トップ 事例を探す 沖縄県 【事例】沖縄県渡嘉敷村の部活動地域展開 ─ ICTオンライン指導で離島の指導者不足に対応
バスケットボール 👥 1万人未満 🏫 小規模校(〜150人) 📍 沖縄県

【事例】沖縄県渡嘉敷村の部活動地域展開 ─ ICTオンライン指導で離島の指導者不足に対応

公開:2026.04.29 更新:2026.05.17
この記事でわかること

・ICT遠隔指導の導入により、島内指導者不要で毎週土曜日の活動体制を確立。
・近畿日本ツーリストが指導・場所・ICT・参加者管理を一括受託し、行政の事務負担を最小化。
・月額3,000円で30人の生徒が専門指導を受けられる、持続可能な費用設計を実現。

自治体名 沖縄県渡嘉敷村
人口規模 約670人(令和5年時点)
中学校数 1校(生徒数30人・部活1部活)
運営形態 民間委託型(近畿日本ツーリスト株式会社が運営受託)
対象競技 バスケットボール
保護者負担額 月額3,000円

取り組みの概要

沖縄県渡嘉敷村は人口約670人の離島で、令和5年度にスポーツ庁の実証事業(短時間で効果的な活動の推進)を受託し、ICTを活用した島外からの専門的指導による部活動地域移行に取り組んでいます。観光業が中心の島であり休日に島内で指導できる人材の確保が難しいため、バスケットボールと卓球の2種目で毎週土曜日にICTツールを使用した島外のプロによる遠隔指導を実施。渡嘉敷村教育委員会から事業委託を受けた近畿日本ツーリスト株式会社が、指導者・活動場所・ICT技術・参加者の手配・管理を一括して担っています。

特徴的な取り組み

  • ICTオンライン遠隔指導システム: 渡嘉敷村の体育館にwi-fi環境を整備し、NTT東日本の「スマートインストラクション」を活用。体育館での部活動の様子をカメラで中継し、島外の指導者がリアルタイムでモニターを通じた指導を実施。試合形式など広い画角が必要な場合は二階から撮影するなど工夫しています。
  • 複数の民間企業・大学との連携体制: 近畿日本ツーリストが総括管理を担い、NTT東日本(バドミントン部の指導プログラム)、NTT e-Sports(ICT技術・通信環境整備)、沖縄スポーツアカデミー(バスケットボールのトレーニングプログラム)、東京家政学院大学(事業全体の監修)が役割分担して参画。
  • 島外指導者派遣コストの削減: ICT活用により、島外の指導者を現地に招く場合と比べて移動費用が大幅に抑えられるだけでなく、連絡船の欠航等の影響を受けず活動計画が立てやすいというメリットも実現。
  • 成果発表の場として沖縄アリーナを活用: 沖縄スポーツアカデミーの協力により、成果発表の場として沖縄アリーナでの技術披露を実施。離島の生徒が本格的な競技施設で活動する機会を提供しました。

課題と解決策

課題 解決策
観光業が中心の島であり休日に指導できる人材の確保が困難 ICTツールを活用した島外プロ指導者による遠隔指導を導入し、島内指導者不要の体制を確立
離島のため島外の他市町村の生徒と日常的に活動することが難しく、団体競技でのチーム編成が困難 沖縄スポーツアカデミー等との連携で島外指導者のオンライン指導を確保。今後は周辺市町村との合同活動・広域連携も視野に
連絡船の欠航等による活動計画の不安定性 オンライン指導により物理的な移動なしで活動が継続でき、天候による計画変更リスクを大幅に低減

成果・効果

実証事業参加校の渡嘉敷中学校では、毎週土曜日のバスケットボール・バドミントンのオンライン遠隔指導が実施されています。活動場所は渡嘉敷小学校体育館を活用し、月額3,000円の会費で30人の生徒が参加しています。ICTインフラ(wi-fi・スマートインストラクション)の整備により、離島という地理的ハンディキャップを技術で補う新たなモデルを実証しました。指導者との物理的な距離を超えることで、本土の専門指導者と離島の生徒を結ぶ仕組みが確立され、今後はバドミントン活動の拡充や周辺市町村との広域連携も視野に入れています。

出典

→ 原文: スポーツ庁「令和5年度 運動部活動の地域移行に関する実証事業 事例集」

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

渡嘉敷村の取り組みでは、人口約670人・中学生30人という超小規模離島の構造的課題、すなわち観光業中心の産業構造上、休日に島内で指導できる人材の確保が恒常的に困難である点を、ICT遠隔指導で正面から解決した。NTT東日本の「スマートインストラクション」を体育館に整備し、島外の専門指導者がカメラ中継を通じてリアルタイムで指導を届ける体制を構築。連絡船の欠航リスクを受けずに毎週土曜日の活動を継続できる仕組みを実現している。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

この取り組みでは、渡嘉敷村教育委員会から事業を受託した近畿日本ツーリストが、指導者・活動場所・ICT技術・参加者の手配と管理を一括して担う体制を構築した。NTT東日本・NTT e-Sports・沖縄スポーツアカデミー・東京家政学院大学が専門分野ごとに役割を分担することで、単独事業者では実現困難な指導品質と技術インフラが組み合わされている。活動場所には渡嘉敷小学校体育館を活用し、沖縄アリーナでの成果発表の機会も設けることで、生徒が本格的な競技施設で活動する経験を提供した。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

ICTオンライン指導モデルを離島・過疎地域で導入する際の主な課題は、初期のICTインフラ整備コストと単独自治体での運用負担にある。渡嘉敷村の取り組みではスポーツ庁の実証事業を活用してインフラを先行整備しており、同様の地理的制約を抱える自治体が導入を検討する際には、国・県のICT支援制度の活用が現実的な入口となる。

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