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【事例】兵庫県播磨町の部活動地域展開 ─ 段階別報酬制度と資格取得支援で指導者の質を高めるモデル

公開:2026.04.29 更新:2026.05.17
この記事でわかること

・資格取得が報酬に直結する4段階制度で指導者の自主的な質向上を促進
・1人40,000円補助と10年誓約の組み合わせで費用障壁と人材流出の両課題を同時解決
・令和6年度に登録102名・A1・A2取得者8名を達成し制度効果が数字で確認できる

自治体名 兵庫県播磨町
人口規模 約3.5万人(令和6年度時点)
中学校数 2校
運営形態 NPO法人スポーツクラブ21はりま
対象競技 陸上競技、サッカー、ソフトテニス、卓球、バレーボールなど複数種目
保護者負担額 不明(調査時点で未公表)

取り組みの概要

兵庫県播磨町では、令和3年度から「NPO法人スポーツクラブ21はりま」を運営団体として地域クラブ活動を開始しました。移行に伴い、地域指導者の資質向上が課題となる中、所持する指導者資格に応じて報酬の時間単価が変動する「段階別報酬制度」と、公益財団法人日本スポーツ協会(JSPO)や競技団体の公認指導者資格を取得する際の費用を助成する「指導者資格取得支援制度」を導入しました。これらの制度により、指導者自身が主体的に資格取得や研修に取り組む動機づけを生み出し、地域クラブ活動全体の指導の質向上を実現しています。

特徴的な取り組み

  • 4段階の指導者報酬体系: 国域等A1(JSPOコーチ3以上)は2,400円/時間、国域等A2(JSPOコーチ2以下)は2,000円/時間、県域等B(都道府県競技団体資格・教員免許所持者)は1,600円/時間、町域等C(地域での指導実績等)は1,200円/時間と、15分刻みで400円の差をつけた段階別報酬制度を設けています。
  • 指導者資格取得費用の補助制度: 公認指導者資格取得のための受講料・登録料・テキスト代・交通費などを1人あたり40,000円を上限として補助。申請には播磨町で10年間地域指導者として指導にあたる旨の誓約書を「NPO法人スポーツクラブ21はりま」に提出することが条件です。
  • 幼小中一貫指導体制の確立を将来ビジョンに設定: 小学校から中学校まで9年間の指導体制を整備することを目標に、指導者全体の資質向上を図っています。将来的には運営団体の公益法人化も視野に入れた体制整備を進めています。
  • 独自のハラスメント防止・危機管理研修の実施: 令和7年度から約20人の有資格者が地域クラブ活動で指導し、ハラスメント防止やガバナンスの確保など独自の悩み事研修も開催して地域クラブ活動全体の指導者の質向上を図っています。

課題と解決策

課題 解決策
地域指導者の資質向上が求められるが、自発的な研修参加・資格取得が進まない 資格取得で報酬が上がる段階別報酬制度を導入し、指導者自身が資格取得に取り組む動機づけを創出
公認指導者資格の取得費用が指導者の負担になる 1人あたり40,000円を上限とした資格取得費用補助制度を設け、費用負担を軽減
資格取得後の指導者が別の地域で活動してしまうリスク 補助申請の条件として播磨町での10年間指導継続の誓約書提出を義務付け
兼業教員主体の指導体制から地域指導者主体への移行 資格取得支援と報酬制度により地域指導者の増加と質向上を図り、段階的に地域指導者比率を高める

成果・効果

令和6年度には102名の指導者が登録し、8名が「国域等(A1・A2)」の指導者資格を取得しました。A1・A2資格所持者は陸上競技4名・サッカー1名・ソフトテニス1名・卓球1名・バレーボール2名の合計9名に達しています。資格取得による報酬アップが指導者のモチベーション向上につながり、同じ種目のクラブ活動内の指導者間で資格取得を促し合うきっかけにもなっています。令和7年度には約20人の有資格者が地域クラブ活動で指導する見込みです。

出典

→ 原文: 令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業(地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業)事例集 pp.70-71(スポーツ庁、令和7年)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

播磨町では令和3年度から「NPO法人スポーツクラブ21はりま」を運営団体として地域クラブ活動を開始した。移行に伴う指導者の資質向上という課題に対して、この取り組みではインセンティブ設計で対応している。JSPOコーチ3以上のA1資格保持者には2,400円/時間、資格や実績のみのC層には1,200円/時間と4段階・400円刻みの報酬差を設け、資格取得が報酬に直結する仕組みを構築した。令和6年度には登録指導者102名のうち8名がA1・A2資格を取得し、同じ種目内で互いに資格取得を促し合う動きも生まれている。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

指導者資格取得費用の補助制度も制度設計の柱となっている。受講料・登録料・テキスト代・交通費を含む費用を1人あたり40,000円を上限に補助し、申請条件として播磨町での10年間の指導継続を誓約する書面の提出を義務づけている。資格取得の費用負担という障壁を取り除きながら、補助を受けた指導者が他地域へ流出するリスクも同時に抑制する設計となっている。令和7年度には約20人の有資格者が指導にあたる見込みであり、ハラスメント防止や危機管理に関する独自研修も開催して指導の質向上を継続的に図っている。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

播磨町はNPO法人の将来的な公益法人化も視野に入れつつ、小学校から中学校まで9年間の幼小中一貫指導体制の確立を将来ビジョンとして掲げている。段階別報酬制度と資格取得支援制度を組み合わせることで地域指導者の数と質を継続的に高め、教員兼業に依存しない持続可能な地域スポーツ環境の構築をめざす取り組みとなっている。

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