トップ 事例を探す 埼玉県 【事例】埼玉県越谷市の部活動地域展開 ─ 15校266部活動×約1.5万人アンケート×県計画連動のR7-R8推進計画
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【事例】埼玉県越谷市の部活動地域展開 ─ 15校266部活動×約1.5万人アンケート×県計画連動のR7-R8推進計画

公開:2026.07.08 更新:2026.07.08
この記事でわかること

・越谷市の15校266部活動×約1.5万人アンケートに基づく計画策定プロセス
・移行検討会(R4.8)→推進会議(R5.12)→推進計画(R7.3)の3段階ガバナンス
・保護者想定月謝と現行月謝のギャップから読み解ける費用設計の論点

自治体名 埼玉県越谷市
人口規模 約34.4万人(中核市)
中学校数 市立15校(生徒数8,386名/R6年5月1日時点)
運営形態 行政直営「越谷市中学校部活動地域移行検討会」(R4.8設置)+「越谷市中学校部活動地域移行推進会議」(R5.12設置)/埼玉県地域クラブ活動推進計画と連動
対象競技 運動部21種目・文化部12種目の総266部活動(R7年度)/柔道・剣道・卓球・バスケ・バレー・ソフトテニス・硬式テニス・野球・サッカー・陸上・ソフトボール・バドミントン・水泳・ハンドボール/伝統文化・コンピュータ・科学・手芸・吹奏楽・美術・総合学習・囲碁将棋・演劇・英語・書道・園芸 ほか
保護者負担額 アンケートで保護者が想定する妥当月謝: 小学5・6年生保護者「3,001〜5,000円」34%が最多/中学1・2年生保護者「1,001〜3,000円」39%が最多(現行月部費は「1,000円以内」74%)

取り組みの概要

埼玉県越谷市は令和4年8月に「越谷市中学校部活動地域移行検討会」を事務局として立ち上げ、令和5年12月に「越谷市中学校部活動地域移行推進会議」を設置。県が令和6年3月に策定した「埼玉県地域クラブ活動推進計画」に連動する形で、令和7年3月に「越谷市地域クラブ活動推進計画」を策定しました。市立中学校15校・266部活動(R7年度)、生徒数8,386名(R6年5月時点、学校部活動加入7,517名・89.6%)を対象に、令和7〜8年度を計画期間として休日の部活動から段階的な地域クラブ活動移行を推進しています。年齢別人口構成では13〜15歳の9,230人に対し0〜2歳が6,684人と大幅に少なく、市は「13年後に生徒数が約25%減少すると仮定すれば266部が200部を割り込む」と数値で明示しています。

特徴的な取り組み

  • 約1.5万人規模の実態把握アンケート: 令和5年9月に小学5・6年生5,103人・中学1・2年生4,521人・小学保護者2,442人・中学保護者2,679人・中学校教員305人の計約1.5万人を対象にアンケートを実施。「教員の69%が部活動指導に負担」「教員の23%のみ地域指導者として関わりたい」「保護者の34%(小学)・39%(中学)が妥当月謝を1,000〜5,000円と想定」など、生徒・保護者・教員の意識を数値で可視化しています。
  • 2層ガバナンス: 事務局としての「移行検討会」(R4.8設置)と、方針決定を担う「推進会議」(R5.12設置)の2段構成で、教育委員会・市長部局・地域スポーツ文化団体・学校・保護者からの意見を集約する体制です。
  • 県計画連動型の計画期間設計: 越谷市の推進計画期間は令和7〜8年度と2年間に短縮し、国の改革推進期間終了後(R8以降)に進捗評価・分析を行いつつ継続的に改定する柔軟な設計。上位計画(埼玉県計画)の改定に合わせて即応できる作りです。
  • 指導者体制の三層構造: 学校部活動指導員(3名・3校配置)+学校部活動外部指導者(16種目49名・13校配置)+日本伝統文化外部指導者(茶道15名・華道7名・箏曲13名・15校配置)の三層で、既に外部人材が学校部活動を補完する体制が構築されています。

課題と解決策

課題 解決策
教員の69%が部活動指導に負担・年360時間超が5割強(R5年度) 推進会議で市長部局と教育委員会が連携し、教師が地域クラブ活動に携わらなくても運営できる体制構築を明記
13年後に生徒数25%減で266部→200部割れの見通し 2層ガバナンスと県計画連動で早期に方針決定し、休日から段階的に地域クラブ活動を推進
保護者の73%が「わからない(子どもの希望に任せる)」と地域クラブ参加に態度保留 市による情報発信を強化し、休日の地域クラブ活動の内容を積極的に情報公開
教員の23%のみ地域指導者を希望・残り77%は関与意思なし 教師の兼職兼業に頼らず、地域スポーツ文化団体・外部指導者を軸にした運営体制を計画本文で明示
保護者は現行月謝1,000円以下74%だが、地域クラブ想定月謝は1,000〜5,000円が主流と乖離 推進計画で受益者負担の設計を明示課題として取り上げ、経済的困窮世帯への支援を県計画連動で検討

成果・効果

計画本文では推進計画の効果として、①学校部活動になかった競技や活動への参加機会拡大、②人数不足でチームが組めなかった種目の再編、③中学校入学前から卒業後まで生涯にわたる継続機会の確保、④地域住民との交流による心身の健全育成、を挙げています。特に「学校部活動にはない新たな種目の活動の実施」を9%の生徒が期待していること、「専門的な指導が受けられること」を18%、「教員の負担軽減」を16%が期待していることが数値で示されており、地域移行の受益者としての生徒側の期待も具体化されています。R7年度からは実証事業を通じて課題抽出と関係機関連携を進める段階に入っています。

出典

→ 原文: 越谷市地域クラブ活動推進計画(越谷市公式サイト)

→ 計画PDF: 越谷市地域クラブ活動推進計画(令和7年3月・越谷市教育委員会)

→ 関連: 令和7年度教育行政方針(越谷市)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

越谷市の特徴は、約1.5万人規模の悉皆に近いアンケートを計画策定の前段に置き、その回答分布を推進計画に数値付きで明記している点です。教員の69%が負担を感じ、23%しか地域指導者になる意思がないという結果を計画本文に載せることで、「教師の兼職兼業に頼らない運営体制」という方針の根拠を透明化しています。また、13〜15歳9,230人→0〜2歳6,684人という人口ピラミッドから「13年後266部→200部割れ」を計算式で示す姿勢も、他自治体の計画では珍しい定量アプローチです。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

越谷モデルの中核である「大規模アンケート」は、悉皆調査のコストが自治体規模に応じて跳ね上がります。人口10万人規模以下の自治体では、対象学年をR6・中1のみ・保護者のみに絞る、Google FormsなどWeb回答に集約するなどで負担を圧縮する設計が現実的です。もう1つの示唆は「受益者想定月謝と現行月謝のギャップ」で、越谷市は現行1,000円以下が74%に対し想定は3,000〜5,000円ゾーンに集中しており、地域クラブ移行時の値上げ体感を経済的困窮世帯支援でどう吸収するかが導入時の説明責任として重い課題になります。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

推進計画本体(18ページ)でアンケート原データ、生徒数推移、教員時間外勤務データを開示している透明性は高い水準です。県計画(R6.3)と市計画(R7.3)の連動、R7-R8計画期間の後にも継続改定を明記している点は柔軟性を担保します。ただ、計画期間が2年と短く、R8以降の具体設計(実施団体名・受益者負担額・教員兼職兼業ガイドライン等)は未確定のまま。R8年度中に第2期推進計画に接続する運用が持続可能性の鍵となります。

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