【事例】茨城県つくば市の部活動地域展開 ─ 2027年夏全面移行宣言×R6実証13地域クラブ・コーディネーター7名・筑波大連携・同意率97〜99%
・2027年夏の全面移行期限明示と教育委員会内コーディネーター7名体制の同時整備
・学校主導型KCSCと筑波大学連携による低負担運営とマルチスポーツ体験の両立
・中学生98.0%・保護者99.7%が移行に賛成、受け皿クラブは8→18へ倍増
| 自治体名 | 茨城県つくば市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約255,000人(面積283.72km²) |
| 中学校数 | 公立中学校18校(生徒数6,621人・部活動238部) |
| 運営形態 | 市区町村運営型 ― 教育委員会+地域クラブ運営団体+学校主導KCSCモデルのハイブリッド |
| 対象競技 | バレー・ハンドボール・ソフトテニス・卓球・サッカー・野球・バスケ・吹奏楽 ほか多種目(13クラブ実証) |
| 保護者負担額 | クラブ別(月1,500〜3,000円)/スポーツ安全保険料 生徒800円・指導者1,850円 |
取り組みの概要
茨城県つくば市は、2027年夏の全国中学校体育大会を最後にすべての休日の学校部活動を地域クラブに移行する計画を明示した先進自治体です。市内を5つのエリアに分けて活動機会を提供する仕組みを整備し、令和8年(2026年)4月以降に活動団体一覧を順次公表する予定。並行して、令和6年度のスポーツ庁「地域スポーツクラブ活動体制整備事業(地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業)」を活用し、市教育委員会内に「部活動地域展開コーディネーター4名+サポーター3名」の計7名体制を配置。13の地域クラブが稼働し、令和5年度の8チームから令和6年度には18チームへと受け皿クラブを倍増させています。
特徴的な取り組み
- 2027年夏・全面移行の期限明示: 全国的に「段階的検討中」にとどまる自治体が多い中、つくば市は具体的な完全移行期限を設定。生徒・保護者・指導者が中長期の準備を進める基盤を整備しました。
- 学校主導型の地域クラブ「KCSC」: つくば市立茎崎中学校は「茎崎地区文化・スポーツクラブ(KCSC)」を学校主導で設立。部活動は平日週3日(火・木・金)に限定し、活動のない日にKCSCが学校施設を活用して運営する全国でも珍しい「学校主導型」モデルを実践しています。
- プロスポーツクラブとの連携: バレー部にはVリーグ「つくばユナイテッド Sun GAIA」の選手が、ハンドボール部には「つくばハンドボールクラブ」の指導者が携わるなど、地域のプロ・セミプロチームとの人材連携を実現しました。
- 事務局の民間委託とクラウドファンディング: クラブ事務局をつくばフットボールクラブに委託して指導者を統括管理。クラウドファンディングとSNSで100万円以上の支援を調達し、持続可能な財源確保の新たな手法を提示しました。
- コーディネーター7名体制(R6実証): 教育委員会内にコーディネーター4名+サポーター3名を配置。地域クラブ運営団体の発掘、指導者人材の確保、保護者対応、施設調整を一元的に担い、属人化を回避するチーム制を構築。指導者は全体で約30人、運営スタッフ約10人を確保しました。
- 筑波大学との連携によるマルチスポーツ体験: 地元の筑波大学と連携し、ソフトテニスクラブ・陸上競技クラブで大学指導陣のサポートを受けるとともに、複数競技を体験できるマルチスポーツ機会を提供。専門性の高い指導と多様な競技体験を両立させています。
- 市独自大会の運営(5回実施): 中体連大会と並行して、地域クラブ参加生徒も出場可能な市独自大会を令和6年度に5回実施。ソフトテニスではイロレーティング方式を導入し、強さの可視化と公平な対戦カード編成を実現しました。
- 5エリア制による広域展開: 市全体を5つのエリアに分け、地域ごとの活動機会を確保。茨城GTベースボール(月2,000円)、春日グリーンデビルズ(バスケ月3,000円)、Do Soccer Club(月2,200円)など、競技ごとに月額負担を抑えたクラブを多数立ち上げています。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 指導者の無償ボランティアから有償化への転換に伴う保護者負担増加 | 市事業補助金を活用して月額1,500〜3,000円に抑制。クラウドファンディングで100万円以上の財源を調達。生活困窮家庭向け支援制度を検討中 |
| 大規模自治体ゆえの受け皿運営団体・指導者の確保 | 令和5年度の8チームから令和6年度18チームへ段階的に拡大。コーディネーター7名が新規団体発掘と既存総合型地域SCとの調整を担当 |
| 施設利用の調整 | 茎崎中学校モデルのように学校施設を地域クラブが活用できるよう整備し、稼働率を上げる方式を採用 |
| コーディネーターの役割が広範で属人化リスク | 4名+サポーター3名のチーム制とすることで業務分担。教育委員会内配置で学校・庁内連携を円滑化 |
成果・効果
令和6年度のアンケートでは、中学生3,141名のうち98.0%、保護者1,432名のうち99.7%、小学生5,782名のうち97.7%、小学生保護者2,430名のうち99.9%が地域クラブ活動への移行に同意・賛成と回答し、対象世代・保護者から極めて高い支持を獲得。受け皿クラブ数は令和5年度の8チームから令和6年度には18チームへと2倍以上に拡大し、令和6年度実証では13クラブ(全てA型:部活動を地域クラブに移行した形)が稼働しました。茎崎中学校のKCSCでは、月額1,500円という低負担での地域クラブ運営を実現しながら、卓球でつくば市3位、ハンドボールで市優勝・県南準優勝・県大会3位という競技実績を達成。クラウドファンディングで100万円以上を調達し、地域・保護者・企業の共感を集める持続可能な財源モデルとして注目されています。筑波大学との連携で陸上・ソフトテニスを中心に大学資源を活用した質の高い指導が実現し、市独自大会5回開催で参加生徒の活動成果発表機会も確保されました。
出典
→ 原文: 部活動のこれから|つくば市公式ウェブサイト
→ 参考: 学校が主導する部活動改革 / 茨城県つくば市(スポーツ庁Web広報マガジン)
→ 参考: スポーツ庁「令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業 地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業 茨城県つくば市」
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