【事例】奈良県葛城市の部活動地域展開 ─ 相撲・コーラスなど部活動にない種目を先に新設し3年で休日完全実施へ
・部活動にない相撲・コーラスを先に新設し3年で休日完全実施に到達した葛城市の移行順序
・参加費月額1,000円〜3,000円・スポーツ安全保険加入義務という費用と補償の設計
・平日は学校部活動、休日は別種目の地域クラブという二重所属を認める参加ルール
| 自治体名 | 奈良県葛城市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約3.8万人(37,539人・令和8年9月1日現在) |
| 中学校数 | 2校(新庄中学校・白鳳中学校) |
| 運営形態 | 葛城市教育委員会が運営団体(将来的に民間・総合型地域スポーツクラブへの移行を検討) |
| 対象競技 | 陸上、野球、バスケットボール、サッカー、バドミントン、ソフトテニス、卓球、水泳、剣道、吹奏楽、女子バレーボール、柔道、女子ソフトボール、相撲、コーラス |
| 保護者負担額 | 参加費 月額1,000円〜3,000円を予定(登録費・保険料を含む)。個人で必要な用具・交通費等は実費 |
取り組みの概要
葛城市は令和8年度に、すべての部活動において休日の活動を地域クラブ活動として実施する「完全実施」に踏み切りました。奈良県教育委員会が令和5年3月の通知で「中学校において令和8年度から教員の指導による休日の学校部活動を廃止する」との方向性を定めており、葛城市はこれに合わせて3年がかりで移行を進めてきた形です。
特徴的なのは移行の順番です。市は令和6年度に、まず学校部活動にはない種目として相撲部とコーラス部を地域クラブとして新設しました。既存の部活動を移すより先に、学校では選べなかった種目を地域クラブとして立ち上げたことになります。続く令和7年度に両中学校合わせて7つの部活動を地域展開し、新たな種目としてソフトボール部を設置。そして令和8年度に全部活動の休日活動を地域クラブ化しました。平日の部活動は当面継続しますが、令和8年度以降は平日も地域展開できるよう環境整備を進める方針です。
市は「競技志向のみに偏ることなく、生涯にわたってスポーツ・文化芸術活動に親しむことができる環境や、多様な志向に対応できる活動環境を整えます」を目指す姿として掲げています。
特徴的な取り組み
- 部活動にない種目を先に地域クラブで作る: 令和6年度に相撲部とコーラス部を新設しました。相撲部の活動拠点は相撲館「けはや座」、コーラス部は中央公民館です。学校の施設・教員の専門性に縛られない種目を地域側で先に用意したことで、移行が「既存部活動の引っ越し」ではなく選択肢の拡大として受け止められる構図になっています。
- 学校単位と2校合同を使い分ける: 令和8年度の地域クラブ一覧では、陸上・野球・バスケットボール・サッカー・バドミントン・卓球・水泳・剣道・吹奏楽などは新庄中学校・白鳳中学校それぞれに設置する一方、女子バレーボール(拠点:白鳳中学校)、柔道(拠点:新庄中学校)、女子ソフトボール(拠点:新庄中学校)、相撲(拠点:けはや座)、コーラス(拠点:中央公民館)は両中学校合同としています。
- 平日と休日で違う種目を選べる: 市の資料は「平日は陸上競技部(学校部活動)、休日はサッカー部(地域クラブ)に所属することもできます」と明示しています。平日の学校部活動と休日の地域クラブで違う種目に参加することが可能で、学校部活動への参加の有無は地域クラブ参加の条件になりません。ただし複数の地域クラブへの同時参加は原則としてできません。
- 参加費は国の目安に沿って設定: 参加費は月額1,000円〜3,000円を予定し、登録費・保険料を含みます。文部科学省通知「部活動の地域展開等の全国的な実施」(令和7年12月)が示す「休日に週1日・月4日程度の活動を実施する場合、月額1,000円〜3,000円程度」という目安に沿った水準です。
- 連絡アプリで欠席連絡と集金を一本化: 地域クラブ用の連絡アプリを使用し、保護者からの遅刻・欠席連絡、指導者からの予定表配信、参加費の集金までを同じアプリの機能で行います。入会手続きは学校配布の案内文書のQRコードからWeb上で完結します。
- 指導者は人材バンク登録者から市が依頼: 指導者は「葛城市地域クラブ活動指導者人材バンク」または「奈良県スポーツ・文化芸術指導者人材バンク」の登録者の中から市教育委員会が依頼し、承諾を得た者としています。地域クラブでの指導を望む教員は、兼職兼業の許可を受けて指導にあたることができます。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 生徒・保護者のニーズが多様化し、現状の体制ではやりたい部活動が選べない | 学校部活動にない相撲・コーラス・ソフトボールを地域クラブとして新設し、選択肢を先に増やした |
| 部活動の顧問をする教員の70.1%が「勤務時間を超えて部活動があり帰宅時間が遅くなること」を負担と回答(令和6年7月・市の教員アンケート) | 令和8年度から休日の活動をすべて地域クラブ活動として実施し、教員の指導による休日の学校部活動を取りやめる |
| 学校管理外の活動となるため日本スポーツ振興センターの災害共済給付の対象外になる | 原則として「スポーツ安全保険」への加入を義務づけ、保険料を参加費に含める |
| 校区外で活動する場合の移動手段 | 基本的に現地集合・現地解散とし、必要に応じて保護者の送迎協力を求める |
| 2校それぞれでは人数が揃わない種目がある | 女子バレーボール・柔道・女子ソフトボール・相撲・コーラスは両中学校合同とし、種目ごとに活動拠点を指定する |
成果・効果
令和6年度の地域クラブ設置(相撲部・コーラス部)、令和7年度の7部活動の地域展開とソフトボール部の新設を経て、令和8年度に休日活動の完全実施に到達しました。市は令和7年度の部活動地域展開実証事業について総括アンケートの結果を公表しているほか、「部活動改革だより」を5号まで発行し、学校パートナー支援窓口(SPS)の開設や地域クラブ指導候補者の募集要項もあわせて公開しています。大会への参加は原則として地域クラブとして行い、大会参加を希望する場合は地域クラブに所属することとされています。
出典
→ 原文: 葛城市「地域クラブ活動」/葛城市教育委員会「葛城市 学校部活動の地域展開に関する基本方針」(PDF)/葛城市教育委員会事務局学校教育課「令和8年度 葛城市地域クラブ活動について」(PDF)
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