【事例】兵庫県宝塚市の部活動地域展開 ─ 「ZUKAッチャ」で12校統合・令和5年度サッカー先行移行から令和8年度全面移行・受益者負担月3,000〜5,000円モデル
・宝塚市が令和5年度に廃部サッカー部の地域クラブ再開からスタートした経緯
・ZUKAッチャポータルによる12校一体管理と月3,000〜5,000円の受益者負担設計
・令和6年度全校1種目移行・令和8年度全面移行という段階的ロードマップ
| 自治体名 | 兵庫県宝塚市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約22万人(2024年時点) |
| 中学校数 | 12校(市立中学校) |
| 運営形態 | スポーツ団体・文化芸術団体・地域まちづくり協議会等への委託(ZUKAッチャポータルで一元管理) |
| 対象競技 | サッカー(令和5年度先行)・バレーボール・バドミントン・陸上・バスケットボール・ソフトテニス・ドローンサッカーほか |
| 保護者負担額 | 月額3,000〜5,000円程度(スポーツ保険・指導者保険・活動費含む、クラブにより異なる) |
取り組みの概要
兵庫県宝塚市は人口約22万人・市立中学校12校を抱える阪神地域の中核都市で、令和4年5月時点で全生徒5,270人のうち部活加入者は4,324人(加入率82%)・部数143部という活発な部活動文化を持つ自治体である。一方で少子化の進行により部員数・指導者数が減少し、廃部となる部活も生じてきた。令和4年度に廃部となった中山五月台中学校のサッカー部を、地元クラブ「コニーリョ中山FC」が引き受け令和5年4月から地域クラブとして再開したことが宝塚市における地域移行の最初の具体的な一歩となった。市はこの取り組みを「ZUKAッチャ」という愛称のポータルサイトで情報発信し、令和6年度には全12校の部活動で少なくとも1種目の地域移行を開始、令和8年度に全面地域移行を完了する方針を進めている。
特徴的な取り組み
- 「ZUKAッチャ」ポータルサイトによる情報一元化: 「宝塚(ZUKA)の子どもたちに様々な活動にチャレンジ(チャ)してほしい」という願いを込めた愛称「ZUKAッチャ」のポータルサイトを開設し、全12校の地域クラブ情報・施設・種目・体験参加情報を一元提供している。保護者・生徒が自分に合ったクラブを探せる利便性の高いシステムとなっている。
- 廃部部活の地域移行による再開(コニーリョ中山FCモデル): 令和4年度に廃部となった中山五月台中学校サッカー部を、地元スポーツクラブのコニーリョ中山FCが令和5年4月から「中山五月台FC」として地域移行・再開した。廃部により「サッカーができない」という状況に置かれた生徒の救済と、地域クラブ移行のモデル実証を同時に実現した先駆的事例である。
- 受益者負担原則による持続可能な財政設計: 会費(保護者負担)については「原則、受益者負担とする」方針を明示し、月額3,000〜5,000円の範囲で各クラブが徴収する形をとっている。移行期間中の保険料(JSCの対象外となる分)は行政が補助(800円/年)しながら、運営の長期的自立を目指している。
- 令和6年度から全12校で少なくとも1種目を地域移行: 令和5年度のモデル実施を検証し、令和6年度からは市内全12校の部活動で少なくとも1種目は地域移行を開始するという具体的な数値目標を設定した。段階的な「全校展開」という明確な工程表が全教員・保護者に対して計画の確実性を示している。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 廃部による生徒のスポーツ機会喪失 | 地元クラブ(コニーリョ中山FC等)が地域クラブとして廃部部活を引き受け、生徒が希望する競技を継続できる環境を確保 |
| 地域移行後の各種大会(中体連)出場資格 | 中体連等へのクラブチームの参加を要件見直しとして検討し、地域クラブ生徒が大会に出場できる仕組みを整備 |
| 保護者負担の増加と財政的持続可能性 | 受益者負担原則を明示しつつ、移行期間中の保険料を市が補助(800円/年)して過渡期の負担を緩和 |
| 12校・多種目の情報を保護者が把握しにくい | ZUKAッチャポータルサイトとZUKAッチャフェスタ等のリアルイベントで周知・体験機会を創出 |
成果・効果
令和5年度に中山五月台中学校のサッカーを「コニーリョ中山FC」として地域クラブに移行し、廃部となったサッカー部の活動再開に成功した。以後、ZUKAッチャポータルサイトに登録された地域クラブが順次増加し、男子バレーボール・バドミントン(複数クラブ)・ソフトテニス・陸上・バスケットボール・ドローンサッカーなど多様な種目のクラブが展開している。令和6年度には全12校での少なくとも1種目地域移行が目標とされており、令和8年度の全面移行に向けた体制整備が進んでいる。部活加入率82%という高い参加意欲を地域クラブ移行後も維持できるかが今後の焦点となっている。
出典
→ 原文: 宝塚市公式サイト 中学校部活動地域移行について
→ 参考: 宝塚市予算特別委員会追加資料(令和5年3月・地域移行計画・スケジュール)
💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント
宝塚市の取り組みで際立っているのは「廃部した部活動の救済」を地域移行の最初の一歩として活用した点です。廃部は生徒にとって大きな喪失体験ですが、その喪失をきっかけに地域クラブという新たな受け皿を作ることで、地域移行の意義と緊急性を関係者に具体的に示すことができました。「まず廃部となった種目から始める」という選択は、反発を最小化しながら制度の必要性を可視化するという点で示唆に富むアプローチです。
また「ZUKAッチャ」という市独自の愛称とポータルサイトの整備は、単なるブランディング以上の意味を持ちます。12校という多数の学校・多様な種目の地域クラブ情報を一元管理し、保護者・生徒が自由に検索・比較・申し込みできる仕組みを整えることは、地域クラブ活動が「学校の外に逃げた部活動」ではなく「選択肢が広がった新しい活動」として受け入れられるかどうかを左右します。地域移行が定着するには、制度の整備だけでなく、利用者の体験設計という視点が不可欠であることを宝塚市の事例は示しています。
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