トップ 事例を探す 岐阜県 【事例】岐阜県羽島市の部活動地域展開 ─ 3総合型クラブ連携で「スポーツクラブ840」を設立
全種目 👥 5~10万人 🏫 大規模校(300人以上) 📍 岐阜県

【事例】岐阜県羽島市の部活動地域展開 ─ 3総合型クラブ連携で「スポーツクラブ840」を設立

公開:2026.04.29 更新:2026.05.17
この記事でわかること

・3クラブが独自ブランドを保ちながら上位法人に統合し、運営・経理ルールを一元化する「緩やかな統合」を採用した。
・ワールド・カフェ形式の意見交換会に自治会等も参加させ、改革を地域全体の課題として議論する場を設けた。
・合同チームが県大会上位に進出し、地域移行後も競技力を維持・向上できることを具体的な実績で示した。

自治体名 岐阜県羽島市
人口規模 約66,200人(令和7年7月時点)
中学校数 5校
運営形態 一般財団法人スポーツクラブ840(3総合型地域スポーツクラブの上位組織)
対象競技 全種目(市内全ての地域クラブ活動を包括的に運営)
保護者負担額 不明(調査時点で未公表)

取り組みの概要

岐阜県羽島市では、少子化が進む中でも市内全ての子供たちに十分な選択肢を用意するため、3つの総合型地域スポーツクラブが連携強化を推進してきました。「はしまモアスポーツクラブ」「はしまなごみスポーツクラブ」「はしま南部スポーツ村」の3クラブが各中学校ごとに地域クラブ活動の運営を担っていましたが、少子化の影響で生徒数が少ない学校では選択肢の充実が困難でした。令和元年度から部活動改革の検討を開始し、令和3年4月に「はしまなごみスポーツクラブ」が先行して地域クラブ活動を開始。令和6年10月、3団体が連携した上位組織「一般財団法人スポーツクラブ840」を設立し、令和7年4月から市内全ての休日部活動を地域クラブ活動へ移行しました。

特徴的な取り組み

  • 3総合型クラブ連携による上位組織の設立: 各クラブの役員が中心メンバーとなり、一般財団法人スポーツクラブ840を設立。単なる団体間の連携ではなく、新法人を立ち上げることで運営業務や経理業務のルール・マニュアルを一元化し、スムーズな運営を実現した。
  • 意見交換会による合意形成: 1回60〜70名が参加するワールド・カフェ形式の意見交換会を開催。指導者だけでなく、自治会等にも参加を呼びかけ、クラブの垣根を越えた連携の場として機能させた。
  • 中学校区を越えた選択肢の提供: スポーツクラブ840の設立により、中学校区にかかわらず市内の中学生が全ての地域クラブ活動に参加できる体制を実現。単独でサッカー部のチーム編成ができない学校の生徒を統合し、市内合同チームを結成して県大会上位の成績を収めるなどの成果を生んだ。

課題と解決策

課題 解決策
少子化により生徒数が少ない学校では、単独でチームを編成できず選択肢が限られた 3クラブの上位組織が市全体を管轄することで、学校区を越えた合同チーム編成が可能に
各クラブが独立して運営しており、調整・連携を推進・統括する新たな組織が必要だった 外部コンサルタントの意見も取り入れ第三者視点・客観的データを提示しながら3団体の合意を形成。一般財団法人を設立して業務ルールを一元化
指導者の発掘と育成が継続課題であり、新たな指導者のさらなる育成が必要 クラブを卒業した生徒が指導者として戻ってくる循環が生まれており、人材育成の仕組みとして期待

成果・効果

令和7年4月から市内全中学校の休日部活動を地域クラブ活動へ移行し、中学校区にかかわらず市内の中学生が全ての地域クラブ活動に参加できる体制が実現しました。少子化が進む学校においても子供たちの選択肢を広げることができ、陸上競技部がない学校の生徒が市内の陸上競技クラブで取り組み、駅伝の県大会に出場するなどの成果も生まれています。また、スポーツクラブ840の設立により、部活動改革を含めた地域全体のスポーツ環境について、市民が自分事として考えられる新たなコミュニティが形成されました。

出典

→ 原文: スポーツ庁「令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業 事例集」pp.42-43

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

羽島市は既存の3つの総合型地域スポーツクラブを廃止・再編するのではなく、上位組織を設立して連携を深化させる方法で統合を実現した。「はしまモアスポーツクラブ」「はしまなごみスポーツクラブ」「はしま南部スポーツ村」の各クラブは独自のブランドを維持しながら、令和6年10月に設立した一般財団法人スポーツクラブ840のもとで運営・経理業務のルールとマニュアルを一元化している。令和元年度の検討開始から令和3年4月の先行移行、令和6年10月の法人設立、令和7年4月の全校移行まで段階的なプロセスを経て体制を整えており、強引な統廃合を避けながら機能的な連携を実現した構造が、この取り組みの中心的な特徴となっている。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

この取り組みでは、合意形成の場として1回あたり60〜70名が参加するワールド・カフェ形式の意見交換会を開催した。参加者は指導者にとどまらず自治会等の地域住民にも広げており、部活動改革を特定クラブの内部問題に留めず地域社会全体の課題として共有する仕組みを設けた。3団体が並存する状況では特定クラブへの利益誘導という疑念が生じやすいが、外部の第三者による視点と客観的なデータを提示することでその疑念を払拭しながら合意形成を進めた。クラブの垣根を越えた連携の場を地域住民も含む形で設計したことが、市全体での円滑な移行を支えている。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

スポーツクラブ840の設立により、令和7年4月から市内全中学校の休日部活動が地域クラブ活動へ移行した。少子化で単独チームを編成できなかったサッカー部の生徒を市内合同チームに統合し県大会上位の成績を収めたほか、陸上競技部がない学校の生徒が市内の陸上競技クラブで取り組み駅伝の県大会に出場する成果も生まれた。またクラブを卒業した生徒が指導者として戻る循環も生まれており、持続可能な人材育成の仕組みとして機能し始めている。

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