トップ 事例を探す 山口県 【事例】山口県宇部市の部活動地域展開 ─ 桃山中野球部発の「桃山クラブ」設立・平日も含めた地域クラブ完全移行を目指す先行モデル
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【事例】山口県宇部市の部活動地域展開 ─ 桃山中野球部発の「桃山クラブ」設立・平日も含めた地域クラブ完全移行を目指す先行モデル

公開:2026.05.17 更新:2026.05.19
この記事でわかること

・平日も含めた完全地域移行を目標として最初から制度設計している点
・受け皿を総合型SC・スポ少・NPO法人の3種類に制度として明示している点
・原則学校単位・例外ブロック単位の2層設計で競技特性に対応している点

自治体名 山口県宇部市
人口規模 約15.7万人
中学校数 市立中学校
運営形態 市教育委員会主導/総合型地域SC・スポ少・NPO法人を受け皿の中核に/原則学校単位、競技によりブロック単位の拠点型
対象競技 桃山中野球部「桃山クラブ」が先行事例/各種目で体制が整ったところから順次移行
移行スケジュール 平日も含めた地域クラブ活動への完全移行を目標

取り組みの概要

宇部市は、休日だけでなく平日も含めた中学校部活動の地域移行を進めており、体制が整ったところから順次「地域クラブへの移行」を実施している。少子化に伴い部活動が廃部になったり、部員減少で大会・コンクールに出場できなかったりする学校が増えていることを背景に、「平日も含めた地域クラブ活動への完全移行」を目標として掲げている点が特徴である。

受け皿となる地域クラブの実施主体は、総合型地域スポーツクラブ、スポーツ少年団、NPO法人などを想定している。原則として学校単位での移行を進めつつ、競技によっては市内を数ブロックに分けたブロック単位での「拠点型クラブ」として合同で活動することも可能にする2層設計が採られている。

先行事例として、2024年2月に同市小串の桃山中学校野球部が平日を含めて地域クラブに移行し、「桃山クラブ」が立ち上がった。地域移行後は学校の助成や教員の部活動手当がなくなり、クラブの収入は部員から徴収するクラブ費のみとなっており、費用負担と運営持続性が現場の課題として顕在化している。

特徴的な取り組み

  • 平日も含めた完全地域移行を目標: 多くの自治体が「休日のみ先行」とする中、宇部市は平日も含めた完全移行を目標として掲げる先進的な設計。
  • 桃山クラブの先行事例: 2024年2月に桃山中野球部が平日を含めて地域クラブに移行し、市内最初の「平日含む地域クラブ」として始動。
  • 3種類の受け皿想定(総合型SC・スポ少・NPO法人): 受け皿の中核として総合型地域スポーツクラブ・スポーツ少年団・NPO法人を想定し、運営主体の選択肢を制度として明示。
  • 学校単位+ブロック単位の2層設計: 原則は学校単位だが、競技によっては市内を複数ブロックに分けた「拠点型クラブ」で合同活動可能とする柔軟設計。
  • 運営方針・通信の継続発信: 「宇部市立中学校部活動及び地域クラブ活動運営方針」「『部活動の地域移行』通信」を継続発信し、関係者・市民への情報共有を継続。

課題と解決策

課題 解決策
地域移行後の費用負担増 桃山クラブの先行事例から、クラブ費のみが収入源となる現実が見えており、市が費用負担構造の課題として議会等で議論
受け皿の多様性確保 総合型SC・スポ少・NPO法人の3種類を制度として認め、地域団体の参入経路を複数化
少子化で単独校では成立しない競技 競技によってはブロック単位の「拠点型クラブ」を制度として認め、複数校合同を可能化
平日地域移行に伴う教員勤務体系の変更 市の部活動および地域クラブ活動運営方針を改訂し、平日活動の制度的枠組みを整備

成果・効果

宇部市の取り組みは、「平日も含めた完全地域移行」を明確な目標として掲げ、桃山クラブという先行事例を実現している点で参照価値が高い。多くの自治体が「まず休日のみ」「将来的に平日も検討」という段階的アプローチを採るのに対し、宇部市は最初から完全移行を視野に入れた制度設計を進めており、地域移行の到達点を先取りした事例となっている。

同時に、桃山クラブの先行運用から「クラブ費のみの収入で運営持続性が課題」という現実的な論点が見えており、議会一般質問で活動費は保護者負担とする市の見解が示されるなど、財政設計の論点が早期に顕在化している。これは「平日完全移行」を目指す全国の自治体にとっての貴重な先行知見である。「平日完全移行を進めると保護者負担が増える」という構造を、桃山クラブの実例で示しているとも言える。

出典

→ 原文: 学校部活動の地域移行|宇部市公式ウェブサイト

→ 原文: 学校部活動の地域展開|宇部市公式ウェブサイト

→ 原文: 「部活動の地域移行」通信|宇部市公式ウェブサイト

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

山口県宇部市は、休日のみの先行移行ではなく、平日も含めた完全な地域クラブ移行を目標として掲げている点が際立っている。多くの自治体が改革推進期間中は休日のみに絞り、改革実行期間以降に平日を検討する段階的アプローチを採るのに対し、宇部市は最初から完全移行を視野に入れた制度設計を進めている。「宇部市立中学校部活動及び地域クラブ活動運営方針」や「『部活動の地域移行』通信」を継続発信し、関係者と市民への情報共有を絶やさず進めている点も特徴である。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

受け皿は総合型地域スポーツクラブ・スポーツ少年団・NPO法人の3種類を制度として明示し、運営主体の選択肢を複数化している。原則は学校単位だが、競技によっては市内を複数ブロックに分けた「拠点型クラブ」として合同活動を可能とする2層設計を採用しており、少子化で単独校では成立しない競技にも対応できる柔軟性を備える。同様に拠点型を採用する所沢市とは異なり、宇部市は学校単位を原則に据える点が異なる。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

2024年2月に立ち上がった桃山クラブの先行運用では、学校の助成や教員の部活動手当がなくなり、収入がクラブ費のみになる構造が早期に顕在化した。平日完全移行を進める自治体すべてが直面する論点であり、宇部市が先んじてこの課題を可視化していることは、後続自治体が財政設計を準備するうえで貴重な先行知見となっている。

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