トップ 事例を探す 石川県 【事例】石川県志賀町の部活動地域展開 ─ 2中学校372人・「子供を地域で育てる」意識醸成・部活動顧問が地域指導者の橋渡し役・R6.6土曜試行開始
バレーボール 👥 1~5万人 🏫 小規模校(〜150人) 📍 石川県

【事例】石川県志賀町の部活動地域展開 ─ 2中学校372人・「子供を地域で育てる」意識醸成・部活動顧問が地域指導者の橋渡し役・R6.6土曜試行開始

公開:2026.05.16 更新:2026.05.16
この記事でわかること

・石川県志賀町の地域移行で直面した課題と解決策
・運営主体の選択背景と財源確保の工夫
・他の自治体が参考にすべき視点

自治体名 石川県志賀町
人口規模 約1.7万人
中学校数 公立2校(志賀中学校・富来中学校)・全生徒数372人・18部活動
運営形態 志賀町教育委員会主導(行政職員1名による総括+運営コーディネーター・町スポーツ協会・町文化協会・教員連携)
対象競技 バレーボール(先行1クラブ)
保護者負担額 なし

取り組みの概要

石川県志賀町は、人口減少と少子化により生徒数の減少が進み、多様な部活動を維持できない中学校が出てきています。生徒数の減少は今後も見込まれ、部活動の在り方の見直しが必要な状況です。同町は令和5年9月に部活動の地域移行に係るアンケートを実施、令和5年11月および令和6年11月に部活動検討委員会を開催し、令和6年6月から土曜日部活動の地域移行の試行を開始しました。

同町の特徴は、「子供を地域で育てる」意識の醸成を町部活動検討委員会や町スポーツ協会理事会等の会合の機会を捉えて進める姿勢。さらに、町のスポーツ団体の会員に地域スポーツクラブの指導者としての役割を理解してもらうために、中学校部活動の練習の視察を経て、徐々に指導に入るようにしてもらう設計を採用しています。土曜日の部活動において月1回程度、視察・指導を実施し、生徒と地域の指導者をつなぐ役割を部活動顧問に依頼するなど、橋渡し型の運営を進めています。

特徴的な取組

  • 「子供を地域で育てる」意識醸成: 町部活動検討委員会や町スポーツ協会理事会等の会合の機会を捉えて、部活動の地域移行の必要性と意義について説明し、関係者の意識醸成を継続的に実施。
  • 視察→徐々に指導の橋渡し型移行: 町のスポーツ団体の会員に中学校部活動の練習の視察を経てから徐々に指導に入ってもらう設計。地域指導者の心理的ハードルを段階的に下げる工夫。
  • 部活動顧問が地域指導者の橋渡し役: 生徒と地域の指導者をつなぐ役割を部活動顧問に依頼。教員のノウハウを地域移行に活かす設計。
  • 令和5年9月アンケート→令和5・6年11月検討委員会→令和6年6月試行開始: 計画的な準備プロセスを経て、令和6年6月から土曜日部活動の地域移行の試行を開始。
  • 志賀町スポーツ文化クラブ(領域別クラブ・種目別クラブ): 町スポーツ協会・町文化協会・教員の3者連携でスポーツ文化クラブを運営し、領域別・種目別の両方で柔軟な活動を展開。
  • 2中学校(志賀中学校・富来中学校)体制での地域クラブ整備: 2校体制でスポーツ文化クラブを展開し、両校生徒の参加を可能化。
  • 参加費なし: 試行期間中は参加費なしで実施し、地域クラブへの参加ハードルを最小化。
  • 町スポーツ協会・町文化協会・教員の指導者派遣: 行政職員(志賀町教育委員会)が総括コーディネーター・コーディネーターを担当し、町スポーツ協会・町文化協会・教員が指導者を派遣する連携モデル。

課題と解決策

課題 解決策
生徒数の減少により多様な部活動を維持できない中学校がある 令和5年9月アンケートで実態把握、令和5・6年11月検討委員会で方針整理、令和6年6月から土曜日試行開始という計画的展開
指導する人材の確保が最大の課題 町スポーツ団体の会員に視察→徐々に指導に入る橋渡し型のアプローチで心理的ハードルを下げる
地域移行の意義の関係者理解 町部活動検討委員会や町スポーツ協会理事会等の会合で「子供を地域で育てる」意識醸成を継続実施
顧問教員と地域指導者の橋渡し 生徒と地域の指導者をつなぐ役割を部活動顧問に依頼し、教員ノウハウを地域移行に活用
地域指導者の質の担保 土曜日の部活動において月1回程度、視察・指導を実施し、地域指導者が中学生指導に慣れる機会を提供
家計の経済負担 試行期間中は参加費なしで実施し、地域クラブへの参加ハードルを最小化

成果・効果

令和6年6月から土曜日部活動の地域移行の試行を開始し、バレーボールクラブで月1回程度の活動を実施。指導者1名・運営スタッフ1名(行政職員)で運営し、各学年クラブで3年6人・2年7人・1年5人と着実な参加を確保しました。「子供を地域で育てる」意識を町部活動検討委員会・町スポーツ協会理事会等で継続的に醸成し、町スポーツ団体の会員が視察を経て徐々に指導に入る橋渡し型移行を実現。志賀中学校・富来中学校の2校体制で「志賀町スポーツ文化クラブ」を運営する基盤を整備し、令和7年度以降の本格展開に向けた段階を着実に進めています。

出典

→ 原文: スポーツ庁「令和6年度 地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業 石川県(成果報告書概要)」

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

志賀町の事例で最も注目すべきは、「視察→徐々に指導に入る」という橋渡し型の地域移行モデルです。多くの自治体が「指導者を確保して即指導開始」を急ぐなか、志賀町は町スポーツ団体の会員に「まず練習を視察してもらう」段階を設けることで、地域指導者の心理的ハードルを段階的に下げています。地域指導者にとっても、中学生指導の経験がない人ほど「いきなり指導者として責任を持つ」ことに抵抗感があるため、この設計は人材確保上極めて重要です。

もう一つの特徴は、「部活動顧問が地域指導者の橋渡し役」を担う設計です。顧問教員の業務を否定するのではなく、教員ノウハウを地域移行のソフトランディングに活用する姿勢は、教員・地域指導者・生徒の三者にとってWin-Winとなる構造を作っています。「子供を地域で育てる」というメッセージも、町スポーツ協会理事会等の会合で繰り返し発信されることで、関係者の意識を徐々に変えていく細やかな運営が機能しています。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

「視察→徐々に指導に入る」橋渡し型モデルを採用する場合、視察期間と本格指導開始のタイミングを明確に設計する必要があります。志賀町は土曜日に月1回程度の視察・指導を継続していますが、視察者が「指導者として責任を負う」段階への移行ルールを明文化することで、関係者の不安と曖昧さを解消できます。部活動顧問が橋渡し役を担う場合、顧問教員の業務負担が一時的に増える可能性があるため、業務時間・代替手段(担当時間の削減等)を予め整理することが教員の協力を引き出す鍵となります。参加費なしの試行期間は財政負担が比較的軽いですが、令和7年度以降の本格展開時の料金設計を並行検討することが必要です。

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