トップ 事例を探す 岐阜県 【事例】岐阜県下呂市の部活動地域展開 ─ 会費0円×指導者謝金2,000円×スクールバス土日運行の経済負担行政完全負担モデル
全種目 👥 1~5万人 🏫 小規模校(〜150人) 📍 岐阜県

【事例】岐阜県下呂市の部活動地域展開 ─ 会費0円×指導者謝金2,000円×スクールバス土日運行の経済負担行政完全負担モデル

公開:2026.05.21 更新:2026.05.21
この記事でわかること

・会費0円×指導者謝金2,000円/回の経済負担行政完全負担モデル
・面積851k㎡中山間地での拠点校25クラブ×スクールバス土日運行
・市内1クラブ化(バレー男子)など少人数競技の極端集約モデル

自治体名 岐阜県下呂市
人口規模 28,906人(2024年時点・面積851k㎡)
中学校数 6校(生徒数764人・部活動42部)
運営形態 下呂市教育委員会直営型(拠点校×合同クラブ×スクールバス単価契約)
対象競技 バレーボール・陸上競技・バスケットボール・軟式野球・ソフトテニス・剣道・卓球(7種目)
保護者負担額 会費なし(年額0円・スポーツ安全保険480円/年も市で補助)

取り組みの概要

岐阜県下呂市は、令和6年4月から市内6中学校全42部活動を対象に休日の部活動地域展開を全面実施しました。市教育委員会が運営主体となり、拠点校を中心に近隣校との合同クラブ25クラブを編成。「下呂市の子どもたちを下呂市の指導者全体で支える」を旗印に、生徒の会費を年額0円に設定し、誰もが参加できる環境を整備しました。指導者謝金は1回2,000円(1日3時間以内)と他自治体より高く設定し、78名の指導者(教職員と社会人指導者がほぼ半々)を確保。下呂市6つのコンセプト(やりたいことに挑戦・専門指導・切磋琢磨・指導者やりがい・誰もが参加・経済面)に基づく独自モデルです。

特徴的な取り組み

  • 会費0円の地域クラブ: 全42部活動が会費0円。スポーツ安全保険480円/年も市が補助。「誰もが参加できる(特に経済面)」を6つのコンセプトの1つに据え、家計負担で部活動から離脱しない環境を保障しています。
  • スクールバス単価契約による移動保障: 拠点校から30分以内移動を原則として合同クラブを編成。スクールバスを土日にも運行する単価契約を締結し、競技の違うクラブも練習日を調整して利用率を上げる工夫を実施。路線バスダイヤ改正の協力も得ています。
  • 「下呂市男子バレークラブ」市内1クラブ化: 近隣中学校でも人数が揃わないバレーボール男子は、市内6中学校から1クラブに統合。少子化対応の極端な集約モデルです。
  • 指導者謝金1回2,000円: 他自治体(時給1,000〜1,500円)より高水準で設定し、78名の指導者確保を実現。教職員と社会人指導者がほぼ半々の構成で、連携を密に取りながら活動を進めています。
  • 年3回の指導者研修会: パリパラリンピック日本代表強化リーダー富川理充氏の「日本代表選手におけるコーチングのポイント」(参加者72名)、株式会社キーマイン長峯誠氏の「食育&遺伝子栄養セミナー」(67名)など、勝利至上主義ではなく教育的指導の観点で研修を企画。

課題と解決策

課題 解決策
4町1村統合(平成16年)で生徒数1,160人→764人に減少した中での部活動維持 拠点校6校×合同クラブ25クラブ化で活動可能数を確保・市内1クラブ化(バレー男子)も実施
面積851k㎡・南北に長い地理での移動費負担 スクールバス単価契約・路線バスダイヤ改正交渉・公共交通機関使用料を市が負担
地域クラブと学校部活動の二重構造の運営 協議会・校長会・指導者協議で連携を継続。指導者謝金財源確保が次年度以降の焦点

成果・効果

F中学校保護者アンケートでは「目標をもって向かわせ、仲間のつながりを大切にした部活動ができている」が4件法で3.4を獲得。A中学校生徒の「部活動(クラブ)に積極的に取り組んでいる」は肯定的評価84.7%、C中学校生徒「一生懸命練習している」は5件法で4.8。生徒数が年々減少する中、合同部活動での他校生徒との交流を保護者が好意的に評価しています。中体連の全国・東海大会出場合同チームも誕生し、生徒の活動機会を維持しながら教員働き方改革を推進する両立が実現しています。

出典

→ 原文: スポーツ庁 令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業 下呂市実証事業報告書

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

下呂市の特徴は「会費0円×指導者謝金2,000円/回」という、経済負担を完全に行政が引き受けるモデルです。受益者負担ゼロは持続性面では弱いが、移行初年度の参加率最大化・経済的体験格差ゼロを優先する明確な戦略選択です。スクールバス土日運行・路線バスダイヤ改正交渉まで踏み込んだ移動保障も、面積851k㎡の中山間地ならではの本気度を示しています。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

会費0円モデルを再現する際の最大の壁は、国実証事業終了後の財源確保です。下呂市は次年度以降「指導者謝金、生徒の移動、総合型地域クラブとの更なる連携」を修正課題に挙げており、無料モデルの段階的変更は避けられない見通しです。新規導入する場合、初年度は会費0円で参加率最大化→2年目から月会費500円程度を導入→3年目で1,000円という3段階方式が現実的です。市内1クラブ化のような大胆な集約も少人数競技で検討すべきです。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

教育委員会直営型のため意思決定速度は速く、初年度から全6中学校42部活同時展開を実現できた点はガバナンス評価が高いです。一方、指導者謝金と移動費を全額公費負担する財政負担は大きく、市自身が「総合型地域クラブとの更なる連携」を次の打ち手として挙げています。会費0円維持と財源確保のバランスが今後5年間の試金石です。

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