「指導者ライセンス」を交付する制度を設けています。
  • 学校施設の開放と文化系への対応:地域クラブが学校施設を利用する際の申請フローを整備し、文化系クラブ向けに音楽室・美術室の用具保管倉庫設置やスマートロック導入による改修も推進しています。
  • 段階的なエリア整理・統合:少子化の進行に伴い、地区の実情に応じた活動地域の整理・統合や他地区との合同クラブによる持続可能な運営体制の構築を視野に入れた計画的な移行を進めています。

課題と解決策

課題 解決策
指導者の確保と質の担保 市公認の社会人指導者登録制度を設け、人材バンクを通じた派遣と謝金支払いの仕組みを整備。指導者ライセンス制度で継続的な資質向上を図る
文化系クラブの活動場所・安全管理の確保 公民館・コミュニティセンター等の公共施設の活用を推進するとともに、学校音楽室・美術室へのスマートロック導入で施設開放と安全管理を両立
少子化による部員減少と活動の持続可能性 地区を越えた合同クラブの編成を認め、複数学校・複数地域による統合クラブの設立を支援することで活動の継続性を確保
保護者の経済的負担 「可能な限り低廉な会費設定」を指針に明記し、加入説明会での丁寧な周知と了解取得を義務付けることで保護者の理解を促進

成果・効果

令和5年度から部活動地域移行推進係を設置し、社会人指導者の単独指導を認める制度を整備した岐阜市では、令和7年度末の休日部活動完全地域移行に向けた体制構築が着実に進んでいます。令和6年2月には市内の小学4〜6年生・中学1〜2年生および保護者を対象に部活動・地域クラブに関する意向調査を実施し、その結果を踏まえた計画の見直しも行っています。また、令和6年10月には岐阜市中学校部活動地域移行検討委員会において市内のエリア分けの検討が行われ、令和7年度からのモデル実施に向けた準備が進められています。

出典

→ 原文: 中学生の休日部活動の地域移行を進めています – 岐阜市公式ホームページ

→ 参考: 岐阜市中学校部活動指針・地域クラブ活動指針(令和5年6月)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

岐阜市が採用した「保護者クラブ」と「総合型スポーツクラブ」の並行モデルは、移行期の過渡的な選択肢として非常に現実的な設計だ。移行に積極的な地域は総合型クラブに委ね、まだ保護者が主体で動ける地域は保護者クラブとして存続させることで、「一律に押しつけない」という配慮が見える。ただし、このモデルは永続させるものではなく、最終的に総合型クラブへ収束させる「出口設計」が最初から組み込まれているかどうかが重要だ。並行期間が長引くと、保護者クラブと総合型クラブの間で待遇差・情報格差が生じ、かえって不公平感を生む可能性がある。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

保護者クラブ方式を選択した地域が後から総合型クラブに移行する際、最も難しいのは「保護者の当事者感が薄れること」だ。自分たちで運営してきた保護者は愛着があるため、外部委託への切り替えに心理的抵抗を感じやすい。対策として、移行後も保護者がボランティアや応援団として関わり続けられる役割を設計しておくことで、スムーズな転換が可能になる。並行モデルを導入する自治体は、最初から「この形はいつまで続けるか」の目標年次を設定しておくことが重要だ。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

保護者クラブは指導者が保護者に依存しているため、子どもの卒業とともに指導者も離れるリスクがある。新入生の保護者が指導経験を持たない場合、クラブの質が低下する悪循環に陥りやすい。総合型クラブへの移行を促進するインセンティブ設計(補助金の傾斜配分など)を行政が仕掛けることで、自然な移行を促す効果が期待できる。

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