トップ 事例を探す 滋賀県 【事例】滋賀県大津市の部活動地域展開 ─ 総合型クラブが「部活にない種目」から年会費4,760円で段階展開
全種目 👥 30万人以上 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 滋賀県

【事例】滋賀県大津市の部活動地域展開 ─ 総合型クラブが「部活にない種目」から年会費4,760円で段階展開

公開:2026.04.28 更新:2026.05.17
この記事でわかること

・「部活にない種目から始める」戦略で既存部活動との摩擦を回避した設計思想
・総合型クラブの非営利運営と学校施設活用で年会費4,760円(月約400円)を実現
・2種目スタートの段階的拡充で運営負担を抑えながら実証実績を積み上げる手順

自治体名 滋賀県大津市
人口規模 約34万人(2024年時点)
中学校数 市立中学校 18校(全生徒数 8,701人・部活動 184部)
運営形態 総合型地域スポーツクラブが主体(中学校にない種目を中心に展開)
対象競技 ソフトボール・剣道・バレーボール・バスケットボール等(順次拡充中)
保護者負担額 年間平均4,760円(月額約400円相当)

取り組みの概要

大津市は、滋賀県が2023年3月に策定した「学校部活動の地域連携および地域クラブ活動への移行に向けた方針」に基づき、市内18校・184部活動を対象とした地域移行を段階的に進めています。取り組みの中心となっているのは総合型地域スポーツクラブで、中学校の部活動として存在しない種目を優先的に地域クラブとして開設し、中学生の受け入れを行うという戦略を採用しています。実証段階では2種目からスタートし、活動回数は月5回、参加生徒は平均9〜11人/クラブという規模で実施。参加会費は年間平均4,760円(月額約400円相当)という低廉な設定で経済的なアクセスしやすさを確保しています。今後はさらに種目を拡充して受け入れ可能な体制を整備していく方針です。

特徴的な取り組み

  • 「部活動にない種目」からの先行展開:既存の部活動と競合しないよう、中学校に部活動として設置されていない種目を中心に地域クラブを立ち上げる戦略を採用。部活動との役割が明確に区分されているため、学校・保護者からの抵抗感が少なく、スムーズに中学生の受け入れが実現している。
  • 総合型地域スポーツクラブを主体とした運営:新たな組織を設立するのではなく、既存の総合型地域スポーツクラブを受け皿として活用。既に活動実績のある組織を使うことで、指導の質管理・保険・施設利用などの基盤を低コストで整備できる。
  • 年間4,760円の低廉な会費設定:月額換算で約400円という安価な設定により、経済的な理由で参加できない生徒を生まない配慮がなされている。民間クラブと比べて顕著に安価な会費が設定できる理由は、総合型クラブの非営利運営と学校施設の活用にある。
  • 滋賀県全体の方針との連動:2023年3月策定の県方針に沿って市が実証事業を展開。MXTスポーツ庁の実証事業にも参加し、移行ノウハウの蓄積と全国への発信にも貢献。

課題と解決策

課題 解決策
就業している地域住民が多く、指導者の発掘が困難 既存の総合型クラブ会員・スポーツ指導者資格取得者を優先活用し、週末・夜間のみ参加できる指導者の確保を推進
クラブ運営を担える余裕のあるスポーツ団体が限られる 段階的な種目拡充を採用し、既存クラブの運営負担を過大にしないよう2種目からスタート
参加生徒数が少なくクラブ運営の継続性に不安がある 1クラブ9〜11人規模でも活動可能な少人数対応型のクラブ運営モデルを設計
184部活動すべてを地域移行する受け皿が不足 「部活動にない種目」から先行展開し、既存部活動はそのままにしながら段階的に移行対象を拡大

成果・効果

実証事業において、総合型地域スポーツクラブを受け皿とした月5回・年会費4,760円という低廉なモデルが中学生の活動機会として機能することを確認しました。地域として中学生の地域クラブ活動への理解と協力的な姿勢が見られており、地域コミュニティへの浸透も進んでいます。2種目からスタートした実証事業で得られたノウハウを基に、種目の拡充と受け入れ体制の整備が順次進められています。スポーツ庁の令和6年度実証事業にも参加し、大津市モデルの全国への展開を目指しています。

出典

→ 原文: 令和6年度 地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業 成果報告書 概要 滋賀県(文部科学省・スポーツ庁)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

大津市は、滋賀県が2023年3月に策定した地域移行方針に基づき、市内18校・184部活動を対象とした段階的な移行を進めている。移行の中心を担うのは総合型地域スポーツクラブで、中学校に部活動として設置されていない種目を優先的に地域クラブとして開設する戦略を採用した。実証段階では2種目からスタートし、月5回・平均9〜11人規模で運営。既存部活動との役割を明確に区分することで学校・保護者からの抵抗感を最小化しながら、スポーツ庁の令和6年度実証事業にも参加して移行ノウハウの全国発信に取り組んでいる。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

この取り組みでは、年間平均4,760円(月額約400円相当)という参加会費を実現している。総合型クラブの非営利運営体制と学校施設の活用が、この低廉な設定を支える構造的な条件だ。同じく滋賀県内で地域移行を推進する彦根市湖南市とともに、県方針の実践事例として位置づけられる。さらに、1クラブ9〜11人という少人数でも活動を継続できる運営モデルを設計しており、参加者が少ない段階でもクラブ存続を確保できる点が大津市モデルの実用的な強みとなっている。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

大津市モデルを他地域が参考にする際の前提条件は、既存の総合型地域スポーツクラブが地域に存在することだ。クラブが未整備の地域では、スポーツ少年団や体育協会加盟団体など既存組織を代替として活用することが現実的な選択肢となる。「2種目からスタートして段階的に拡充する」という方針は、運営負担を抑えながら実績を積む観点から地域規模にかかわらず応用しやすいアプローチといえる。

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