【事例】兵庫県尼崎市の部活動地域展開 ─ スポーツ振興事業団を核とするコンソーシアム形成モデル
・兵庫県尼崎市の地域移行で直面した課題と解決策
・運営主体の選択背景と財源確保の工夫
・他の自治体が参考にすべき視点
| 自治体名 | 兵庫県尼崎市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約45.8万人(令和5年度時点) |
| 中学校数 | 17校 |
| 運営形態 | 教育委員会事務局(コンソーシアム形成移行期) |
| 対象競技 | バレーボール、ソフトテニス、剣道、野球、ソフトボール、サッカー、バスケットボール、陸上等12種目 |
| 保護者負担額 | 参加費無料+保険料800円/年(生徒) |
取り組みの概要
兵庫県尼崎市では、将来的にコンソーシアムによる地域スポーツクラブの運営を目指しながら、令和5年度は学校部活動を学校管理外で実施しながら課題の洗い出しを行っています。令和4年度に地域クラブ活動検討協議会を発足・開催し、令和5年4月〜9月に実証事業対象校の選定・指導者確保・事務局体制の整備を実施。令和5年10月から3校を対象に地域クラブ活動をスタートしました。12種目・月6〜7回の活動を参加費無料(保険料800円/年)で提供し、指導者謝金は1,600円/時間です。
特徴的な取り組み
- コンソーシアム形成に向けた段階的土台づくり:スポーツ振興事業団・体育協会・民間スポーツ団体・大学を中心としたコンソーシアムの設置を構想し、最終形に向けた段階的な整備を実施。
- 市民提案制度を活用した新種目開拓:「尼崎市市民提案制度」を活用し、社会人チーム(アメリカンフットボール)との協働でフラッグフットボール教室を実施するなど、地域クラブの多様化を推進。
- 月6〜7回の高頻度活動:他市と比べて月6〜7回という高頻度の活動設計が特徴。活動量を確保することで、スポーツの習慣形成と指導の継続性を担保。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 地域クラブ活動全体を担う組織の設立・育成が必要 | 行政が主導しながらスポーツ振興事業団等を巻き込み、コンソーシアム形成に向けた段階的な土台づくりを実施 |
| 民間事業者等の参画を促すPRが必要 | 協賛企業の発掘・地域スポーツクラブの市場性調査・民間事業者の参画を促すPR活動を計画 |
成果・効果
令和5年10月からの実証事業では、3校・18部活動・12種目で地域クラブ活動が始動し、約20人/回の参加者が月6〜7回の活動に参加しています。令和5年11月〜令和6年2月には検討協議会を2回開催し、実証を通じた課題共有と令和6年度事業の改善検討を実施。令和6年度は平日を含む移行の試行実施と、コンソーシアム設置を見据えた事務局機能の強化を進めています。
出典
→ 原文: スポーツ庁「運動部活動の地域移行に関する実証事業事例集」(令和5年度)
💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント
尼崎市のアプローチは「コンソーシアムという最終形を明確に描きながら、段階的に基盤を積み上げる」戦略です。多様な主体(スポーツ振興事業団・体育協会・民間・大学)を一度に動かすのではなく、まず行政が主導する実証事業で課題を洗い出しながら、各主体の役割を明確化していく手順は現実的です。
市民提案制度を活用してフラッグフットボール教室を実施したことは、地域移行が既存の部活動種目だけに縛られないことを示しています。地域の民間スポーツ資源(社会人チーム等)を「地域クラブの多様性」として取り込む発想は、特に都市部において有効です。
📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策
コンソーシアム形成は、関与する組織が多いほど合意形成に時間がかかります。全組織を同時に動かそうとするのではなく、核となる1〜2団体(尼崎市の場合はスポーツ振興事業団)と先行して動き始め、実績を見せながら他の団体を引き込む段階設計が有効です。また月6〜7回という活動頻度は指導者の確保コストが高くなるため、財源の持続可能性を早期に設計しておく必要があります。
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