トップ 事例を探す 愛知県 【事例】愛知県大府市の部活動地域展開 ─ 民間事業者TRILLと大学研修・地域巡回の3層管理体制・参加費無料で令和7年8月に「オールおおぶ」全面実施へ
全種目 👥 5~10万人 🏫 大規模校(300人以上) 📍 愛知県

【事例】愛知県大府市の部活動地域展開 ─ 民間事業者TRILLと大学研修・地域巡回の3層管理体制・参加費無料で令和7年8月に「オールおおぶ」全面実施へ

公開:2026.05.03 更新:2026.05.03
この記事でわかること

・愛知県大府市が民間事業者TRILL×大学研修×地域巡回LISOBUの3層体制で地域クラブを運営する仕組み
・「あいち地域クラブ活動人材バンク」活用と「部活アプリ」試験導入で解決した指導者確保・連絡管理の課題
・令和7年8月の「オールおおぶ」全面実施に向けた段階的ロードマップ

自治体名 愛知県大府市
人口規模 約9.2万人
中学校数 3校(生徒数2,784名)
運営形態 民間事業者(TRILL株式会社・大府市教育委員会からの委託)
対象競技 サッカー、バスケットボール、卓球(計6クラブ)
保護者負担額 0円/年(実証事業期間は無料)

取り組みの概要

大府市は愛知県南部の知多半島北部に位置する人口約9.2万人の市で、公立中学校3校に2,784名の生徒が在籍し(令和6年度)、45の運動部活動が活動しています。各校はいずれも生徒数が多く、単独で部活動を実施できる規模を維持してきましたが、少子化への備えと教員の働き方改革の観点から地域移行を検討。令和6年度はスポーツ庁の実証事業として、民間事業者に業務を委託し「おおぶ地域クラブ」を立ち上げました。

大府市の最大の特徴は、運営管理を民間事業者TRILLが統括する三層構造の管理体制です。TRILL本体がクラブ運営全般・指導者管理・生徒管理・費用管理等を担い、研修部門(大学との連携)が指導者育成を、地域管理部門LISOBUがクラブ巡回・運営サポート・スケジュール調整を担います。教育委員会は地域移行コーディネーターを配置し、学校や市内団体・大学との調整役を担っています。

令和6年度の実証事業では3校・6クラブ(サッカー・バスケットボール・卓球)を実施し、月3回程度の活動を行いました。参加費は0円で、指導者12名・運営スタッフ4名体制で運営。また、出欠管理・保護者連絡・スケジュール管理を一元化する「部活アプリ」の試験導入を実施しました。令和7年8月からは市内全体での「オールおおぶ」地域クラブ活動の全面実施に向けた準備を進めています。

特徴的な取り組み

  • 民間事業者TRILL×大学研修部門×地域管理部門LISOBUの3層管理体制:単なる「民間委託」ではなく、TRILLが運営管理全般を統括し、大学との連携による研修部門で指導者の心構え・ハラスメント防止・応急処置等のスキルアップを図り、LISOBU(地域管理部門)がクラブ巡回と現場サポートを担う三層構造を構築。大都市圏型の民間委託モデルとして、各機能を専門に特化させた分業体制が特徴です。
  • 「あいち地域クラブ活動人材バンク」を活用した指導者確保:愛知県教育委員会が設置した県全体の指導者登録システム「あいち地域クラブ活動人材バンク」を積極的に活用し、12名の指導者を確保。県レベルの人材インフラを市の地域クラブに接続することで、個別の指導者探しにかかるコストと手間を大幅に削減しています。
  • 「部活アプリ」試験導入による出欠・連絡・スケジュールのデジタル一元管理:指導者・参加生徒・保護者・運営管理事業者が「部活アプリ」を通じてスケジュール管理や出欠連絡を一元的に行う試験導入を実施。学校現場での紙・電話ベースの連絡を削減し、保護者の利便性向上と指導者の管理コスト削減を同時に実現しています。
  • 令和7年8月の「オールおおぶ」全面実施に向けたロードマップ:令和6年度実証を3校・6クラブで進めながら、令和7年8月から市内全域での「おおぶ地域クラブ」全面実施を計画。既存の部活動で実施している種目はそのまま同じ学校で活動できるよう準備を進め、スムーズな移行を目指しています。

課題と解決策

課題 解決策
令和6年度の3年生参加者数がゼロ(各クラブ0人)という実績の偏り 3年生は部活動の大会出場や受験準備との兼ね合いで地域クラブへの参加が少ない。令和7年度以降は3年生が参加しやすいプログラム設計や活動頻度の見直しを検討
指導者の確保と育成の継続的な仕組みの整備 県の「あいち地域クラブ活動人材バンク」活用に加え、大学連携による指導者研修制度を整備。スキルと心構えの両面から指導者の質を維持する体制を構築中
実証事業補助金終了後の参加費(0円→有料化)への移行と保護者理解 令和6年度は無料で実施し参加しやすい環境を整備。令和7年8月の全面実施に向けて適切な受益者負担の水準を検討委員会で議論
3校全体への「オールおおぶ」展開に向けた種目・指導者・施設の拡充 令和6年度の3種目6クラブからスタートし、令和7年度には既存部活動の全種目が地域クラブとして活動できるよう、TRILLを通じた指導者確保と施設調整を計画的に拡大

成果・効果

令和6年度は市内3校・6クラブ(サッカー・バスケットボール・卓球)が稼働し、月3回程度の活動を実施しました。2年生・1年生を中心に各クラブ平均20名が参加し、指導者12名・運営スタッフ4名の体制で安定した活動を継続しました。大学との連携による指導者研修では、指導の心構え・ハラスメント防止・応急処置等の研修を実施し、指導者の資質向上を図りました。

「部活アプリ」の試験導入により、スケジュール管理と出欠連絡のデジタル化が実現。保護者・指導者・運営管理事業者の三者が同一プラットフォームで情報共有できる環境の構築が進みました。地域移行コーディネーターが学校・市内団体・大学・TRILLの橋渡しを担い、令和7年8月からの「オールおおぶ」全面実施に向けた体制整備を進めています。

出典

→ 原文: 令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業 実証事業成果報告書 概要(愛知県)|スポーツ庁

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

大府市の事例で最も参考になるのは「民間事業者への委託を単なる外注にせず、研修・現場管理・システムという三つの機能に分化させた設計」です。TRILLという民間事業者が統括しながら、大学研修部門(指導者育成)とLISOBU(地域クラブ管理)を再委託する構造は、質の管理と現場対応を分担することで、大規模展開時の品質担保と柔軟な現場対応を両立しています。特に大学との連携による指導者研修は、「誰でも指導者になれる」という量的確保と「適切な指導ができる」という質的確保の両立を図っており、他自治体でも応用できる設計思想です。

「部活アプリ」の試験導入も注目に値します。地域移行において最も現場の負担になりやすいのは「連絡・出欠管理・スケジュール調整」という日常的な事務作業です。指導者・保護者・運営管理者が同一アプリで情報共有できる仕組みがあれば、連絡ミスや二重管理による混乱を防ぎ、指導者が指導に集中できる環境が生まれます。アプリの試験導入から得られた知見は、令和7年度以降の全面実施において重要なインフラとなります。

令和6年度に3年生の参加がゼロだった点は、地域移行全般に共通する課題を示しています。3年生は大会出場・進路・部活動との優先度の整理が難しく、任意参加の地域クラブには参加しにくい。この課題は「地域クラブ参加の大会出場資格」や「3年生も参加したくなるプログラム設計」で解決できる可能性があり、令和7年度の取り組みが注目されます。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

大府市モデルの最大の応用ポイントは「TRILLのような統括的な民間事業者が地域に存在するかどうか」です。統括管理・研修・現場巡回の三機能を一手に引き受けられる事業者がない場合は、スポーツ協会が統括管理を担い、近隣大学が研修部門を担い、行政または中間支援団体が現場巡回を担うという役割分担で代替できます。また、「部活アプリ」のような既製ツールは現在複数のベンダーから提供されており、ゼロから開発する必要はありません。地域移行の事務負担軽減に向けたデジタルツール導入の検討は、どの自治体でも早めに始めることを推奨します。

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