トップ 事例を探す 山形県 【事例】山形県天童市の部活動地域展開 ─ 6種目の合同部活動から令和8年度の地域クラブへ段階移行
全種目 👥 5~10万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 山形県

【事例】山形県天童市の部活動地域展開 ─ 6種目の合同部活動から令和8年度の地域クラブへ段階移行

公開:2026.05.04 更新:2026.05.17
この記事でわかること

・令和5年度の全校試験実施から令和8年度の本格移行までを3段階に分けた慣らし運転型のロードマップ。
・総合型クラブ・少年団・民間クラブ等を受け皿に想定し、特定組織への依存を避けた分散型の実施体制。
・保護者負担への補助が現時点で未定であり、経済的格差による参加率の二極化が潜在的なリスクとなる。

自治体名 山形県天童市
人口規模 約6.3万人(2020年国勢調査)
中学校数 4校
運営形態 総合型地域スポーツクラブ・スポーツ協会・スポーツ少年団・競技団体等(多様な実施主体を想定)
対象競技 陸上、バレーボール、サッカー、バドミントン、バスケットボール、吹奏楽(令和6年度試験実施種目)
保護者負担額 受益者(保護者)負担を想定(補助は現時点で未定)

取り組みの概要

少子化による生徒数減少で1校だけではチーム編成が難しい部活が出始めた天童市は、令和5年度から市内全校で休日の合同部活動を試験実施してきました。国の方針を踏まえ「地域移行」から「地域展開」へと名称を改めた令和6年12月以降、本市でも「地域展開」として取り組みを継続しています。令和8年度から休日部活動は原則「地域クラブ」で行う環境を整え、平日の部活動は引き続き中学校で実施するという二本立ての体制を目指しています。

特徴的な取り組み

  • 合同部活動による地域クラブ化の準備: 令和6年度から陸上・バレーボール・サッカー・バドミントン・バスケットボール・吹奏楽の6種目以上で、複数校合同の休日部活動を試験実施。学校の枠を超えて参加でき、部活動顧問や地域の外部指導者が指導にあたっています。
  • 多様な実施主体の活用: 運営母体として、天童市総合型地域スポーツクラブ「あかねエンジョイクラブ」、天童市スポーツ少年団、天童市スポーツ協会加盟団体、民間スポーツクラブ、芸術文化協会加盟団体など多様な受け皿を想定し、特定の主体に依存しない体制を構築しています。
  • 指導者養成費の半額補助: 天童市スポーツ協会が、指導者の資格取得にかかる受講料・交通費の半額を補助(令和7年度からは資格更新・昇格取得も対象)。持続可能な指導者確保に向けた人材育成を支援しています。
  • 安全・指導環境の整備: 暴力・体罰・ハラスメント等の根絶を含む市独自の研修会を計画し、地域クラブでも適切な指導が行われる環境づくりを進めています。

課題と解決策

課題 解決策
1校のみでチーム編成が困難な部活の増加 複数校合同の休日合同部活動を試験実施し、地域全体でチームを組める環境を整備
教員の休日指導・専門外指導の負担 令和8年度から休日は地域クラブへ移行し、外部指導者が担う体制へ転換
地域クラブの指導者確保 スポーツ協会が資格取得費用の半額補助を実施し、指導者の人材育成と確保を推進
保護者の経費・送迎負担の増加 活動場所への移動は徒歩・自転車または保護者送迎を基本とし、地域クラブ選択の際は保護者が費用を各団体に確認する仕組みを案内

成果・効果

令和5年度から市内全校で休日の合同部活動を試験実施し、令和6年度には6種目以上に拡大。少子化で存続が危ぶまれていた部活動において、学校の枠を超えた合同活動が軌道に乗り始めています。令和7年度には「準備の整った部から順次、地域クラブへアップデート」する移行フェーズに入っており、令和8年度の本格移行に向けた基盤整備が進んでいます。

出典

→ 原文: 天童市公式ホームページ「天童市立中学校部活動地域展開について(Q&A版)」令和7年4月

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

天童市は少子化による生徒数減少を受け、令和5年度から市内全4校で休日の合同部活動を試験実施した。令和6年12月に「地域移行」から「地域展開」へと名称を改めた国の方針転換を踏まえ、同市もこの呼称を採用し取り組みを継続している。令和6年度には陸上・バレーボール・サッカー・バドミントン・バスケットボール・吹奏楽の6種目以上に拡大し、令和7年度に「準備の整った部から順次、地域クラブへ移行」、令和8年度に休日部活動を原則「地域クラブ」で行う体制を目指す3段階のロードマップを設定している。平日の部活動は引き続き中学校で実施する二本立ての体制を軸に据えており、関係者が変化に慣れる時間を確保しながら段階的に進める設計になっている。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

天童市の取り組みで注目されるのは、特定の組織に依存しない分散型の受け皿設計と、指導者の人材育成への支援だ。受け皿として想定されるのは、総合型地域スポーツクラブ「あかねエンジョイクラブ」・スポーツ少年団・スポーツ協会加盟団体・民間スポーツクラブ・芸術文化協会加盟団体と幅広く、一組織の経営悪化が地域展開全体に影響するリスクを分散する構造となっている。指導者確保については、天童市スポーツ協会が資格取得にかかる受講料・交通費の半額を補助する制度を設け、令和7年度からは資格更新・昇格取得も対象に加えている。さらに、暴力・体罰・ハラスメント根絶を含む市独自の研修会を計画しており、地域クラブ移行後も指導の質と安全性を維持するソフト面の整備を早期から進めている点が特徴的だ。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

天童市モデルを参考にする際に最初に検討すべきは、「準備の整った部から順次移行」という段階的スケジュールの設計だ。全種目を一括移行しようとすると関係者の合意形成が難しくなるが、種目ごとに移行時期をずらすことで、準備が整わない競技を強制的に移行する必要がなくなる。一方、保護者負担への補助が現時点で未定である点は、経済的格差が大きい地域では参加率の二極化を招くリスクをはらむ。段階移行の仕組みを取り入れる場合は、低所得世帯向けの補助制度との同時設計を検討することが課題解決の鍵となる。

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