トップ 事例を探す 長野県 【事例】長野県松本市の部活動地域展開 ─「まつチャレ」ブランドで9種目・令和9年3月完全移行を目指す独自モデル
全種目 👥 10~30万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 長野県

【事例】長野県松本市の部活動地域展開 ─「まつチャレ」ブランドで9種目・令和9年3月完全移行を目指す独自モデル

公開:2026.04.28 更新:2026.05.17
この記事でわかること

・「まつチャレ」ブランドで生徒・保護者・地域への認知度を高め、9種目の地域クラブ整備を推進
・サポートデスクと移行補助制度をセットで整備し、新規クラブ立ち上げの手続きと費用の障壁を一元的に解消
・10年で約800人減という少子化データを公開し、地域移行の必然性を客観的根拠で示した

自治体名 長野県松本市
人口規模 約23.4万人(2025年1月時点)
中学校数 約19校(公立)
運営形態 多様な団体・民間事業者による登録制地域クラブ(「まつチャレ」として市が認定)
対象競技 陸上競技、ソフトテニス、バレーボール、バスケットボール、卓球、軟式野球、サッカー、バドミントン、剣道(計9種目)
保護者負担額 受益者負担(会費あり。詳細は各クラブによる設定)

取り組みの概要

松本市では、過去10年間で中学生が約800人減少する少子化の進展と、教員の部活動指導負担の増大という2つの課題を背景に、学校部活動の地域移行を本格化させています。市は独自ブランド「まつチャレ」(まつもとチャレンジクラブ)を設け、多様なスポーツ団体・民間事業者が登録・運営する地域クラブ活動への移行を推進しています。令和9年3月(2027年3月)を目標に学校部活動を廃止・完全移行する計画で、長野県の地域クラブ活動推進ガイドラインに準拠しながら、松本市独自のサポート体制を整えています。

特徴的な取り組み

  • 「まつチャレ」ブランドの確立:地域クラブ活動に市独自の名称とブランドを付与し、生徒・保護者・地域への認知度向上を図っています。登録した運営団体は「まつチャレ」として市の公開リストに掲載され、信頼性の担保にもなっています。
  • まつチャレサポートデスクの設置:新たに地域クラブを立ち上げようとする団体や、移行を検討する学校・保護者の相談窓口として「まつチャレサポートデスク」を設置。登録手続き、補助制度の案内、施設・指導者の調整を一元的に支援します。
  • 移行補助制度の整備:地域クラブ活動への移行経費(指導者謝礼、スポーツ保険加入、備品購入、会場使用料等)を市が補助する制度を設け、立ち上げ期の財政的障壁を下げています。
  • 活動時間・休息日のルール明文化:平日は最大2時間・週末は最大3時間、週2日以上の休養(平日1日・週末1日を含む)を基準として定め、過度な活動を防止する環境を整備しています。

課題と解決策

課題 解決策
少子化による部活動単独維持が困難な学校の増加 学校の枠を超えた広域の地域クラブ活動「まつチャレ」を設立し、複数校の生徒が合同で活動できる体制を構築
地域クラブ立ち上げ時の資金・ノウハウ不足 移行補助制度(謝礼・保険・備品・会場費等)と「まつチャレサポートデスク」の設置で一元的に支援
学校部活(無料)から地域クラブ(会費あり)への費用負担の変化に対する保護者の不安 受益者負担の考え方を早期から説明し、補助制度を活用して会費水準を抑える。詳細な費用設計は各クラブが設定

成果・効果

令和9年3月の完全移行に向け、現在段階的に地域クラブへの移行が進んでいます。「まつチャレ」ブランドのもとで9種目の地域クラブが整備され、生徒が学校の枠を超えて参加できる環境が整いつつあります。まつチャレサポートデスクの設置により、新規クラブの立ち上げや移行手続きに関する相談が一元化され、運営団体の負担軽減が図られています。長野県中学生期のスポーツ・文化芸術活動指針に準拠した活動時間・休日のルールが明文化されたことで、過度な活動による生徒の負担増大を防ぐ枠組みが整備されています。

出典

→ 原文: 部活動の地域展開(移行)(松本市ホームページ)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

松本市は過去10年で中学生が約800人減少するという少子化の実態を公開資料に明示したうえで、地域移行の必然性を客観的に説明している。市が整備した枠組みの核心は「まつチャレ」(まつもとチャレンジクラブ)という独自ブランドの確立で、陸上競技・ソフトテニス・バレーボールなど9種目の地域クラブに統一名称を与え、市の公開リストへの掲載を通じて信頼性を担保している。国が定める「地域クラブ活動」という行政用語をそのまま用いず、住民になじみやすいブランド名を設けた点は、指導者募集や保護者への広報においても訴求力を高める効果がある。長野県のガイドラインに準拠しながら市独自のサポート体制を構築し、令和9年3月の完全移行という明確な期限を設定して段階的な移行を進めている。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

「まつチャレサポートデスク」の設置は、地域移行でよく起きる「誰に相談すればよいかわからない」という問題を解消する実践的な施策だ。新規クラブの立ち上げを検討する団体から移行を検討する学校・保護者まで、登録手続き・補助制度の案内・施設と指導者の調整を一元的に引き受ける窓口を整備した。同時に、移行経費(指導者謝礼・スポーツ保険・備品購入・会場使用料等)を市が補助する制度を設け、立ち上げ期の財政的障壁を引き下げている。活動時間についても平日最大2時間・週末最大3時間、週2日以上の休養を基準として明文化し、過度な活動による負担増大を防ぐ枠組みを整備した。サポートデスクと補助制度をセットで構築したことが、令和9年の完全移行に向けた具体的な推進力となっている。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

「まつチャレ」モデルを他地域が導入する際の最初のハードルは登録クラブの受け皿確保だ。地域スポーツ協会・民間施設・大学体育会OBグループ等に声をかけて登録制クラブ群を形成することが第一歩となる。サポートデスクは専任職員がいなくても教育委員会内に担当係を設けるだけで機能する。受益者負担への移行は保護者の不安が大きいため、移行前から概算費用を示し補助制度とセットで説明することが混乱防止のポイントだ。少子化の実数データを公開資料に明示して移行の必然性を示した松本市の姿勢は、住民合意の形成においても参考になる。

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