トップ 事例を探す 京都府 【事例】京都府福知山市の部活動地域展開 ─ 参加費ゼロの「ホリデークラブ」7種目・9校対応と総括コーディネーター3名体制で段階拡大
全種目 👥 5~10万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 京都府

【事例】京都府福知山市の部活動地域展開 ─ 参加費ゼロの「ホリデークラブ」7種目・9校対応と総括コーディネーター3名体制で段階拡大

公開:2026.05.03 更新:2026.05.03
この記事でわかること

・福知山市が参加費ゼロ・9校全対象で運営する「ホリデークラブ」の2種目→7種目への段階拡大の経緯
・総括コーディネーター3名配置と各競技連盟連携で兼業兼職教員割合を半数超→30%に削減した指導者確保の仕組み
・小学5・6年生向け体験会による次世代参加者育成と、旧校舎を活用した地域クラブ普及アプローチ

自治体名 京都府福知山市
人口規模 約7.5万人(74,513人)
中学校数 9校(生徒数1,928人)
運営形態 福知山市教育委員会(市町村直営・「ホリデークラブ」として運営)
対象競技 サッカー・ソフトボール・バスケットボール男女・剣道・バレーボール男子・文化部(計7種目)
保護者負担額 参加費なし(スポーツ安全保険800円/年別途)

取り組みの概要

福知山市は人口約7.5万人、京都府内では3番目に広い市域を持つ北近畿の中核都市です(令和6年度)。公立中学校9校に1,928名の生徒が在籍し、軟式野球・ソフトボール・バレーボール女子・バスケットボール男女・ソフトテニス男女・卓球男女・陸上競技男女・柔道・剣道・サッカーの10種目80部活が活動しています。少子化による単独チーム編成困難と地域クラブへの登録増加、そして市域の広さによる送迎問題が移行を複雑にする構造的課題となっています。

令和5年度に「ホリデークラブ」という名称でサッカーとソフトボールの2種目から地域クラブ活動を開始。令和6年度はスポーツ庁の実証事業に参加し、バスケットボール男女・剣道・バレーボール男子を追加した6クラブ体制(計7種目)に拡大しました。令和6年6月に総括コーディネーター3名を配置し、年6回の検討会議と並行して各競技団体・連盟との連携を強化。市内9校の全生徒を対象に、参加費無料(スポーツ安全保険のみ実費)で月2〜4回の活動を提供しています。

運営体制は福知山市教育委員会学校教育課が事業設計・費用支払い・関係団体との調整を担い、各競技連盟・協会が指導者の派遣と活動運営を担う二層構造です。指導者33名・運営スタッフ6名の体制で、令和6年6月(サッカー先行)から令和7年3月まで活動を継続しました。

特徴的な取り組み

  • 参加費ゼロ・全9校対象の「ホリデークラブ」による裾野の広い参加設計:保護者負担をスポーツ安全保険(800円/年)のみとし、参加費を徴収しない運営モデルを採用。市内9校全生徒がアクセスできる体制で、地域移行への参加障壁を最小化しました。バスケットボール女子の1年生16名・サッカーの計13名など複数種目で二桁の参加者を確保しています。
  • 令和5年度2種目→令和6年度7種目への段階拡大と指導者の兼業兼職30%化:サッカー・ソフトボールの2種目でノウハウを蓄積したうえで、令和6年度に新規4種目を追加。指導者確保も進化しており、令和5年度には半数以上を占めた兼業兼職教員の割合を30%まで削減。各種目連盟・協会からの専門指導者派遣へシフトし、教員負担の実質的な軽減を実現しました。
  • 総括コーディネーター3名体制による9校・33指導者の一元管理:令和6年6月に総括コーディネーター3名を配置し、コーディネーター会議を随時開催。各クラブの現状把握・問題共有を行い、校長会・教頭会・市内高校・公立大学との意見交換も実施しました。特に大学との連携により、新種目創設や合同練習の方向性が見えるなど、体制強化の成果が出ています。
  • 小学5・6年生対象の部活動体験会でパイプライン形成:令和7年1月25日、旧津賀小学校を活用した「S-LAB」でサッカー・ソフトボール・バスケットボール男女・剣道・バレーボール男子の5種目を体験できる「中学校部活動体験会」を開催(参加費無料)。参加者からは「いつもとは違うスポーツができて楽しかった」「中学生になってもやってみたい」という声が寄せられ、地域移行の周知と次世代参加者の獲得に機能しました。

課題と解決策

課題 解決策
市内が広域で合同活動時の生徒の移送が困難(スクールバス活用不可) 保護者送迎を主な移動手段として運用しつつ、次年度以降に保護者送迎以外の移動手段確保を検討中。各種目の活動場所を中学校体育館・グラウンドに設定し移動距離を最小化
指導者の量的確保と教員の兼業兼職への依存 各種目連盟・協会との連携強化により、協会推薦指導者の割合を拡大。令和6年度に兼業兼職教員の割合を令和5年度の半数超から30%へ削減。次年度は人材バンクの検討を進める
種目によって参加者数が伸び悩む(バレーボール男子7名・剣道18名等のばらつき) 各競技連盟と連携して種目の充実を図るとともに、小学生対象の体験会で次世代参加者を育成。バレーボール男子・剣道は「学校部活とは違う種目」として参加した生徒が多く、新たな需要の掘り起こしとして位置づける
各種目の協会・連盟役員の高齢化により運営担当が困難 公立大学・市内高校との意見交換を行い、新たな種目創設や合同練習の実施など、既存団体以外の担い手発掘に向けた方向性を検討。事業運営の一部を民間事業者へ委託することも検討中

成果・効果

令和6年度は6クラブ(7種目)が稼働し、指導者33名・運営スタッフ6名体制で9校の生徒を対象にホリデークラブを実施しました。令和5年度の2種目から令和6年度には7種目へと拡大し、学校部活動とは異なる種目(バレーボール男子7名・剣道1名)に参加する生徒が現れ、生徒の多様性が広がりました。検討会議を年6回開催し、校長会・教頭会・中体連・市内高校・公立大学との広範な意見交換により現状把握が進み、基本計画を令和7年度中に策定する方針が固まっています。

指導者確保面では、新規種目の剣道で剣道連盟から選出された専門指導者5名が担当し、「兼業兼職なし」での専門競技指導を実現。既存部活では専門外競技の顧問をしていた教員が兼業兼職申請を行い、専門種目の指導を担えるようになるという副次効果も生まれています。小学生向け体験会(令和7年1月)では9名が5種目をローテーション体験し、中学進学後の参加意向醸成につながりました。

出典

→ 原文: 令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業 実証事業報告書(京都府・福知山市・舞鶴市・綾部市)|スポーツ庁

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

福知山市の最も注目すべき設計は「参加費ゼロ」の徹底です。保護者の費用負担についてアンケートを取ると「1回500〜1,000円が上限」という回答が多く出ますが、福知山市はスポーツ安全保険(800円/年)のみを実費負担とし、活動費は全額行政が負担する形を選択しました。これにより参加への経済的障壁を取り除き、複数種目で二桁の参加者を確保しています。「参加費をどう設定するか」は各地域の課題ですが、実証段階では参加費ゼロで裾野を広げ、将来的な費用負担の在り方を検討するアプローチは参考になります。

「令和5年度2種目→令和6年度7種目」という段階拡大の実績は、急いで全種目を一気に移行しようとせず、運営体制のキャパシティに合わせて拡大するアプローチの有効性を示しています。新規種目の指導者確保では、連盟・協会から専門性と人間性を兼ね備えた指導者を推薦してもらうことで、兼業兼職教員への依存を3年間で半数超→30%にまで削減できました。これは「教員の負担軽減」という地域移行の本来目的を着実に達成している証拠です。

小学5・6年生を対象とした「部活動体験会」の設計は戦略的です。地域クラブへの参加者数を増やすためには、現在の中学生だけでなく、中学校入学前の子どもたちに地域クラブの存在を認知させ、参加意向を育てることが重要です。旧校舎(S-LAB)を会場にした体験会は、施設の有効活用と将来の参加者育成を同時に実現するモデルとして、他地域でも応用できる発想です。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

「参加費ゼロ」モデルの最大の課題は財源確保です。福知山市の場合は市教育委員会が費用を全額負担していますが、スポーツ庁の実証事業補助金が財源の柱になっている点には注意が必要です。実証期間終了後の持続可能な財源設計(参加費の段階的導入、市単独予算、スポーツ振興くじ等)を早期に検討しておく必要があります。また、広域市町村では移送問題が常に課題となります。福知山市は保護者送迎を前提としつつ、複数校の生徒が通いやすい会場配置(中学校体育館・グラウンド)を選んでいます。スクールバスの活用が難しい場合は、地区ごとに複数の活動拠点を設けるか、自転車圏内の会場設定を検討するのが現実的です。

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