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【事例】福岡県宇美町の部活動地域展開 ─ 「うみ活モデル」指針策定×NPO×既存団体ハイブリッド型運営で4段階スケジュール展開

公開:2026.05.21 更新:2026.05.21
この記事でわかること

・宇美町が令和7年3月31日に策定した11項目構成の地域クラブ活動指針「うみ活モデル」の制度設計
・NPO法人ふみの里スポーツクラブ×既存スポーツ協会/少年団のハイブリッド型運営による単一団体依存リスク回避
・〜R4改革推進3部活動→R5 6部活動→R6/R7準備期間→R8実行期間の4段階拡大スケジュール

自治体名 福岡県糟屋郡宇美町
人口規模 約3.6万人(2024年時点)
中学校数 3校(宇美中学校・宇美東中学校・宇美南中学校)
運営形態 NPO法人ふみの里スポーツクラブ×宇美町スポーツ協会・スポーツ少年団・文化協会のハイブリッド型(うみ活モデル)
対象競技 男子ソフトテニス・女子ソフトテニス・陸上・サッカー・女子バレーボール(R5年度6部活動)→令和8年度実行期間で全部活動展開予定
保護者負担額 可能な限り低廉な会費設定。要保護・準要保護世帯への参加費支援を検討中

取り組みの概要

福岡県糟屋郡宇美町は、令和7年3月31日に「宇美町の生徒にとって望ましい地域クラブ活動『うみ活モデル』」を策定。「学校・PTA・地域のスポーツ団体等で構成された宇美町地域クラブ活動推進検討委員会」での協議を経て、町内3中学校(宇美中・宇美東中・宇美南中)を対象とした地域クラブ活動の構築方針を明文化した。スケジュールは令和4年度までを「地域展開改革推進期間」(3中学校3部活動)、令和5年度に6部活動へ拡大、令和6〜7年度を「地域展開準備期間」、令和8年度から「実行期間」として地域クラブへ本格展開する4段階設計。運営団体・実施主体としてNPO法人ふみの里スポーツクラブ(既存の総合型地域スポーツクラブ)と宇美町スポーツ少年団等の既存クラブチームを融合させる「ハイブリッド型」を採用している。

特徴的な取り組み

  • 「うみ活モデル」指針の策定: 令和7年3月31日に町教委が地域クラブ活動指針「うみ活モデル」を策定。目的・部活動の意義・休養日設定・指導者・運営団体・指導者の質保障/量確保・教師兼職兼業・活動内容・活動場所・会費設定・保険加入の11項目を体系化した町独自ガイドライン。
  • NPO×既存団体ハイブリッド型運営: NPO法人ふみの里スポーツクラブが指導者派遣で地域クラブ活動を実施するパターンと、宇美町スポーツ少年団等の既存クラブチームを実施主体とするパターンの2つを融合。単一団体依存のリスクを回避。
  • 4段階スケジュール設計: ①〜R4「改革推進期間」3部活動→②R5「改革推進期間」6部活動→③R6〜R7「準備期間」指導員確保・活動数増→④R8「実行期間」3中学校部活動を地域クラブへ展開。段階的な拡大で確実性を担保。
  • 「全生徒対象」の包摂設計: 学校部活動所属生徒だけでなく、未所属生徒・スポーツ文化芸術活動が苦手な生徒・障がいの有無に関わらず全ての生徒を対象。誰もが参加できる地域クラブ活動を志向する明示的な指針。
  • 2つの検討会議による多層協議: 「宇美町地域クラブ活動推進検討委員会」(政策決定)と「宇美町立中学校地域クラブ活動運営等検討会議」(運営協議)の2つの場を設置。政策と運営の責任を分離した二層構造。

課題と解決策

課題 解決策
単一運営団体への依存リスク NPO法人ふみの里スポーツクラブと既存団体(スポーツ少年団・スポーツ協会・文化協会)のハイブリッド型運営でリスク分散
指導者の質保障と量確保の両立 公認スポーツ指導者資格取得の促進、部活動指導員・退職教師・教師兼職兼業・大学生・保護者など多様な人材から確保。ICT遠隔指導も体制整備
経済的困難家庭の生徒の参加機会保障 運営団体・実施主体が「可能な限り低廉な会費」を設定。要保護・準要保護世帯への参加費支援を町教委が検討
暴言・暴力・ハラスメント根絶 運営団体内の相談窓口設置と、JSPO等統括団体相談窓口の活用。県・町教委・スポーツ団体とは別の第三者相談ルートも整備

成果・効果

令和5年度時点で、3中学校6部活動(宇美中の男子ソフトテニス・陸上、宇美東中の男子ソフトテニス・女子ソフトテニス・サッカー、宇美南中の男子ソフトテニス・女子ソフトテニス・女子バレーボール)の地域展開が進捗中。令和7年度には指導員確保を進め、令和8年度から「実行期間」として地域クラブへの本格展開を開始する。「うみ活モデル」指針には、生徒・保護者・指導者・運営団体それぞれの役割と責任を明確に定義した運営ガイドラインが収録され、他自治体でも参考にできる包括的な設計書となっている。NPO法人ふみの里スポーツクラブの既存リソースと、町内3中学校の部活動を段階的に統合していくロードマップが明確化されている。

出典

→ 原文: 宇美町公式サイト「宇美町の生徒にとって望ましい地域クラブ活動指針『うみ活モデル』の策定について」

→ 指針本文: 宇美町地域クラブ活動指針『うみ活モデル』本文(PDF・令和7年3月31日策定)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

宇美町の最大の強みは「うみ活モデル」という11項目構成の包括的ガイドラインを策定した点。多くの自治体が「方針」レベルで止まるなか、宇美町は指導者の質保障・量確保・教師兼職兼業・活動内容・施設・会費・保険までを1冊の文書に体系化した。NPO法人ふみの里スポーツクラブの既存リソースを活用しつつ、既存の各種団体(スポーツ少年団・スポーツ協会・文化協会)との連携を「ハイブリッド型」として明示する設計は、単独団体依存のリスクを避けつつ既存組織の力を最大限に活用する合理的な選択。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

「うみ活モデル」のような包括的ガイドライン策定には、地域団体(特にNPO法人ふみの里スポーツクラブのような実績ある総合型クラブ)が既に存在することが前提となる。総合型クラブが未成熟な自治体では、まず総合型クラブの育成から始める準備期間が必要。また、男子ソフトテニス3校から始まる段階的拡大は手堅いが、6部活動からどう全部活動展開につなげるかの具体策(指導員確保・大会出場資格・移動手段)が令和7〜8年度の課題となる。指針はあくまで「目指す姿」であり、具体的な数値目標と実行体制は別途整える必要がある。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

2つの検討会議(推進検討委員会×運営等検討会議)の二層構造は、政策決定と運営協議の責任分離に成功している。スポーツ団体ガバナンスコード準拠・会計透明性・第三者相談窓口活用といった内部統制の仕組みも「うみ活モデル」内に明記されており、長期的な持続可能性は高い設計。要保護・準要保護世帯への参加費支援を「検討する」と明示している点も、参加機会の公平性を確保する重要なガバナンス要素である。

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