トップ 事例を探す 埼玉県 【事例】埼玉県熊谷市の部活動地域展開 ─ 「部活動熊谷モデル」×立正大学連携ラグビー×陸上・剣道3種目×R8-13改革実行期間継続モデル
全種目 👥 10~30万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 埼玉県

【事例】埼玉県熊谷市の部活動地域展開 ─ 「部活動熊谷モデル」×立正大学連携ラグビー×陸上・剣道3種目×R8-13改革実行期間継続モデル

公開:2026.07.08 更新:2026.07.08
この記事でわかること

・RWC2019のレガシー活用と立正大学連携によるラグビー指導者12人体制の設計
・「熊谷陸上教室10人+教員5人」など地域資源を種目別に指導者供給源として組み込む複線構造
・市議会答弁による「令和8-13年度改革実行期間全期間で継続」の長期政治的コミットメント

自治体名 埼玉県熊谷市
人口規模 約19万人(大都市・「暑さ対策日本一」を掲げる県北の中核市)
中学校数 市立中学校(実証事業では富士見中学校を初期拠点校、令和7年度時点で市内中学生全員を対象に募集)
運営形態 熊谷市教育委員会(学校教育課)主導/「部活動熊谷モデル」として令和5年度から実証事業開始/令和8-13年度(改革実行期間)にモデルを継続
対象競技 令和7年度実証3種目:ラグビー・陸上・剣道/各種目とも中学生全員に広く募集
保護者負担額 市議会答弁時点で具体的な参加費の明示なし(実証段階のため、本格運用時に確定予定)

取り組みの概要

埼玉県熊谷市は令和5年度から運動部活動の地域連携に向けた実証事業「部活動熊谷モデル」を開始し、令和7年度(実証3年目)はラグビー・陸上・剣道の3種目で実施しています。実証対象は、①学校で部活動に所属しているが部員数や顧問の専門性から実証事業への参加を希望した生徒、②自校にラグビー部・陸上部・剣道部はないがその種目をやりたい生徒、の2つの想定で「市内の中学生全員に広く募集して活動」する広域参加型モデルです。ラグビーワールドカップ2019の開催地であるラグビー先進地としての強みを活かし、立正大学との連携によるラグビー指導者確保が特徴。国の改革実行期間である令和8年度から13年度にかけて、「部活動熊谷モデル」を継続しつつ関係団体との連携・協力の下、地域移行を推進する計画です。

特徴的な取り組み

  • ラグビーワールドカップ2019のレガシー活用: 熊谷市はラグビーワールドカップ2019の開催都市で、地域にラグビー文化の基盤がある。この強みを活かし、地域移行の対象種目にラグビーを主軸として位置付け。「ラグビーの街 熊谷」のブランドを部活動地域移行の中核テーマにした点は全国的にも珍しい。
  • 立正大学との高等教育機関連携ラグビー指導体制: ラグビー種目の指導者体制は、中学校教員8人+立正大学指導者3人+教育委員会職員1人の計12人で構成。市内に位置する立正大学の学生・関係者を指導者として組み込むことで、専門性の高い指導体制を確保。地域連携の中に「地元大学」を明確に位置付けた事例。
  • 「熊谷陸上教室」の10名指導者連携: 陸上種目は中学校教員5人+熊谷陸上教室指導者10人の計15人体制。地域の民間陸上教室の指導者ネットワークを地域移行の受け皿として組み込むことで、指導者不足の解消と質の担保を両立。
  • 剣道は外部・中学校・高校・教委の4層指導体制: 剣道は外部指導者1人+中学校教員3人+高校指導者1人+教育委員会職員2人の計7人体制。特に「高校指導者1人」を含める中学校→高校の縦連携は、生徒の進学後の継続活動を見据えた設計。
  • 令和8-13年度「改革実行期間」を見据えた継続宣言: 令和8年度から13年度の国の改革実行期間全期間で「部活動熊谷モデル」を継続することを市議会で正式表明。3年間の実証を通じて、①長期的な指導体制の確保、②新規種目の指導者開拓を継続課題として明示し、「持続可能で、子どもたちにとって豊かな仕組みをつくるためには、スポーツや文化団体等に部活動機能を併設していただき、地域のハブとして担っていただくことが重要」との方向性を打ち出した。

課題と解決策

課題 解決策
大都市・広域市域における部活動の地域移行対象範囲の設定 「市内の中学生全員に広く募集」という広域参加型モデルを採用。自校の部活動有無や部員数を問わず参加希望を受け付け、種目ごとに集中拠点を設定。
長期的な指導体制の確保(市議会で明示された継続課題) 立正大学(ラグビー3人)・熊谷陸上教室(陸上10人)・高校指導者(剣道1人)の外部連携を制度化。市外・市内の複数の指導者供給源を確保する多層構造で対応。
新規種目の指導者開拓(市議会で明示された継続課題) 「スポーツや文化団体等に部活動機能を併設していただき、地域のハブとして担っていただくことが重要」との方向性を市議会答弁で提示。今後、既存団体を地域クラブ活動のハブ化する路線で対応。
令和8年度以降の本格運用への移行と持続性の確保 令和8-13年度の改革実行期間全期間で「部活動熊谷モデル」を継続する市方針を明確化。実証3年で得た知見を6年間の本格運用に反映しつつ、種目拡大の余地を残している。

成果・効果

令和5年度から3年間の実証事業を通じて、ラグビー12人・陸上15人・剣道7人という3種目合計34人の指導者体制を構築しました。特にラグビーは立正大学、陸上は熊谷陸上教室、剣道は高校指導者を含む多層構造で、大学・民間スポーツ団体・高校との連携基盤を築いた点は他都市の参考になります。市内中学生全員を対象とした広域募集型のため、自校に部活動がない生徒でも地域クラブ活動として活動できる環境が整備されました。市議会答弁で「令和8-13年度の改革実行期間全期間で継続」の方針が正式表明されたことにより、実証3年→本格運用6年の合計9年間の長期タイムラインが確定しています。

出典

→ 原文: 熊谷市議会だより 第82号(令和8年2月)「部活動の地域移行について」千葉義浩議員(熊谷清風会・維新)一般質問と学校教育課答弁熊谷市「市長へのメール」No.126 市立中学校の部活動について(令和5年12月8日回答)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

熊谷市モデルの本質は「地域資源の総動員」設計にあります。RWC2019開催地としてのラグビー文化、市内の立正大学、地域民間の熊谷陸上教室、高校指導者と、既存の地域資源を種目ごとに指導者供給源として組み込みました。ラグビー12人・陸上15人・剣道7人の指導者体制は、単に「教員から地域指導者へ置き換える」のではなく「教員+大学+民間教室+高校+教委」の複線構造を最初から設計している点が優れています。人口19万人の大都市で「市内中学生全員に広く募集」という広域参加型モデルは、市街地の地域移行のリファレンスとなる事例です。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

最大のハードルは「地域資源の棚卸しと指導者供給源の複線化」です。熊谷市は大学・民間教室・高校を全て指導者供給源として組み込みましたが、これには各機関との協定・連携合意が必要。他地域が導入する場合、①市内に立地する大学(体育・スポーツ系学部を持つもの)との連携協定を先に締結、②既存の民間スポーツ教室・クラブの指導者ネットワークをリスト化、③中学校→高校の縦連携を種目ごとに設計、の3点が実務のカギとなります。また「令和8-13年度の改革実行期間全期間で継続」という長期宣言は自治体としての強い意思表明として好例です。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

市議会答弁で「令和8-13年度全期間継続」を明言している点は、政治的コミットメントとして高く評価できます。指導者体制の複線化(大学・民間教室・高校・教委・教員の5層)は持続性の担保として優秀。ただし、市議会で「長期的な指導体制の確保」と「新規種目の指導者開拓」が継続課題として明示されており、令和8年度以降に指導者供給源の拡大が実現するかが本格運用の成否を左右します。

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