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【事例】埼玉県さいたま市の部活動地域展開 ─ さいたまスポーツコミッション主導の統括団体型モデル

公開:2026.04.05 更新:2026.05.17
この記事でわかること

・SSCが指導者募集・マッチング・報酬支払いを一元管理する統括団体型モデル
・保護者意向調査(65%が月額4,000円以下を許容)を根拠にデータで参加費設計を準備
・モデル実証で生徒の70%が技術向上を実感、外部指導者への支持率は77%に到達

自治体名 埼玉県さいたま市
人口規模 約135万人(2024年時点)
中学校数 58校(市立中学校)
運営形態 統括団体型(さいたまスポーツコミッションが統括し、外部指導者を各校に派遣)
対象競技 運動部・文化部全般(令和5〜6年度はモデル校3校・44部活で実証)
保護者負担額 調査時点で有料化未実施(保護者の65%が月額4,000円以下を許容と回答)

取り組みの概要

埼玉県さいたま市は人口約135万人・市立中学校58校を擁する政令指定都市です。2023年度(令和5年度)から、市内のスポーツ振興を担う「さいたまスポーツコミッション」を統括団体として位置づける「統括団体型」モデルを採用し、部活動の地域移行の実証事業を開始しました。令和5〜6年度はモデル校3校・44部活を対象に、外部指導者の派遣・調整・報酬支払いといった統括業務をさいたまスポーツコミッションが一括して担う体制を検証しました。大規模な政令市において既存のスポーツ推進団体を統括機能に活用する手法は、同規模の自治体が参考にできるモデルとして注目されています。

特徴的な取り組み

  • さいたまスポーツコミッションによる統括団体機能: 新たな組織を立ち上げるのではなく、市のスポーツ振興を担ってきた既存団体「さいたまスポーツコミッション(SSC)」を統括団体として活用することで、スポーツ団体との既存の信頼関係・ネットワークを即時に生かした運営が可能になっています。SSCが外部指導者の募集・マッチング・報酬支払い・保険手続きを一元管理します。
  • スポーツ・文化の両部活動を対象とする包括的アプローチ: 多くの自治体が運動部を先行して移行させるのに対し、さいたま市は運動部・文化部双方を同時に移行対象として位置づけ、「地域スポーツ・文化クラブ活動体制整備事業」として一体的に推進しています。文化部活動の受け皿整備も並行して進めている点が特徴です。
  • 保護者ニーズ調査を踏まえた参加費設計: 移行前に市内保護者を対象とした意向調査を実施し、「月額4,000円以下であれば参加を許容できる」と回答した割合が65%に達したことを公表しました。参加費の設定根拠を調査データで裏付け、保護者の理解を得ながら有料化の準備を進めています。

課題と解決策

課題 解決策
58校分の外部指導者を一度に確保することが困難 モデル校3校からスタートし、実証期間で指導者確保・報酬・管理体制の課題を抽出してから本格展開へ段階的に移行
文化部活動の受け皿となる地域団体が少ない スポーツだけでなく文化芸術団体・NPO等への参加呼びかけを強化し、さいたまスポーツコミッションが受け皿候補団体を幅広く開拓
保護者への参加費有料化への同意形成が難しい 保護者意向調査(65%が月額4,000円以下を許容)の結果を公開し、データを根拠とした透明な合意形成プロセスを確立

成果・効果

令和5〜6年度のモデル実証(3校・44部活)では、参加生徒の70%が「外部指導者による指導で技術が向上した」と回答しました。また、外部指導者への支持率は77%に達しており、生徒が専門知識を持つ指導者の指導を高く評価していることが示されています。教員の休日出勤が削減されたことによるワーク・ライフ・バランスの改善効果も報告されており、教員アンケートでも肯定的な評価が得られています。2024年度(令和6年度)以降は実証対象を拡大し、58校全体への段階的展開を進める計画が公表されています。

出典

→ 原文: 「さいたま市地域スポーツ・文化クラブ活動体制整備事業~部活動の地域移行~」を推進しています | さいたま市公式ホームページ

→ 参考: 「(仮称)さいたま市地域部活動統括団体」による部活動指導者派遣モデルの創出事業 | 未来の教室(経済産業省)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

さいたま市は人口約135万人・市立中学校58校を擁する政令指定都市として、2023年度(令和5年度)から「さいたまスポーツコミッション(SSC)」を統括団体に位置づけ、外部指導者の募集・マッチング・報酬支払い・保険手続きを一元管理する体制を構築した。新たな組織を立ち上げるのではなく、市のスポーツ振興を長年担ってきた既存団体を活用することで、スポーツ団体との信頼関係・ネットワークをそのまま生かした迅速な立ち上げを可能にした。令和5〜6年度はモデル校3校・44部活を対象に実証事業を実施し、指導者確保・報酬・管理体制の課題を段階的に抽出する手順を踏んでいる。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

さいたま市の取り組みで際立つのは、運動部・文化部双方を同時に移行対象とする包括的なアプローチである。多くの自治体が運動部を先行させる中、さいたま市は文化芸術団体・NPO等への参加呼びかけを強化し、SSCが受け皿候補団体を幅広く開拓することで文化部の受け皿整備を並行して進めている。また、移行前に実施した保護者意向調査で「月額4,000円以下であれば参加を許容できる」との回答が65%に達した結果を公開し、参加費設定の根拠をデータで裏付ける透明な合意形成プロセスを確立した点も、大規模な移行を円滑に進めるうえで重要な要素となっている。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

令和5〜6年度のモデル実証では、参加生徒の70%が外部指導者による技術向上を実感し、外部指導者への支持率は77%に達した。教員の休日出勤削減によるワーク・ライフ・バランスの改善も報告されており、2024年度以降は58校全体への段階的展開が公表されている。既存のスポーツ推進団体を統括機能に活用するSSCモデルは、同規模の政令指定都市が移行体制を設計する際の参考事例として位置づけられる。

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