【事例】京都府京田辺市の部活動地域展開 ─ 実証事業で7種目を1年かけて段階的に立ち上げ・令和8年度夏から休日を順次移行
・実証事業で剣道・ハンドボールから7種目まで段階的に立ち上げ、開始時期を種目別に公開
・ガイドライン遵守を要件に、学校施設の優先利用等の公的支援と大会参加の円滑化を紐づける設計
・市が活動保険料と指導者謝金の一部を負担し、費用の負担区分を図で公開している
| 自治体名 | 京都府京田辺市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約7.2万人(2026年7月1日時点:71,568人・32,402世帯) |
| 中学校数 | 3校(田辺中学校・大住中学校・培良中学校) |
| 運営形態 | 総合型地域スポーツクラブ・競技団体・文化芸術団体・NPO法人・民間事業者等が運営団体/実施主体。市と教育委員会が運営事務局・指導者バンク・ガイドライン整備を担う |
| 対象競技 | 実証事業で剣道・ハンドボール・陸上競技・合唱・バドミントン・サッカー・バスケットボールの7種目を順次開始。当面は既存の学校部活動にある活動内容から実施 |
| 保護者負担額 | 会費の金額は未決定(国の動向を踏まえて決定)。市が活動保険料等と指導者謝金の一部を負担し、保護者は交通費・備品代の実費と会費を負担する構成 |
取り組みの概要
京都府京田辺市は、令和8年度の夏休業以降に休日の学校部活動を地域クラブ活動へ順次移行します。市と市教育委員会が連名で公表した「京田辺市学校部活動の地域クラブ活動への移行について」に、移行スケジュール・費用の負担構成・実証事業の実績・生徒と保護者のアンケート結果までを1冊にまとめて公開しました。
移行の準備は、令和6年度から国・府の委託事業を受けて実施している「京田辺市地域クラブ活動実証事業」で進めてきました。令和6年11月の剣道・ハンドボールを起点に、陸上競技、合唱、バドミントン、サッカー、バスケットボールと段階的に種目を増やし、1年余りで7種目まで拡大しています。
ルールの土台は、平成31年1月策定の「京田辺市立中学校部活動指導指針」を令和7年6月に見直した「京田辺市学校部活動及び地域クラブ活動指針『活動のためのガイドライン』」です。市教育委員会・市立小中学校校長会・市学校部活動の地域移行推進協議会の3者が共同で策定しました。
市は令和8年度より、国のガイドライン改定に合わせて「地域移行」から「地域展開」へと呼称を整理することも文書に明記しています。
特徴的な取り組み
- 実証事業で7種目を1年かけて立ち上げ: 令和6年11月に剣道・ハンドボール、令和7年1月に陸上競技、同年10月に合唱・バドミントン、11月にサッカー、12月にバスケットボールと、開始時期を明示した実証事業の種目一覧を公開しています。文化部(合唱)を運動部と同じ枠組みに組み込んでいる点も特徴です。
- ガイドライン遵守を公的支援の要件に設定: 運営団体・実施主体は、総合型地域スポーツクラブ・競技団体・NPO法人等が想定されます。従前からある民間のクラブチームとの区別として、市のガイドラインに則った活動を行うことを要件とし、この要件下で活動することで学校施設の優先利用等の公的支援を受けられ、大会・コンクールへ円滑に参加できるというメリットを明示しています。
- 費用の負担区分を図で公開: 学校部活動では保護者負担が交通費・備品代のみだったのに対し、地域クラブ活動では活動保険料等と指導者謝金の一部を市が負担し、交通費・備品代と可能な限り低廉な会費を保護者が負担する構成を図示しています。会費の具体的な金額は国の動向を踏まえて今後決定するとしています。
- 運営事務局と指導者バンクの設置: 地域クラブの募集・管理、学校との連絡調整、活動場所調整、指導者バンクの設置を担う運営事務局を置き、市(文化・スポーツ振興課、こども・学校サポート室)・中学校・運営団体の三者と連携する体制図を公開しています。
- 生徒・保護者アンケート結果の公表: 生徒からは競技力・体力の向上を実感する回答が多く、「自分の学校には参加したい部活動がなく楽しみにしていた」「他校の生徒と仲良くなりたい」という声も挙がりました。指導者が学校部活動と替わることへの不安も少なからずあったものの、いろいろな指導者から新たな学びを得られる点を肯定的に受け止める生徒が多かったとしています。保護者は人間性の向上と競技力の向上をバランスよく期待する一方、運営への協力や送迎の負担を懸念する回答がありました。
- 14項目のQ&Aで実務論点を先出し: 移動は各家庭の責任、活動場所は基本的に市内の中学校、複数活動の選択や途中変更は可能、3年生の夏で原則引退、けがの補償は各団体が加入した保険の範囲、大会は参加規定上学校単位で出場することもあり生徒の意思を尊重する、調査書には出場元に関わらず大会結果を記載できる、といった論点をQ&A形式で先に示しています。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 参加予定の生徒が当日欠席する場合などに、実施団体と保護者の連絡方法が確立されていない | 実証事業の課題として文書に明記し、参加していない生徒や保護者にもアンケート調査を実施して新たな課題の発見につなげるとしている |
| 自校にない活動に参加した生徒が、他校の生徒が多いことで参加しづらさを感じた | 参加対象を当該校の生徒に限定せず市内在住の全中学生に開き、活動場所も自校施設に限らず他校施設や公共施設を使う設計とすることで、「他校に混ざる」構図そのものを標準化していく |
| 民間のクラブチームと地域クラブ活動の区別がつかず、公的支援の対象が曖昧になる | 市のガイドラインに則った活動を行うことを要件とし、要件を満たす団体に学校施設の優先利用等の公的支援と大会参加の円滑化を紐づける |
| 大会・コンクールは中学校体育連盟等の参加規定上、学校単位での出場が求められる場合がある | 学校部活動で出場するか地域クラブ活動で出場するかは従来どおり生徒の意思を尊重すると明記し、平日の学校部活動は当面継続する |
| 少子化と多様なニーズに対応するには、会費や指導者の確保・質の向上まで含めた持続可能な運営体制が必要 | 総合型地域スポーツクラブ・競技団体・NPO法人・一般社団法人等と連携して運営ノウハウを共有し、指導者バンクを運営事務局に設置して人材確保の窓口を一本化する |
成果・効果
実証事業の成果として、総合型地域スポーツクラブ・競技団体・NPO法人・一般社団法人等と連携して運営ノウハウを共有することで円滑に活動できたこと、専門性のある地域の指導者等による複数指導体制と中学校との連携により、生徒一人ひとりに安全できめ細やかな質の高い指導を行えたことが挙げられています。
移行の進め方は「休日の活動を月4回実施している場合」を例に図示されています。学校部活動のみの状態から、学校部活動と地域クラブ活動が混在する移行期間を経て、休日はすべて地域クラブ活動へ切り替わるという3段階のイメージです。平日の学校部活動は令和8年度中は継続し、令和9年度以降に実証事業として一部の平日活動を地域クラブ活動として実施することも検討するとしています。
出典
→ 原文: 京田辺市「京田辺市学校部活動の地域クラブ活動への移行に向けて」
→ 原文: 京田辺市学校部活動の地域クラブ活動への移行について(京田辺市・京田辺市教育委員会)PDF
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