トップ 事例を探す 埼玉県 【事例】埼玉県川越市の部活動地域展開 ─ 令和7〜13年度7年計画×推進基金条例×東邦音楽大学連携で270部活を段階移行
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【事例】埼玉県川越市の部活動地域展開 ─ 令和7〜13年度7年計画×推進基金条例×東邦音楽大学連携で270部活を段階移行

公開:2026.07.08 更新:2026.07.08
この記事でわかること

・川越市の令和7〜13年度7年計画による22校270部活動の段階的地域展開の設計
・「川越市学校部活動地域連携・地域移行推進基金」条例で多年度財源を制度化した仕組み
・東邦音楽大学連携の文化系実証事業を含む大学・地域団体連携の受け皿設計

自治体名 埼玉県川越市
人口規模 約35万人(中核市)
中学校数 市立22校(川越第一・初雁・富士見・野田・城南・芳野・東・南古谷・高階・高階西・寺尾・砂・福原・大東・大東西・霞ケ関・霞ケ関東・霞ケ関西・川越西・名細・鯨井・山田)
運営形態 行政直営「川越市立中学校の部活動地域移行検討委員会」+文化スポーツ部・学校教育部連携+人材バンク+地域クラブ活動連絡調整会議
対象競技 運動部210部活動+文化部60部活動(合計270部活・R6時点)/実証事業は文化系(吹奏楽)と運動系の両方
保護者負担額 受益者からの費用負担は段階的に導入。R7年3月時点の推進計画では具体額未公表・「部活動地域連携・地域移行推進基金」で長期的財源を確保

取り組みの概要

埼玉県川越市は、令和7年3月に「川越市立中学校における部活動地域連携・地域移行推進計画(令和7〜13年度)」を策定し、市立中学校22校・270部活動(R6時点)を対象とした7年計画で段階的な地域展開を進めています。市立中学校の生徒数はR5の8,618人からR15には6,988人まで1,630人減少する見通しで、既にサッカー・野球・剣道など多くの種目で合同チーム編成による大会参加が常態化しています。市は令和8年度(3年生の大会等終了後)から休日・平日を含めた地域クラブ活動への段階的移行を開始する方針を掲げ、条例で「川越市学校部活動地域連携・地域移行推進基金」を設置して長期的な財源を確保しています。

特徴的な取り組み

  • 7年計画のロードマップ(R7〜R13): R7を「改革推進期間」、R8-10を「改革実行期間(前期)」、R11-13を「改革実行期間(後期)」と3フェーズに分割し、前期で休日・平日両方の地域クラブ活動を開始、後期で休日の確実な定着と平日移行の推進を担う長期プランです。
  • 推進基金条例による財源確保: 川越市学校部活動地域連携・地域移行推進基金を条例に基づき設置。「長期的な財源の確保と年度を超えた機動的な運用を図り、施策を効率的に実施するための財政上の措置」と明記され、多年度事業として制度化しています。
  • 大学・地域団体との連携実証(東邦音楽大学): R7年2〜3月に東邦音楽大学から東中学校吹奏楽部へ指導者を派遣する文化系実証事業、運動系の実証事業もそれぞれ実施し、R7年度中に実証結果を課題把握・関係機関連携へ接続する設計です。
  • 人材バンク+部活動指導員+支援員の三段構成: 教育委員会に人材バンクを設置し、単独で指導可能な「部活動指導員」と顧問補助を行う「部活動支援員」を役割分担。ニーズ調査ではバドミントン824件・ダンス44件など既存部活動にない種目希望が多く、選択肢の格差解消も課題として明示されています。

課題と解決策

課題 解決策
R5→R15で生徒数1,630人減少・22校270部活動の維持困難 R7〜R13の7年計画で段階的に地域クラブ活動へ移行、まず休日から着手し前期・後期で範囲を拡大
指導者確保と質の担保(学校外人材の登用) 教育委員会内に人材バンクを設置し、部活動指導員(単独指導可)と部活動支援員(顧問補助)を段階的に配置
受け皿となる地域スポーツ・文化芸術団体が現状では270部活動をカバー困難 川越市地域クラブ活動連絡調整会議で行政・文化芸術・スポーツ団体・保護者・学校が意見交換、実施団体を段階確保
保護者負担額の設定と経済格差対応 基金条例による公的財源と受益者負担の段階的導入を組み合わせ、費用負担については十分な検討と丁寧な説明を明記
生徒ニーズの多様化(バドミントン希望824件・ダンス44件など既存部活動にない種目) 大学等との連携で市内で活動する多様なスポーツ・文化芸術団体を巻き込み、既存部活動にない種目の選択肢を拡大

成果・効果

R6年12月実施の小学5〜6年生アンケート(回答数3,914件)では「中学生になったらやってみたい種目」としてバスケットボール923件・バドミントン824件・美術677件などに続き、既存学校部活動にないダンス・弓道・空手・ドッジボールなども挙がっており、市は「既存の学校部活動種目だけでは、子どもたちのニーズに応えることができなくなってきている」と明記しています。R7年2〜3月に東邦音楽大学連携で実施した東中学校吹奏楽部への指導者派遣は、文化系の地域クラブ活動移行に向けたモデルケースとなり、運動系実証事業と合わせて改革実行期間(R8年度〜)の団体連携・実施団体確保・運営体制整備の基盤情報として活用されています。

出典

→ 原文: 学校部活動地域連携・地域移行の推進について(川越市公式サイト)

→ 推進計画PDF: 川越市立中学校における部活動地域連携・地域移行推進計画(令和7年度〜令和13年度)

→ 関連ページ: 令和6年度 中学校文化系部活動の地域クラブ活動移行に向けた実証事業 / 令和6年度 中学校運動系部活動の地域クラブ活動移行に向けた実証事業 / 川越市学校部活動地域連携・地域移行推進基金条例

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

川越モデルの核心は「基金条例による多年度財源の制度化」です。地域移行は年度単位の一定期間を要するため単年度予算では機動的な運用が困難ですが、川越市は条例で基金を設置することで7年計画の後半年度まで財源が安定確保される設計になっています。加えて、市立22校・270部活動という中核市規模で「既存部活動種目がニーズに応えられていない」ことを小学生アンケート(回答3,914件)で数字とともに明示している点も特徴的で、受け皿づくりを「既存部活動の代替」ではなく「選択肢の拡張」として再定義しています。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

推進基金条例は多くの中核市・特例市で参考にできる仕組みですが、条例化には議会審議のリードタイムが必要で、実行期間開始の1年前までに基金設置議案を上程する時間軸を組む必要があります。また、270部活動を全て地域クラブが受けきる想定は現状では困難と川越市自身も明記しており、他自治体でも「まず休日から」「まず特定種目から」の段階的アプローチが現実的です。もう1つの示唆は大学連携の設計方法で、東邦音楽大学のような音楽系大学が市内にある自治体は文化部の受け皿として即戦力になります。市内の高等教育機関・専門学校をマッピングすることが、川越モデルを移植する第一歩になります。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

令和7〜13年度の7年計画を推進基金条例と一体設計している点は財政的持続性が非常に高く評価できます。検討委員会・連絡調整会議の2層ガバナンスと、実証事業→課題抽出→改革実行期間への流れも明快です。一方で保護者負担額の具体設計・実施団体の名称・R7実証事業の詳細評価はR7年3月時点の推進計画には未記載で、R8年度の休日移行開始までに公開される必要があります。国が示す「地域展開」への名称変更(R6年12月)にも計画本文で正しく言及しており、上位方針との整合性は保たれています。

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