トップ 事例を探す 山形県 【事例】山形県酒田市の部活動地域展開 ─ 総合型クラブを受け皿に9クラブ170名の外部指導者体制・コーディネーター配置で段階的移行
全種目 👥 5~10万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 山形県

【事例】山形県酒田市の部活動地域展開 ─ 総合型クラブを受け皿に9クラブ170名の外部指導者体制・コーディネーター配置で段階的移行

公開:2026.05.03 更新:2026.05.17
この記事でわかること

・専任コーディネーター配置により推進体制を一元化し、セミナー・先進地視察・アンケートを計画的に実施
・既存総合型クラブへの再委託で設立コストを最小化しながら7校9クラブ・外部指導者170名体制を構築
・年会費1,200円からの低廉な設定でスポーツ安全保険込みでも年間2,000円程度の負担に抑制

自治体名 山形県酒田市
人口規模 約9万4,800人(2024年6月時点)
中学校数 7校(市立中学校)
運営形態 総合型地域スポーツクラブへの再委託(市内7校のうち3校は既存クラブが受け皿、4校は設立交渉中)
対象競技 バスケットボール・バレーボール・軟式野球・ソフトテニス・サッカー・陸上競技 など複数種目
保護者負担額 年会費1,200円〜5,000円(クラブにより異なる)+スポーツ安全保険800円/年

取り組みの概要

山形県酒田市は人口約9.5万人・中学校7校を抱える庄内地方の中核都市である。令和4年度までの10年間で在籍生徒数が750人減少し、令和6年度現在では2,177人・103部活にまで縮小した。加入率も73.3%(平成24年度)から66.6%(令和4年度)へと低下傾向にあり、少子化の加速に伴い多くの種目で学校単位のチーム編成が困難になっている。こうした背景を受け、酒田市は令和6年4月に「部活動改革総括コーディネーター」を配置し、教育委員会主導で地域クラブへの再委託体制を整備した。市内7校のうち3校については既存の総合型地域スポーツクラブが受け皿となって地域クラブ活動を実施しており、残り4校についても地元スポーツ団体との協議を進めている。

特徴的な取り組み

  • 部活動改革総括コーディネーターの配置: 令和6年4月、市教育委員会内に「部活動改革総括コーディネーター」を専任配置し、地域クラブへの再委託交渉・サポーターセミナーの企画・アンケート実施・先進地視察等を一元的に担う体制を構築した。担当者が明確になることで取り組みの推進力が大幅に向上している。
  • 総合型地域スポーツクラブを受け皿とした再委託モデル: 市内に既存する総合型地域スポーツクラブ(きらり川南スポーツクラブ・ひらた目ん玉スポーツクラブ等)を地域クラブ活動の受け皿として再委託し、外部指導者170名体制で7校9クラブの活動を支えている。設立コストを最小化しながら即戦力となる運営基盤を活用している点が特徴的である。
  • 年間1,200円からの低廉な参加費設定: きらり川南スポーツクラブでは年会費1,200円(中学生コース)という低廉な参加費を設定し、経済的理由による参加障壁を下げている。スポーツ安全保険(生徒800円/年)を含めても年間2,000円程度の負担に抑えている。
  • サポーターセミナーと先進地視察による関係者育成: 令和6年5月・11月の2回にわたりサポーターセミナーを開催(各回約50名参加)し、地域クラブの運営スタッフ・指導者候補者のスキルアップを図った。令和7年1月には先進地視察として長岡市・神栖市を訪問し、先行自治体のノウハウを取り入れている。

課題と解決策

課題 解決策
10年間で750人超の生徒数減少による部活動維持困難 総合型地域スポーツクラブへの再委託で複数校の生徒が合同で活動できる体制を整備し、種目存続を図る
外部指導者の確保と運営スタッフの不足(30〜40名程度不足) 部活動改革総括コーディネーターが中心となりサポーターセミナー等で人材育成・マッチングを推進
7校中4校における受け皿クラブの未整備 市内7校のうち3校は既存総合型クラブ活用、残り4校は地元スポーツ団体と協議を継続中
令和6年7〜8月の豪雨災害による関係会議の遅延 被災後も関係者アンケートや審議会を秋以降に再設定し、当初計画通りの年間実施を維持

成果・効果

令和6年度末時点で9クラブが稼働し、バスケットボール・バレーボール・軟式野球・ソフトテニス・サッカー・陸上競技など複数種目で地域クラブ活動が行われている。きらり川南スポーツクラブでは1〜3年生合計101名(1年22名・2年45名・3年34名)、ひらた目ん玉スポーツクラブでは合計85名(1年28名・2年22名・3年35名)が参加しており、部活動継続率の維持に貢献している。令和6年度はスポーツ庁の地域スポーツクラブ活動体制整備事業(実証事業)に参加し、取り組みの成果を全国的な参考資料として提供した。外部指導者170名・運営スタッフ約30名の体制が整備され、教員が顧問を兼ねなくても地域クラブが自立して運営できる組織基盤が形成されつつある。

出典

→ 原文: スポーツ庁 令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 実証事業報告(山形県酒田市)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

酒田市では令和4年度までの10年間で在籍生徒数が750人超減少し、令和6年度時点では2,177人・103部活にまで縮小している。加入率も73.3%(平成24年度)から66.6%(令和4年度)へと低下傾向が続き、学校単位のチーム編成が困難な種目が増えていた。こうした実態を踏まえ、酒田市は令和6年4月に「部活動改革総括コーディネーター」を専任配置し、地域クラブへの再委託体制の整備を教育委員会主導で本格化させた。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

酒田市は新規の運営主体を設立するのではなく、市内に既存する総合型地域スポーツクラブに活動を再委託する方式を採用した。きらり川南スポーツクラブやひらた目ん玉スポーツクラブなど、施設・指導者・保険・会計体制をすでに持つクラブを受け皿とすることで、設立コストを最小化しながら外部指導者170名体制を構築している。令和7年1月には長岡市神栖市への先進地視察でノウハウを取り入れ、移行計画の精度を高めている。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

令和6年度末時点で9クラブが稼働し、きらり川南スポーツクラブに101名、ひらた目ん玉スポーツクラブに85名が参加している。スポーツ庁の地域スポーツクラブ活動体制整備事業(実証事業)にも参加し、取り組みの成果を全国的な参考資料として提供した。一方、7校のうち4校は受け皿クラブとの協議が継続中であり、全校整備に向けた取り組みは段階的に進んでいる。

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