【事例】香川県さぬき市の部活動地域展開 ─ 令和10年9月に平日・休日を同時展開し受け皿となる新運営団体を令和9年度に設立
・休日先行ではなく平日・休日を令和10年9月に同時展開するさぬき市の方針と年度別ロードマップ
・市内スポーツ・文化芸術団体が加盟する「新たな運営団体」を令和9年度に設立する受け皿設計
・同一種目に合同部活動方式・拠点校方式・スポーツ少年団活用を当てて比較する実証事業の使い方
| 自治体名 | 香川県さぬき市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約4.4万人(2026年時点) |
| 中学校数 | 3校(外部指導者による指導は3校すべてで実施、登録者数25名) |
| 運営形態 | 令和9年度に設立予定の「新たな運営団体」(市内スポーツ団体・文化芸術団体が加盟)が事務局を担い、さぬき市教育委員会が設立準備を担当。実施主体は公募・認定された認定地域クラブ |
| 対象競技 | 全種目(実証事業の実施種目は吹奏楽・柔道・剣道・バレーボール・軟式野球) |
| 保護者負担額 | 参加者による費用負担が原則。自立的な運営かつ持続的な活動が確保でき、可能な限り生徒が参加しやすい金額を設定するとされ、具体的な金額は推進計画に記載なし |
取り組みの概要
さぬき市教育委員会は令和8年2月、「さぬき市中学校部活動地域展開推進計画」を策定しました。津田・大川・寒川・長尾・志度の5町が合併してさぬき市となってからの24年間で市内中学校の生徒数はおよそ800人減少しており、令和13年までにさらに約100人減少する見込みです。部活動の種目数は合併当時と大きな変化がないため、1運動部活動当たりの部員数が減少し、団体競技でチームが組めなくなるなど生徒の活動に支障をきたしている状況にあります。
自分の専門分野を受け持つことができている部活動顧問(教員)は全体の約50%です。外部指導者による指導は3校すべてで行われており、登録者数は25名となっています。
推進計画で最も特徴的なのは到達点の置き方です。さぬき市立中学校の「平日及び休日」の部活動地域展開の開始を令和10年9月に目指すとしており、休日を先行させて平日を後回しにする一般的な段取りではなく、平日と休日を同時に展開する方針を掲げています。方針の項目にも「基本的には、休日だけでなく平日の地域展開も同時に展開する」と明記されています。
特徴的な取り組み
- 平日・休日の同時展開を令和10年9月に設定: 国のガイドラインが休日先行を基本とするなかで、さぬき市は平日と休日を同時に展開する方針を選びました。学校の働き方改革を推進するため地域展開の早期実施を進めるとし、場合によっては近隣市町と連携するなど広域的な視点で展開を検討するとしています。
- 「新たな運営団体」を令和9年度に設立: 市内のスポーツ団体・文化芸術団体に加盟してもらう形で新たな運営団体を設立し、その事務局が管理・指導を担います。設立準備はさぬき市教育委員会が担当し、令和9年度に設立総会(事業計画・予算案)を開催、認定地域クラブの公募・認定作業、生徒の募集要項作成・募集開始、指導者研修会、小学生対象の体験会まで一気に進める工程です。
- 「学校部活動の受け皿」に閉じない多世代組織を志向: 新たな運営団体について、学校部活動の受け皿としてだけでなく多世代が参加できる地域クラブ的な組織を目指すと明記しています。市内のスポーツ団体・文化芸術団体には自主活動を続けたまま加盟してもらう構成図が示されています。
- 実証事業を毎年度積み上げて方式を比較: 令和4年度の吹奏楽部(合同部活動方式・3パートに分けて実施、地域の指導者と市のマイクロバスを活用)に始まり、令和6年度は柔道部・剣道部(合同部活動方式)と男子バレーボール部(拠点校方式)、令和7年度は柔道部(スポーツ少年団の活用)、バレーボール部(男子は拠点校方式・女子は合同部活動方式)、軟式野球部(合同部活動方式)と、同じ種目でも異なる方式を試して比較しています。
- 令和8年度に各中学校2名の部活動指導員を配置: 改革実行期間初年度の令和8年度は、新運営団体の設立準備と並行して各中学校に2名の部活動指導員を配置します。運営団体ができるまでの空白期間を指導員で埋める設計です。
- 推進協議会を年3回・完了まで継続: 「さぬき市部活動地域展開推進協議会」を令和6年度から設置し、毎年3回開催しています。委員は学識経験者(香川大学副学長・元中学校長・県立高校長)、スポーツ協会会長、スポーツ少年団副本部長、スポーツ推進員会会長、文化協会会長、県教委指導主事、小・中学校長で構成され、地域展開が完了するまで定期的に開催すると明記されています。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 合併後24年で生徒数が約800人減少し、団体競技でチームが組めない | 合同部活動方式・拠点校方式・スポーツ少年団の活用という複数方式を実証事業で試し、種目ごとに適した方式を見極めてから地域クラブへ展開する |
| 専門分野を受け持てている部活動顧問が約50%にとどまる | 地域クラブは専門性と資質・能力を有する指導者を確保し、指導資格の取得を促す。市は研修会の開催と県・各種団体の研修会情報の提供で支援。教師等は兼職兼業の申請により報酬を受け取って指導できる |
| 保護者アンケートで「活動場所への送迎が増えるのではないか」「家庭の経済負担が大きくなるのではないか」という不安が上位 | 活動場所はさぬき市内の公共施設および小・中学校とし、学校を含む公共施設利用料の減免など地域クラブが活動しやすい環境を整備。会費は自立的運営を確保しつつ可能な限り生徒が参加しやすい金額に設定する |
| 学校部活動と地域クラブ活動が併存する期間に生徒の負担が重くなる | 国・県・市のガイドラインに準じた活動時間と休養日を運営団体・実施主体に遵守させ、学校と活動内容や活動の様子等の情報を共有する |
成果・効果
令和7年7月20日から8月31日にかけて、市内小学5・6年生と市内中学生およびその保護者を対象にアンケートが実施されました。回答数は小学5年生122人、小学6年生179人、中学生158人、中学生の保護者156人です。
保護者の85%が「学校部活動を地域展開していくことを知っている・少し知っている」と回答し、「地域クラブになった場合の費用負担についてどう思うか」という問いにも85%が「理解できる」と答えました。周知と費用負担の受け入れという2点で、すでに高い水準に達していることが示されています。地域クラブに期待することの最多は「専門的な指導が受けられるようになる」で、「交友関係が広がる」「教職員の負担軽減につながる」が続きました。
一方、小学生で「部活動が地域に展開されることを知っているか」に「知っている・なんとなく知っている」と答えたのは約40%にとどまり、周知の度合いに世代差があることも明らかになっています。生徒側で心配なこととして最も多かったのは「勉強との両立が難しくなるのでは」、保護者側では「活動場所への送迎が増えるのではないか」でした。推進計画は令和8年度の取組に、小学生(保護者)・中学生(保護者)への説明会の開催と推進計画の公開・啓発(学校含む)を明記しており、この周知ギャップへの対応が工程に組み込まれています。
出典
→ 原文: さぬき市「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方に関する総合的なガイドライン・地域展開推進計画」(さぬき市中学校部活動地域展開推進計画PDF・令和8年2月/さぬき市教育委員会)/香川県教育委員会「各市町の取組み」
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