【事例】鹿児島県南さつま市の部活動地域展開 ─ 総合型「南さつまコミュニティスポーツクラブ」に委託し柔道・陸上の3クラブを小学生と合同で通年運営、年会費1,500円で令和9年度の認定制度開始へ
・総合型「南さつまコミュニティスポーツクラブ」に委託し、柔道・陸上の3クラブを年会費1,500円で通年運営する南さつま市の体制
・小学生・高校生・大人と一緒に練習する地域クラブと、武道の指導者資格必須・学校施設の一括管理という運営の工夫
・教員の兼業許可や外部指導者の退任で新規クラブが始められなかった課題と、令和9年度の認定制度に向けた準備
| 自治体名 | 鹿児島県南さつま市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約3.1万人(30,554人・令和7年度スポーツ庁成果報告書記載) |
| 中学校数 | 5校(中学校3校・義務教育学校2校、生徒725人。運動部27部・加入者339名、令和7年度) |
| 運営形態 | 総合型地域スポーツクラブ(市が「南さつまコミュニティスポーツクラブ」に業務委託)。教育委員会が部活動地域移行検討委員会の開催、指導者研修会、クラブとの連携と活動内容の確認を担い、首長部局が県との委託契約を締結 |
| 対象競技 | 柔道(加世田柔道・坊津柔道)、陸上(加世田陸上)の3クラブ(令和7年度) |
| 保護者負担額 | 年会費1,500円(3クラブ共通)。坊津柔道は活動費月2,000円、加世田陸上は活動費年5,000円が別にかかる。スポーツ安全保険は生徒1人あたり800円/年 |
取り組みの概要
南さつま市の児童生徒数は、市町村合併をした平成17年の3,350人から令和7年度には約3分の2の2,179人まで減りました。部活動があるのは中学校3校と義務教育学校2校の計5校で、生徒数は10年前より100名以上少ない725名です。運動部は27部(昨年比3部減)で339名(同10名減)が加入しており、3年生の引退後に単独でのチーム編成に苦慮し、合同で大会に出る学校もあります。市は令和4年10月に「南さつま市中学校部活動地域移行検討委員会」の初会合を開き、令和5年7月から坊津柔道・加世田柔道・加世田陸上の3クラブで実証を始めました。令和7年度も令和6年度に続いて運営主体を総合型地域スポーツクラブの南さつまコミュニティスポーツクラブに委託し、3クラブが令和7年4月から令和8年3月まで通年で活動しました。
特徴的な取り組み
- 総合型クラブへの委託で派遣・事務を一元化: 南さつまコミュニティスポーツクラブのスタッフが指導者の派遣業務を担い、毎月の活動実績報告で活動内容と回数を確認しています。運営団体が市と同じ庁舎内にあり、連携しながら事業を進められる体制です。クラブの会員になることでスポーツ保険の加入も確実に行われます。
- 小学生・高校生・大人と一緒に練習するクラブ: 3クラブはいずれも小学生と一緒に練習するクラブで、市は「小学生が将来の自分の姿をイメージしながら練習に取組んでいる」としています。高校生や大人も一緒に活動しているクラブもあります。
- 通年・週3〜5回の活動: 加世田柔道は週5回(18:30〜21:00)、坊津柔道は週4回(17:00〜19:30)、加世田陸上は週3回(17:30〜19:00)活動しています。活動場所はOSAKO YUYA Stadium、加世田中学校、坊津学園武道館などで、加世田中学校・万世中学校・坊津学園の生徒が参加しています。指導者は高校教諭や市職員などです。
- 武道は指導者資格を必須に: 指導者はコミュニティスポーツクラブへの指導者登録をしたうえで指導にあたり、武道では指導者資格を必須としています。現在の地域指導者は武道や陸上の指導者資格を持っています。
- 学校施設は費用負担なしでクラブが一括管理: 学校管理規則に基づき学校長から設備の利用許可を得て、費用負担なく学校施設を使えるようにしています。施設はコミュニティスポーツクラブが一括管理して利用場所を確保しており、学校で練習することで移動の負担や安全の面でも効果があったとしています。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 外部指導者として練習に関わる人はいるが、休日の地域指導者は引き受けにくく「部活動の支援という立場で関わりたい」人が多い。地域指導者が長期的に指導を続けることも難しい | 人材バンクの作成に着手し、市の各競技団体を対象とした会を開いて地域クラブへの協力を依頼する。教職員の兼職兼業にも取り組み、市内の高等学校との連携も進める |
| 令和7年度は計画していた部活動の地域クラブ活動が始められなかった(他市に勤務する教員の営利企業従事の許可申請が認められなかった、外部指導者が辞めた等) | コーディネーターの業務を整理して地域の人材に依頼し、南さつまコミュニティスポーツクラブ以外の受け皿団体の確保を進める |
| 市が広域で、送迎バスを運行しようにも運転手が不足している | 徒歩・自転車・保護者送迎で参加しており、指導者が行き帰りの安全指導を定期的に行う。他市と連携し、市外から地域クラブに参加している生徒への支援の在り方も検討する |
| 指導者謝金・事務費の公的負担と受益者負担のバランス、困窮世帯への支援の在り方が未整理 | 令和8年度は保険を受益者負担とし、平日の部活動で負担している部費を把握して活動参加費を試算する。困窮世帯への支援は他自治体の取組を参考に令和8年度に検討する |
成果・効果
令和7年度の参加生徒は、加世田柔道が3人(2年2人・3年1人)、坊津柔道が6人(1年1人・2年3人・3年2人)、加世田陸上が19人(1年5人・2年8人・3年6人)で、指導者は計5人、運営スタッフは3人でした。市は、運営主体をコミュニティスポーツクラブに委託したことで派遣業務や事務業務が円滑に進んだとしています。指導者謝金は特に県外の大会に出場する際の旅費や宿泊費等に活用でき、地域指導者の負担軽減になっています。検討委員会には市スポーツ少年団と市体育協会に役員として入ってもらい、地域展開への助言を得られる体制を作りました。地域指導者の活動報告書や実績報告書のデータを文化とスポーツで共有して業務の効率化も図っています。令和8年3月の検討委員会では地域クラブ活動の認定要件と教職員の兼職兼業を検討し、地域クラブと地域指導者の認定は毎年更新するのが望ましいとされました。市は令和8年度に市のガイドラインを策定し、認定地域クラブ活動・認定地域指導者・市のガイドラインを令和9年度から始めることを確認しています。令和8年度は平日の地域クラブ活動には取り組まず、まず休日の地域クラブ活動を進め、令和11年度までの改革推進期間前期中に休日の地域展開を推進する方針です。
出典
→ 原文: スポーツ庁「令和7年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 鹿児島県南さつま市」(報告書検索システム)
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