【事例】熊本県玉東町の部活動地域展開 ─ 平日・休日一体「玉東クラブ」でスポーツ協会連携の完全移行
・熊本県玉東町の地域移行で直面した課題と解決策
・運営主体(町スポーツ協会)と財源確保(企業スポンサー・就学支援)の工夫
・他の自治体が参考にすべき視点
| 自治体名 | 熊本県玉名郡玉東町 |
|---|---|
| 人口規模 | 約5,100人(令和6年度時点) |
| 中学校数 | 1校(玉東中学校) |
| 運営形態 | 玉東クラブ(町教育委員会を運営団体とし、町スポーツ協会が実施主体) |
| 対象競技 | サッカー、軟式野球、女子バレーボール、バドミントン、柔道、陸上競技、吹奏楽 |
| 保護者負担額 | 月額3,000円(地域クラブ活動参加費) |
取り組みの概要
熊本県玉東町では、令和7年4月から平日と休日の全ての部活動を地域クラブ活動「玉東クラブ」へ移行しました。町スポーツ協会との連携のもと、指導者を確保し、平日と休日の一環した指導を実現しています。令和4年度から制度設計と移行準備を開始し、令和5・6年度は試行実施と企業連携による地域への広がりを図り、令和7年4月に完全移行を達成しました。参加費は月3,000円で、従来の部活動の年6,000円程度の費用負担から変更があることについて、小・中学校への丁寧な説明を繰り返すことで、大きな混乱なく移行を実現しました。
特徴的な取り組み
- 平日・休日の一体的な完全移行: 令和7年4月から平日と休日の両方の部活動を一体的に地域クラブ活動へ移行。町教育委員会会事務局を運営団体とし、町スポーツ協会が実施主体として指導者の確保・派遣を担う体制を構築した。
- スポンサー制度による財源多様化: サッカークラブでは、玉東町サッカー協会が中心となり企業スポンサーを募集。練習着に企業名を掲載することで協賛料を得て、活動資金に充当する取り組みを展開した。
- 就学支援世帯への参加費支援: 公費負担と参加費の組み合わせによる運営を行うとともに、就学援助による就学支援世帯への参加費支援を開始し、経済的格差による参加機会の不平等を防ぐ仕組みを整備した。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 部活動の外部指導者や指導を希望する種目への指導者確保が困難な場合がある | スポーツ協会や地元の関係者を通じて依頼し、活動時間を17時30分からにするなど柔軟に設定。保護者がサポートするケースも活用 |
| 参加費(月3,000円)が従来の部活動費用より増加することへの保護者の懸念 | 小・中学校への丁寧な説明を繰り返し実施。就学支援世帯への参加費支援を導入して理解を促進 |
| 少子化による生徒数減少で、今後の会員収入の不足が懸念される | 企業協賛・ふるさと納税の活用など財源の多様化を検討。広域展開も視野に関係地域や団体との協働体制強化を推進 |
成果・効果
令和7年4月の完全移行後、3年生72%・2年生86%・1年生73%が地域クラブ活動に参加し、町外からも4名が加わるなど、新たな地域クラブ活動環境として定着が進んでいます。町スポーツ協会と委託契約を交わし、指導者の確保や派遣を実施するなど、連携体制が強化されました。また、地域企業がサッカークラブのユニフォーム制作を支援するなど、地域全体で活動を支える機運が生まれています。令和7年度には玉東クラブとして中学校体育連盟主催の大会にも出場し、学校長の御理解のもと、従来と同様に大会へ向けた推戴式を実施できました。
出典
→ 原文: スポーツ庁「令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業 事例集」pp.102-103
💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント
玉東町の最大の特徴は、人口5,100人という小規模自治体が「平日と休日の両方を一体的に移行する」という高い目標を令和7年4月に実現した点です。多くの自治体が休日の移行から段階的に取り組む中、平日も含めた一体移行は、指導者の確保や活動時間の調整など、より多くのハードルを乗り越える必要がありますが、「平日と休日で指導者が変わらない一貫した指導」という大きなメリットをもたらします。
スポンサー募集・企業協賛という財源確保の工夫も注目点です。練習着に企業名を掲載するという具体的な「企業メリット」を提示することで、地域企業との共創関係を構築しています。少子化が進む小規模町において、地域ぐるみで子供たちの活動を支える仕組みをゼロから作り上げた玉東町の実践は、同様の条件を持つ全国の小規模自治体に勇気を与える事例です。
📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策
平日の地域移行において最も難しいのは指導者の勤務時間との兼ね合いです。玉東町では開始時刻を17時〜17時30分に設定するなど、指導者の都合に合わせた柔軟な運営を行いました。また、月3,000円という参加費設定に対しては「就学支援世帯への参加費支援」という手当てを事前に用意することで、経済的格差による参加機会の不平等を防いでいます。新たに参加費が発生する移行を円滑に進めるためには、費用対効果を保護者に丁寧に説明するとともに、低所得世帯への支援策をセットで提示することが重要です。
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