トップ 事例を探す 山梨県 【事例】山梨県都留市の部活動地域展開 ─ 教育委員会が当面の運営主体を担い6種目から10種目へ拡大・令和8年度に認定制へ移行
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【事例】山梨県都留市の部活動地域展開 ─ 教育委員会が当面の運営主体を担い6種目から10種目へ拡大・令和8年度に認定制へ移行

公開:2026.09.03 更新:2026.09.03
この記事でわかること

・運営団体未定のまま規約に「当面は教育委員会が運営」と明記して先行スタートした都留市の進め方
・令和6年12月の6種目から約1年2か月で9種目131人へ拡大した実績と、参加率を示す公表方法
・令和8年度からの「都留市認定地域クラブ活動」認定制度と、市独自に定めた認定有効期間

自治体名 山梨県都留市
人口規模 約2.8万人(令和8年8月末日現在:27,790人・13,580世帯)
中学校数 3校(都留第一中学校・都留第二中学校・東桂中学校)
運営形態 市区町村運営型。規約第2条で「地域クラブ活動は、当面都留市教育委員会が中心となり、運営を行う。同時に、関係団体と協力し、運営主体の体制整備に取り組む」と規定。令和8年度からは「都留市認定地域クラブ活動」の認定制度へ移行
対象競技 令和6年12月開始の6種目(陸上競技・ソフトテニス・バレーボール・卓球・剣道・ラグビー)に、令和8年1月に軟式野球・相撲、同年2月に吹奏楽を追加。令和8年度の年間活動予定は弓道を加えた10種目
保護者負担額 未公表。基本方針で「各種目・活動の特性等を考慮し、できるだけ低廉な金額を設定し、徴収する」と規定。移行期間中は保護者と市が負担する案を検討し、移行完了後は受益者負担が基本とされています

取り組みの概要

山梨県都留市は、令和5年6月に「都留市地域クラブ活動推進協議会」を設置し、令和6年12月から段階的に地域クラブ活動への移行を開始しました。市内中学校の生徒数は減少傾向にある一方で各校の部活動数はあまり変わらず、周辺市町村の学校と合同チームを組んで大会に出場する状況が生じていたことが背景にあります。

都留市の特徴は、スポーツ・文化ともに運営団体や実施主体となる団体が決まっていない状態からスタートした点にあります。市は令和5年度に関係者間の連絡調整を行う総括コーディネーターを配置し、地域協議会と教育委員会が中心となって体制整備を進めました。

令和6年6月30日には都の杜うぐいすホールで保護者等説明会を開催し、同年12月に陸上競技・ソフトテニス・バレーボール・卓球・剣道・ラグビーの6種目で活動を開始しました。その後、令和8年1月に軟式野球・相撲、2月に吹奏楽が加わり、令和8年度の年間活動予定では弓道を含む10種目に広がっています。

令和7年12月に国が「部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン」を策定したことを受け、市は令和8年2月10日の第9回推進協議会で基本方針を「都留市認定地域クラブ活動基本方針」へ改定し、認定制度へ移行する方針を示しました。

特徴的な取り組み

  • 運営団体が決まらないまま「当面は教育委員会が運営」と規約に明記して先行スタート: 規約第2条は「地域クラブ活動は、当面都留市教育委員会が中心となり、運営を行う。同時に、関係団体と協力し、運営主体の体制整備に取り組む」と定めています。受け皿団体の確定を待たずに活動を始め、走りながら運営主体を育てる進め方です。令和5年度には関係者間の連絡調整を担う総括コーディネーターを配置しています。
  • 参加生徒数と対応する部活動部員数を並べて公表: 令和8年1月21日時点で、9種目の参加生徒は131人(1年36人・2年59人・3年36人)で、対応する部活動の部員数は301人と公表されています。種目別ではバレーボール45人、ソフトテニス38人、卓球15人、ラグビー15人、剣道6人、軟式野球6人など。バレーボールとラグビーを掛け持ちする男子3名といった重複登録も明記されています。
  • 小学生向け体験会で次の学年の参加者を先に確保: 市内7小学校(谷村第一・谷村第二・都留文科大学附属・東桂・宝・禾生第一・禾生第二)の児童195人を対象に体験会を実施し、令和8年2月3日時点で30人が参加しました。内訳はバレーボール12人、ソフトテニス5人、軟式野球4人などです。中学入学前から地域クラブに触れる機会を設けています。
  • 市内大学の教授2名を協議会委員に委嘱: 推進協議会の委員に市内の大学教授2名を委嘱し、専門的視点から助言を受ける体制を取っています。大学生の指導者活用や合同練習会の準備も進められており、大学が立地する市の特性を体制整備に生かす設計です。
  • 「3校合同」と「各校中心」の2つの運営体制を併存させる: 運営体制として、3中学校の生徒が合同で行う個別地域クラブ活動と、各校の生徒を中心とする個別地域クラブ活動の2類型を併存させています。種目ごとの部員数や指導者の状況に応じて、合同か単独かを選べる構造です。
  • 認定の有効期間を市独自に「翌々年度末まで」と設定: 令和8年2月10日の第9回推進協議会で基本方針を「都留市認定地域クラブ活動基本方針」へ改定し、認定の有効期間を「効力発生日が属する年度の翌々年度末まで」と定めました。国のひな型が3つの選択肢を示す中で、市が独自に期間を選択した形です。

課題と解決策

課題 解決策
スポーツ・文化ともに運営団体・実施主体となる団体や組織が決まっていない 規約第2条に「当面都留市教育委員会が中心となり運営を行う」と明記して先行スタートし、並行して関係団体と協力しながら運営主体の体制整備に取り組む。令和5年度に総括コーディネーターを配置して関係者間の連絡調整を担わせる
生徒数減少で単独校のチーム編成が困難になり、周辺市町村と合同チームを組んで大会に出場する状況が生じている モデル実践研究として市内中学校と隣村の中学校の合同チームを指定して課題を把握し、3中学校合同の個別地域クラブ活動を運営体制の一類型として制度に組み込む
中学入学後に地域クラブへ加入する生徒をどう増やすか 市内7小学校の児童195人を対象に体験会を実施し、入学前の段階から地域クラブの活動に触れる機会をつくる
国の新ガイドライン策定を受けて市の方針を更新する必要が生じた 令和8年2月10日の第9回推進協議会で基本方針を「都留市認定地域クラブ活動基本方針」へ改定し、認定制度と認定の有効期間(翌々年度末まで)を市として決定する

成果・効果

令和6年12月に6種目で開始した地域クラブ活動は、約1年2か月後の令和8年1月21日時点で9種目・参加生徒131人まで拡大しました。対応する部活動の部員数301人に対する参加割合が把握できる形で数値が公表されています。

体制整備に向けた会議・打合せは令和5年度に計8種類実施されました。推進協議会を年3回、運営団体・実施主体との打合せを4回、中学校長との打合せを各校4回、新入生保護者への説明を各校1回などです。運営団体が未確定の段階から、関係者との合意形成に時間を割いた経過が記録されています。

小学生向け体験会には市内7小学校の児童195人を対象として30人が参加しました。バレーボール12人、ソフトテニス5人、軟式野球4人などの内訳です。

出典

→ 原文: 都留市中学校部活動の地域展開/都留市

→ 原文: 第9回都留市地域クラブ活動推進協議会資料(令和8年2月10日)/都留市(PDF)

→ 原文: 都留市地域クラブ活動 保護者等説明会資料(令和6年6月30日)/都留市(PDF)

→ 原文: 都留市地域クラブ活動推進協議会(会議資料一覧)/都留市

→ 原文: 人口の推移/都留市

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域展開・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

都留市の事例が示すのは、「受け皿団体が決まってから始める」以外の進め方があるということです。規約第2条に『当面都留市教育委員会が中心となり、運営を行う』と明記し、同時に運営主体の体制整備に取り組むと宣言することで、団体探しで足踏みせずに活動を開始しています。運営団体の不在は多くの自治体が直面する壁ですが、都留市は教育委員会が暫定的に運営を引き受ける責任の所在を文書で確定させ、その上で6種目から10種目へ拡大しました。参加生徒131人と対応部活動の部員数301人を並べて公表している点も特筆に値します。移行の進み具合を分母つきで示す姿勢は、保護者への説明責任の面でも参考になります。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

他地域が同じ進め方を採る際の最大の論点は、教育委員会が運営主体を担う期間をどう区切るかです。「当面」という表現は柔軟である一方、期限を示さなければ暫定状態が固定化しかねません。都留市は令和8年度から認定制度へ移行し、認定の有効期間を翌々年度末までと定めることで、暫定運営から認定クラブへの移行スケジュールに区切りを入れています。導入時には、教育委員会が担う業務の範囲(会計・保険・指導者の委嘱など)を最初に列挙し、どれを何年度までに外部団体へ渡すかを工程表にしておくことが必要です。あわせて、市内に大学がある自治体であれば、都留市のように協議会委員へ大学教授を委嘱し、学生指導者の確保と専門的助言を同時に得る設計が有効です。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

推進協議会を令和5年6月から継続して開催し、第9回までの会議資料をPDFで公開している点で、意思決定過程の透明性は高い水準にあります。参加生徒数を種目別・学年別に、重複登録まで含めて公表する姿勢も評価できます。一方、保護者負担額は「できるだけ低廉な金額」という方針にとどまり金額が未公表で、移行期間中の市負担と移行後の受益者負担の切り替え時期も明示されていません。認定制度への移行を機に、費用負担の見通しを数字で示せるかが持続可能性の分かれ目になります。

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