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全種目 👥 1~5万人 🏫 小規模校(〜150人) 📍 新潟県

【事例】新潟県十日町市の部活動地域展開 ─ 競技団体を受け皿に種目ごとに休日部活動を廃止し、5種目は令和7年度までに完了・令和8年8月に全種目で休日完全移行

公開:2026.10.30 更新:2026.10.30
この記事でわかること

・受け皿が整った種目から休日部活動の廃止日を決めて移し、令和8年8月に全種目で完了させる十日町市の工程設計
・学校施設の無償・優先利用、学校物品の借用、就学援助世帯への参加費支援で保護者負担を抑えた合意内容
・相談窓口で判明した保護者から指導者へのハラスメントなど、地域クラブ化後に表面化した新しい課題

自治体名 新潟県十日町市
人口規模 約4.6万人(令和7年度・スポーツ庁成果報告書記載)
中学校数 市立中学校10校(令和7年度・生徒976人・運動部62部)
運営形態 競技団体(市ソフトテニス連盟、バレーボール・卓球の競技団体等)と地域のクラブチーム(十日町スキーレーシングクラブ等)が運営団体。市教育委員会の学校教育課が推進委員会・競技別担当者会と地域クラブの認定、スポーツ振興課が予算執行・会計サポート・活動場所調整・指導者研修を担当
対象競技 バスケットボール、ソフトテニス、陸上競技、軟式野球、卓球、バレーボール、アルペンスキー、クロスカントリースキー、剣道(運動部9種目)。吹奏楽も令和7年8月から試行
保護者負担額 月500〜2,000円(バレーボール・卓球 月1,000円、ソフトテニス 年24,000円、クロスカントリースキー 1回500円)。スポーツ安全保険800円/年は別。令和8年8月から経済的困窮世帯(就学援助受給世帯)に参加費を支援

取り組みの概要

十日町市は面積の大部分が山林・原野の中山間地域で、市内10校の中学校生徒数は令和5年度の約1,100人から令和15年度には約800人、学級数は43から29へ減ると推計され、中学校の統廃合計画が議論されています。球技種目では合同部活動で実施する学校が多く、地域クラブ化による活動環境の整備が急務でした。市は令和3〜4年度に部活動地域移行準備委員会で検討を始め、令和5年度にバスケットボール・ソフトテニス・陸上競技の3協会が手を挙げて試行を開始。種目ごとに受け皿の体制が整った順に休日部活動を廃止して地域クラブへ移す方式をとり、令和7年度中に市内の中学校に設置されているすべての運動部種目で地域クラブの運営体制を整え、試行事業を始めました。目標は令和8年8月の休日部活動の地域展開完了です。

特徴的な取り組み

  • 種目ごとに「休日部活動の廃止日」を決めて移す: バスケットボールとソフトテニスは令和6年8月、軟式野球は令和7年4月、アルペンスキーと剣道は令和7年8月に休日部活動を廃止して地域展開を完了しました。卓球・バレーボール・クロスカントリースキー・陸上競技・吹奏楽は令和7年度に試行を始め、令和8年8月に完全移行する工程表を公表しています。
  • 競技別担当者会で受け皿団体と学校をつなぐ: 全体会議の地域クラブ活動推進委員会に加え、市教育委員会が調整役となって競技別の担当者会を開き、指導者や事務局の人員不足が顕著な種目では関係者同士の意見交換を重ねて組織体制を作りました。令和5年度に学校部活動と地域クラブを並行して試行した際には「選手の取り合い」が生じ、顧問と地域クラブが連携して参加を働きかけた種目が充実したという教訓を得ています。
  • 雪国の種目も地域クラブに: 十日町スキーレーシングクラブがクロスカントリースキー(11〜2月・月2〜3回・1回500円・51人参加)を、別の団体がアルペンスキーを担います。ソフトテニスはUC☆U15(市ソフトテニス連盟会員)が休日週1回・平日週2回で年会費24,000円、バレーボールは十日町バレーボールクラブが休日週1回・月1,000円で54人が参加しています。
  • 学校施設は優先・無償、備品も借用: 学校活動に支障が出ない範囲で学校体育施設の優先利用時間帯を設け、無償で利用。学校物品(部活動物品)を地域クラブが借用する仕組みを令和6年度に構築しました。会場使用料の負担を減らし、保護者の費用増につながらないよう取扱ルールを市教委が整理しています。
  • 大学と連携した指導者育成プログラム: 令和5年度から続く「地域クラブ指導者育成プログラム研修会」を新潟医療福祉大学の教授を講師にワークショップ型で2回(スポーツの種目特性、指導計画・内容・評価の立て方)、実技1回(中学生に適したスピードトレーニング)実施し、各回15〜16名が参加。実技は陸上の地域クラブと合同で行いました。
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課題と解決策

課題 解決策
受益者負担が適正額でも、部活動にはなかった負担が新たに生じることで地域クラブ離れにつながる懸念がある 国の目安に基づき令和8年度以降の参加費と公的補助の考え方を市として整理して各クラブに周知。希望するクラブとは収支シミュレーションを行い、令和8年8月から就学援助受給世帯への参加費支援を開始
相談窓口を設けたところ、保護者から指導者へのカスタマーハラスメントの事例が確認された 指導者自身の安全確保と相談窓口の連携体制を新たな課題に位置づけ、安全管理マニュアルの更新とハラスメント防止研修を検討
中心部の中学校では気象状況により体育館の利用希望が競技間で重複する。施設や物品の破損時の責任と修繕費負担の基準が未整備 地域クラブ間での会場調整を行い、破損時の責任の所在・修繕費負担の基準と地域クラブとしての保険加入を検討
中山間地で保護者送迎の負担感が大きく、生徒数減少の中で地域クラブ参加率の維持・向上が続く課題 市教委が中学校へ出向いて生徒に直接PRし、入学説明会で小学6年生と保護者にも説明。募集チラシにQRコードで各クラブの活動紹介を掲載

成果・効果

令和7年度は8クラブ(61部活動分)に指導者85人・運営スタッフ36人が関わり、全9種目のうち5種目で休日部活動の廃止と地域展開を達成しました。全対象種目で地域展開達成までの見通しをつけられたことを市は「競技団体等をはじめとした関係団体同士の連携による大きな成果」と評価し、市教育委員会は競技別担当者会と推進委員会を重ねて調整役として伴走支援を行ってきました。参加費と公的補助の考え方を整理して地域クラブに示し、学校施設の無償利用と経済的困窮世帯への参加費支援に市として合意できたことも、参加者の立場から大きな成果としています。市は休日部活動の地域クラブ化後も運営体制のフォロー、募集案内などの広報、関係団体との調整を継続し、中学校統廃合の動向を見据えながら安定した活動を支援する方針で、平日の地域展開は国の方向性と指導者確保の検証を踏まえて改めて検討します。

出典

→ 原文: スポーツ庁「令和7年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 新潟県十日町市」(報告書検索システム)
→ 原文: スポーツ庁「令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 新潟県十日町市」(報告書検索システム)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域展開・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

十日町市の進め方は「全校一斉の期日」ではなく「種目ごとの廃止日」を積み上げる方式です。受け皿の体制が整った種目から休日部活動を廃止し、バスケットボールとソフトテニスは令和6年8月、軟式野球は令和7年4月、アルペンスキーと剣道は令和7年8月と順に完了させ、残る種目の試行を並走させて令和8年8月の全種目完了に収束させています。種目ごとに廃止日を切ると、競技団体には準備の期限ができ、保護者には「いつから部活動がなくなるか」が種目単位で明確になります。令和5年度に部活動と地域クラブを並行させて「選手の取り合い」が起きた教訓から、顧問と地域クラブが連携して参加を働きかけた種目ほど充実したと市が記録している点も、移行期の設計に役立ちます。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

移植時に最初に直面するのは、中山間地での送迎と参加率です。十日町市では保護者送迎の負担感が大きく、生徒数が減る中で地域クラブへの参加率をどう維持するかを継続課題に挙げています。学校施設の優先・無償利用、学校物品の借用、就学援助世帯への参加費支援という3点を市が合意して保護者負担を抑えたのは、参加率を落とさないための前提条件です。もう一つ、相談窓口を設けた結果、保護者から指導者へのカスタマーハラスメントの事例が確認されたという報告は示唆的です。地域クラブ化すると指導者は学校の後ろ盾を失うため、生徒を守る相談窓口と同時に、指導者を守る窓口と連携体制を用意しておく必要があります。施設や物品の破損時の責任と修繕費の基準も、学校から離れた後に初めて表面化する論点で、移行前に文書化しておくべきです。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

学校教育課(推進委員会・推進計画・地域クラブ認定)とスポーツ振興課(予算執行・会計サポート・施設調整・研修)の分担が明確で、推進計画は策定済み、年間ロードマップに日付単位で保護者説明会・担当者会・研修を記録しています。令和8年度以降の参加費と公的補助の考え方を市として文書化して各クラブに周知した点は、受益者負担の透明性という面で評価できます。一方で、指導者・事務局の人材と財源の確保、地域クラブ化後の施設利用と責任の所在は市自身が「単年度で解決できない」と認めており、中学校統廃合の議論と並行して進むため、計画の見直しが続く前提で見る必要があります。

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