トップ 事例を探す 宮崎県 【事例】宮崎県都城市の部活動地域展開 ─ 部活動指導員のモデル校配置と「みやこんじょオンデマンド部活動サイト」による地域連携型改革
全種目 👥 10~30万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 宮崎県

【事例】宮崎県都城市の部活動地域展開 ─ 部活動指導員のモデル校配置と「みやこんじょオンデマンド部活動サイト」による地域連携型改革

公開:2026.07.26 更新:2026.07.26
この記事でわかること

・都城市が進める部活動指導員モデル校方式(令和6年度2校2部→令和8年度5校6部)の実際
・時給1,627円・労災適用まで明示した指導員公募と「みやこんじょオンデマンド部活動サイト」の仕組み
・地域クラブ新設によらない「地域連携型」改革から始める選択肢と他自治体への示唆

自治体名 宮崎県都城市
人口規模 約16.0万人(令和7年国勢調査・速報値)
中学校数 20校(市立・生徒4,703人/令和8年5月1日基準)
運営形態 行政直営(市教育委員会学校教育課)。部活動指導員は市の会計年度任用職員として配置
対象競技 吹奏楽、陸上、軟式野球、バドミントン(指導員配置校)。動画配信は陸上・野球・バスケットボール・バドミントン・吹奏楽・バレーボール・美術の7分野
保護者負担額 公表資料に記載なし(部活動指導員の人件費は市任用のため市負担)

取り組みの概要

都城市は平成31年2月に「都城市部活動の在り方に関する方針」を策定し、生徒にとって望ましい環境の構築と教員の負担軽減を目的に、週2日以上の休養日(平日1日・週末1日、第3日曜「家庭の日」は原則活動なし)や平日2時間・休業日3時間程度の活動時間基準を定めてきました。令和6年度からは「子どもたちの願いや望みをかなえる部活動改革」として「都城市持続可能な部活動推進事業」を開始。総括コーディネーターの配置、部活動指導員の配置、指導者研修会の実施を柱に、地域の指導人材を学校部活動に取り込む地域連携型の改革を進めています。休日部活動を地域クラブへ移行する形ではなく、モデル校への指導員配置と市独自の動画配信を組み合わせ、持続可能な部活動の実現を目指すアプローチです。

特徴的な取り組み

  • 元教諭・クラブ指導者を部活動指導員として登用するモデル校方式: 令和6年8月から祝吉中学校吹奏楽部(前年度まで同校教諭だった指導員)と志和池中学校陸上競技部(クラブチーム指導経験者)の2校2部で開始。令和8年度には祝吉中・妻ケ丘中の吹奏楽部、志和池中の陸上部、山田中の軟式野球部、有水中の男女バドミントン部の5校6部に拡大しています。
  • 会計年度任用職員としての待遇明示: 部活動指導員は時給1,627円・週11時間以内・週3日以内で市が任用し、通勤手当や労災も適用。市ホームページに公募登録フォームを常設して応募希望者を随時受け付けています。
  • 「みやこんじょオンデマンド部活動サイト」: 市教育委員会が指導経験豊富な指導者の協力を得て自主練習メニュー動画を制作・公開。生徒向け(自宅トレーニング用)と指導者向け(指導力向上資料)の2本立てで、陸上・野球・バスケットボール・バドミントン・吹奏楽・バレーボール・美術の7分野をカバーしています。
  • 総括コーディネーターと指導者研修会: 指導員個人に依存せず、総括コーディネーターの配置と研修会により指導の質を組織的に高める体制を取っています。

課題と解決策

課題 解決策
専門的指導を求める生徒と顧問のスキルの不一致 元教諭・クラブ指導経験者を部活動指導員としてモデル校に配置し、専門指導を提供
指導人材の裾野の確保 市ホームページに公募登録フォームを常設し、随時応募を受け付ける仕組みを整備
指導員を配置できない学校・部への支援 オンデマンド動画配信により、配置校以外の生徒・指導者も専門的な練習メニューにアクセス可能に

成果・効果

モデル校の志和池中学校陸上競技部では、専門指導の開始後に部員が自己ベストを更新するなど成績に結びついていると広報都城(令和7年4月号)で紹介されています。指導員配置は令和6年度の2校2部から令和8年度には5校6部へと拡大し、令和8年度の都城市学校教育ビジョンにも「持続可能な部活動の実現」が明記されました。教員の残業削減時間などの定量的な成果指標は調査時点で公表されていませんが、宮崎県が令和5年9月の県方針で市町村に求める部活動改革の流れの中で、地域人材の活用とICTを組み合わせた都城市独自の形が動き始めています。

出典

→ 原文: 都城市部活動の在り方に関する方針(都城市公式)
→ 原文: 広報都城 令和7年4月号「部活動改革」特集(PDF)
→ 原文: 都城市 部活動指導員について(令和8年度配置校・待遇)
→ 原文: みやこんじょオンデマンド部活動サイト(都城市教育委員会)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

都城市の事例が示すのは、「地域移行=地域クラブの新設」だけが改革の形ではないという選択肢です。同市は受け皿組織を急いで立ち上げる代わりに、指導員の任用条件(時給1,627円・週11時間以内・労災適用)を明示した公募と、退職教員・クラブ指導者という確実な人材から始めるモデル校方式を採りました。さらに「みやこんじょオンデマンド部活動サイト」で専門指導を動画として全域に届ける発想は、指導員を全校に配置できない現実を逆手に取った補完策です。人的資源が限られる地方都市が「今すぐできる地域連携」から着手する現実的な設計として参考になります。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

指導員モデル校方式を導入する際のハードルは、待遇設計と人材発掘です。謝金水準や勤務条件が曖昧なままでは応募が集まらないため、都城市のように時給・上限時間・労災適用まで公開して常設フォームで募る形が有効です。退職教員は学校文化を理解している分、立ち上げ期の摩擦が少ない一方、その人しかいない状態は持続性のリスクになります。総括コーディネーターと研修会で指導の質を組織化する都城市の構えは、この属人化対策として重要です。動画配信は制作協力者の確保と著作権・肖像権の整理が前提となるため、教育委員会が運営主体となる体制を先に固めることを推奨します。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

平成31年策定の市方針から令和8年度学校教育ビジョンへの明記まで、政策文書上の位置付けが一貫しており、指導員の待遇・配置校を市ホームページで公開する透明性も確保されています。指導員が市の会計年度任用職員である点は、財源が市予算に依存する構造でもあり、配置拡大のペースは予算規模に規定されます。今後、県方針が求める休日の地域連携・地域移行にどう接続するかが次の論点であり、現在の指導員ネットワークとオンデマンド基盤は、その際の受け皿づくりの土台として機能する可能性があります。

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