【事例】埼玉県戸田市の部活動地域展開 ─ 6中学校101部活動の検討委員会(R6.2設置)・リーフプラス社委託・ふるさと納税クラファンで実装財源確保
・埼玉県戸田市の部活動地域展開の地域展開で直面した課題と解決策
・運営主体の選択背景と財源確保の工夫
・他の自治体が参考にすべき視点
| 自治体名 | 埼玉県戸田市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約14.0万人 |
| 中学校数 | 市立中学校6校(101部活動:運動71・文化30) |
| 運営形態 | 市教育委員会主導/R6.2検討委員会/リーフプラス株式会社委託で実証事業/ふるさと納税クラファンで財源確保 |
| 対象競技 | 令和5年度3中学校4部活動→令和6年度規模拡大 |
| 推進体制 | 令和6年2月検討委員会設置→令和5・6年度実証事業実施 |
取り組みの概要
戸田市は、令和6年2月に検討委員会を設置し、市立中学校における部活動の地域移行・地域連携の在り方を、現状・課題を踏まえて総合的に検討している。市内には市立中学校6校があり、運動部71・文化部30の合計101部活動が存在する。少子化の影響を受けつつあるとはいえ、野球・サッカーなど一部の運動部では学校単独でチームを組成するのに必要な部員数を確保できないという状況が顕在化している。
実証事業では、令和5年度にリーフプラス株式会社に委託する形で3中学校4部活動で地域移行活動を実施。令和6年度には地域スポーツクラブ活動への移行を進める実証事業を実施し、規模を拡大している。さらに、戸田市は「戸田市から日本の教育を変える」というコンセプトのもとで、ふるさと納税を活用したクラウドファンディングを実装し、部活動の地域移行と学びの未来を実現するための財源確保にも取り組んでいる。埼玉県は国が令和4年12月に策定した総合的なガイドラインを踏まえ「埼玉県地域クラブ活動推進計画」を策定しており、戸田市はその枠組みの中で実装を進めている。
特徴的な取り組み
- 令和6年2月検討委員会設置: 市立中学校の部活動地域移行・地域連携の在り方を総合的に検討する委員会を令和6年2月に設置。
- 101部活動の定量把握(運動71・文化30): 市立中学校6校・101部活動という具体的な対象規模を可視化して計画立案。
- リーフプラス株式会社への業務委託: 令和5年度に3中学校4部活動で実証事業を委託実施し、令和6年度に規模拡大。
- ふるさと納税クラファンで財源確保: 「戸田市から日本の教育を変える」コンセプトでクラウドファンディングを実装し、地域移行の財源を確保。
- 埼玉県地域クラブ活動推進計画との整合: 国・県の枠組みと整合させつつ、市独自の実装を進める2層構造。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 少子化で部員数が学校単独で不足(野球・サッカー等) | 令和5・6年度の実証事業で複数校合同・地域クラブの運用を試行し、最適形態を検証 |
| 市職員のみでは実装ノウハウ不足 | リーフプラス株式会社に業務委託し、専門事業者のノウハウで実証事業を運営 |
| 実装財源の確保 | ふるさと納税のクラウドファンディングを「戸田市から日本の教育を変える」コンセプトで実装し、市民・市外からの財源を確保 |
| 運動・文化101部活動の体系的把握 | 運動71・文化30の内訳を可視化し、種目別の課題評価と段階移行計画の立案に活用 |
成果・効果
戸田市の取り組みは、人口14.0万人・中学校6校・101部活動の自治体が「検討委員会+専門事業者委託+クラファン財源」を組み合わせた実装プロセスを示している点で参照価値が高い。とくに、ふるさと納税を活用したクラウドファンディングで部活動地域移行の財源を確保する設計は、全国でも先進的な事例である。「戸田市から日本の教育を変える」というコンセプトを掲げることで、市民・市外の支援者を巻き込みやすくしている。
リーフプラス株式会社への業務委託も実務的である。市職員のみで実証事業を運営する場合、人員・ノウハウの両面で限界があるが、専門事業者に委託することで、運営ノウハウを早期に確立できる。令和5年度3中学校4部活動→令和6年度規模拡大という段階拡大計画も、リスク管理の観点で実務的である。101部活動(運動71・文化30)という対象規模を可視化することで、種目別・領域別の課題評価と段階移行計画の立案に活用できる構造になっている。
出典
→ 原文: 部活動の地域展開について – 戸田市教育委員会ホームページ
→ 原文: 令和6年度地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業 埼玉県戸田市(スポーツ庁)
→ 原文: 学校部活動の地域移行及び地域連携に向けた取組 – 埼玉県
💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント
戸田市の事例で最も参照価値が高いのは、ふるさと納税のクラウドファンディングを部活動地域移行の財源として活用している点である。地域移行は財源確保が大きな課題だが、市の一般財源だけに依存すると財政事情で削減リスクがある。クラウドファンディングで市民・市外の支援者を巻き込むことで、財源の多様化と「戸田市から日本の教育を変える」というブランディング効果を同時に得ている。
リーフプラス株式会社への業務委託は、市職員のみで実証事業を回す限界を補う実務的な選択である。市単独で運営ノウハウを蓄積するには時間がかかるが、専門事業者の知見を活用することで、早期に実証事業を運営できる。導入する自治体は、市職員の業務量と専門事業者の知見を組み合わせる発想を採る価値がある。
101部活動(運動71・文化30)という対象規模の可視化は、計画立案の出発点として実務的である。「市内に何部活動があるか」を把握しないまま地域移行を議論する自治体が多い中、戸田市は対象を具体的な数字で示している。これにより、種目別・領域別の課題評価と段階移行計画が立案しやすくなる。
📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策
①ふるさと納税クラファンは、寄付の継続性が保証されない。初年度は注目を集めて寄付が集まっても、2年目・3年目に寄付額が減少するリスクがある。導入する自治体は、クラファンを補完財源と位置づけ、市の一般財源と組み合わせる設計が必要である。
②専門事業者への業務委託は、委託先の選定と仕様書作成が成否を分ける。リーフプラス株式会社のような専門事業者は限られており、競合自治体との委託先の取り合いになる可能性もある。導入時は委託先の選定基準(実績・体制・コスト)を明確化し、複数候補を比較する手順が望ましい。
③101部活動の対象規模可視化は、種目別・領域別の課題評価につながる必要がある。「101部活動ある」と把握するだけでは計画立案に活かせず、種目別の部員数推移・指導者状況・大会出場実績などをセットで把握する必要がある。導入する自治体は、対象規模だけでなく、種目別の現状指標を一体で整備する設計が望ましい。
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