トップ 事例を探す 鹿児島県 【事例】鹿児島県鹿屋市の部活動地域展開 ─ スポーツ・文化2つの運営団体と人材バンクで休日から段階移行
全種目 👥 10~30万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 鹿児島県

【事例】鹿児島県鹿屋市の部活動地域展開 ─ スポーツ・文化2つの運営団体と人材バンクで休日から段階移行

公開:2026.07.28 更新:2026.07.31
この記事でわかること

・鹿屋市がスポーツ系NPOと音楽支援団体の2運営団体制で休日部活動を段階移行する仕組み
・5類型の資格要件と面接審査を組み合わせた「地域の指導者」人材バンクの設計
・時給1,500円上限・倫理規定準拠の取消規定など他自治体が参考にできる運用ルール

自治体名 鹿児島県鹿屋市
人口規模 約10万人(2020年国勢調査)
中学校数 市立12校
運営形態 NPO法人(スポーツ系)+民間音楽団体(文化系)の2運営団体制・市部活動地域移行推進協議会が統括
対象競技 運動部・文化部(吹奏楽等)全般
保護者負担額 調査時点で未公表

取り組みの概要

鹿屋市は、子どもたちの持続可能なスポーツ・文化芸術活動の環境整備と教職員の負担軽減の促進を図るため、休日の中学校部活動を学校や地域の実態に応じて地域クラブ活動へ段階的に移行しています。その中核となるのが、地域クラブ活動の指導者となる「地域の指導者」の人材バンク制度です。登録要項は令和6年5月1日に施行され、市内の中学校に休日から段階的に指導者を派遣する仕組みが動き始めました。

特徴的なのは、受け皿となる運営団体をスポーツ系と文化系で分けている点です。地域スポーツクラブ活動の運営はNPO法人かのや健康・スポーツクラブが、地域文化クラブ活動の運営は音楽支援ネットワークグループ「音YUZURI(おとゆずり)」が担い、鹿屋市部活動地域移行推進協議会の事務局が全体を統括します。

特徴的な取り組み

  • スポーツ系・文化系の2運営団体制: 運動部の受け皿はNPO法人かのや健康・スポーツクラブ、吹奏楽等文化部の受け皿は音楽支援ネットワークグループ音YUZURIと明確に分担し、それぞれの専門性を活かした運営体制を構築しています。
  • 5類型の資格要件を定めた人材バンク: 登録には18歳以上であることに加え、(ア)市スポーツ協会・市教育委員会・市内中学校長のいずれかの推薦、(イ)教員免許の授与経験と指導実績、(ウ)日本スポーツ協会等の中央競技団体認定の指導者資格、(エ)文化部活動の活動実績、(オ)学校での部活動指導実績──のいずれかに該当することが必要です。
  • 校長の要請に基づく4段階の採用フロー: 校長が派遣要請を協議会事務局へ提出し、人材バンクから人選、校長と事務局担当者による面接を経て採用となる手順を明文化。学校側のニーズを起点にした派遣を徹底しています。
  • 日本スポーツ協会倫理規定に準拠した登録取消規定: 体罰・ハラスメント等があった場合の登録取消事由を、暴力・精神的虐待・セクシュアルハラスメント・試合の不正操作など具体例を挙げて明記しています。

課題と解決策

課題 解決策
指導者の質の担保 推薦・教員免許・競技団体認定資格・指導実績など5類型の資格要件と、校長・事務局による面接審査を組み合わせて選考
不適切指導の防止 体罰・各種ハラスメント等の登録取消事由を日本スポーツ協会倫理規定に準拠して要項に明文化
教員の負担軽減と専門的指導の両立 休日の部活動から段階的に「地域の指導者」を派遣し、実技指導・大会引率・練習計画作成・保護者連絡まで職務として担う

成果・効果

「地域の指導者」の勤務時間は週当たり3時間程度(大会等の引率業務は1回8時間以内)、報酬は勤務1時間当たり1,500円を上限として月額で算定されます。派遣は1部活動につき原則1人とし、学校の要望による複数配置の場合も報酬は1人分として算定するルールを明確にしています。指導者の職務には実技指導のほか、安全・スポーツ障害予防の指導、大会・練習試合の引率、用具・施設の点検管理、練習計画の作成、生徒指導への対応まで8項目が位置付けられており、教員が担ってきた業務を包括的に地域へ引き継ぐ設計です。参加者数等の定量的な成果は調査時点で未公表です。

出典

→ 原文: 中学校部活動地域移行に係る鹿屋市「地域の指導者」人材バンク登録要項(鹿屋市)
→ 参考: 中学校部活動の「地域の指導者」募集(鹿屋市公式サイト)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

鹿屋市の事例の核心は、運動部と文化部で受け皿団体を最初から分けた「2運営団体制」にあります。多くの自治体では文化部の受け皿確保が後回しになりがちですが、鹿屋市は音楽支援団体を文化クラブ活動の運営団体に位置付け、スポーツと文化芸術を同じ人材バンク・同じ報酬体系・同じ倫理基準で並走させています。また、資格要件を5類型で幅広く設定しつつ、最終的に校長と事務局の面接を挟む二段構えは、「量の確保」と「質の担保」を両立させる現実的な設計といえます。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

この方式を移植する際の最大のハードルは、文化系の受け皿団体の発掘です。スポーツ系はNPO法人や総合型クラブが候補になりやすい一方、吹奏楽・音楽系の民間団体は地域によって層の厚さが大きく異なります。まずは地元の音楽教室・楽団・OB会等をリストアップし、鹿屋市のように運営団体として正式に位置付ける協定を結ぶことが第一歩です。また、時給1,500円上限・週3時間程度という条件設定は財政規模に応じて調整が必要ですが、「引率は1回8時間以内」「複数配置でも報酬は1人分」といった運用ルールの明文化は、そのまま参考にできる部分です。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

日本スポーツ協会倫理規定に準拠した登録取消規定を要項レベルで明文化している点は、ガバナンス面で高く評価できます。体罰やハラスメントの具体例まで列挙したことで、指導者・保護者双方に判断基準が共有されます。一方、報酬財源の内訳や保護者負担の在り方は公表資料からは確認できず、改革推進期間終了後の財源設計が持続可能性の鍵となります。推進協議会事務局が人選・面接・取消協議のすべてに関与する集中管理型のため、事務局体制の維持も今後の論点です。

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