「部活が地域展開されるって、お金はどこから出るの?」──子どもを持つ保護者の方から、こんな声をよく聞きます。学校の部活動と違い、地域クラブは自分たちで運営費を確保しなければなりません。でも、全国の先行地域を見てみると、うまく財源を組み合わせて運営を安定させているクラブがたくさんあります。
今回は、本サイトに掲載されている全国の事例も交えながら、「代表的な5つの財源パターン」をわかりやすくご紹介します。
①国の補助金を活用する
最初の財源として多くの地域が活用しているのが、スポーツ庁などの国の補助金です。「部活動の地域展開を支援する」という趣旨の補助事業があり、採択された自治体には一定期間、運営費の一部が国から補助されます。
人口約3,500人の中山間地域ながら、スポーツ庁の実証事業を活用して地域クラブ活動をスタート。補助金があったことで「まず小さく試してみる」ことができ、保護者負担を月額300円(保険料は無料)という低水準に抑えることに成功しています。
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また、沖縄県渡嘉敷村は同じくスポーツ庁の実証事業を受託し、ICTを使った島外プロ指導者による遠隔指導を月額3,000円で実現しました。人口約670人の離島という厳しい条件でも、補助金があったからこそ新しい仕組みをゼロから試せた事例です。
ただし、補助金には「終わり」があります。補助期間が終わっても運営を続けられるよう、最初から「補助なしでも回せる財務設計」を意識しておくことが大切です。補助金はあくまでも「立ち上げを後押しするもの」と考えるのがポイントです。
②参加費(会費)を集める
子どもや保護者から参加費を集めるのも、安定した財源のひとつです。全国の事例を見ると、金額はクラブや地域によってかなり幅があります。
・高知県土佐町:月額300円(保険料無料)
・滋賀県彦根市:月額1,000円
・茨城県つくば市:月額1,500円(市の補助金を活用して抑制)
・沖縄県渡嘉敷村:月額3,000円
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「無料にしてたくさん参加してほしい」という気持ちはよくわかりますが、無料モデルは行政や補助金への依存度が高まりすぎるリスクがあります。茨城県つくば市のように、市の補助金を活用して参加費を抑えながら、経済的に厳しいご家庭には別途支援制度を用意するという設計が、長く続くクラブに多く見られます。
③ふるさと納税・クラウドファンディングで地域を応援してもらう
最近注目されているのが、ふるさと納税やクラウドファンディングの活用です。「子どもたちがスポーツを楽しめる地域をつくる」というプロジェクトとして発信し、地域への思い入れがある方や企業からの寄付を集める方法です。
ガバメントクラウドファンディング(ふるさと納税型)を活用し、90日間の募集で237名から約569万円を調達しました。単なる資金集めにとどまらず、「地域の関心と支援を可視化する」広報効果も生まれ、事業のスタートダッシュに大きく貢献しています。
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また、沖縄県うるま市では、企業版ふるさと納税・クラウドファンディング・企業協賛を組み合わせることで、移行完了まで保護者負担をゼロに抑えることを実現しています。「企業版ふるさと納税」(地方創生応援税制)は企業の寄付額の最大9割が税額控除になる制度で、地元企業との連携ツールとしても活用できます。
④学校の施設や備品を活用させてもらう
「収入を増やすこと」だけでなく、「支出を減らすこと」も大切な財源確保です。地域クラブが学校の体育館やグラウンドを使う際の費用を、無料または低額にしてもらえると、運営コストが大幅に下がります。
地域クラブ「KOBE◆KATSU(コベカツ)」の活動場所として、学校施設を無償で提供することで運営コストを抑制。政令市という大規模な移行でも、施設費の負担をゼロにすることで参加しやすい環境をつくっています。
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新潟県阿賀野市では学校の活動備品(ボールや用具など)を無償で貸し出すルールを策定し、クラブが自前で道具をそろえる初期費用を大きく削減しました。「施設や備品を使わせてもらえるかどうか」を早い段階で確認しておくだけで、その後の費用計算がぐっと楽になります。
⑤地元企業の協賛を得る
地元に根付いた企業に、スポーツ用品や活動費の協賛をお願いするのも有効な手段です。ユニフォームへのロゴ掲載や、広報誌での紹介といった「企業にとってのメリット」をセットで提示すると、協力を得やすくなります。
地域クラブの練習着に企業名を掲載することで協賛料を集め、活動資金に充当する仕組みを実際に動かしています。「子どもたちのユニフォームに地元企業の名前が入る」という形は、企業側にとっても地域貢献を目に見える形で示せる点が好評です。
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地域の子どもたちへの貢献という観点から、社会貢献(CSR)に積極的な企業は意外と多いものです。まずは商工会議所や商工会を通じて呼びかけてみると、思わぬ支援者と出会えることがあります。
財源は「組み合わせ」が基本
ここで紹介した5つのパターン、実は「どれか1つで全部まかなえる」というものではありません。うまくいっているクラブは、複数の財源を組み合わせてリスクを分散させています。
先ほどご紹介した沖縄県うるま市はその典型例で、企業版ふるさと納税・クラウドファンディング・企業協賛・市独自予算を組み合わせることで、保護者負担ゼロという大胆な設計を実現しています。
全国の事例を見ると、立ち上げ期は国の補助金+学校施設の活用でスタートし、軌道に乗ってきたら参加費やふるさと納税・企業協賛を組み合わせていく、という段階的なアプローチが定着しやすいようです。
費用の面で不安を感じている保護者の方は、ぜひ親目線でやさしく整理したコラムもあわせてご覧ください。