トップ 事例を探す 香川県 【事例】香川県丸亀市の部活動地域展開 ─ 合同・拠点校・クラブ化の3段階方式と軟式野球の先行クラブ化、撤退判断まで公開する検討委員会
全種目 👥 10~30万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 香川県

【事例】香川県丸亀市の部活動地域展開 ─ 合同・拠点校・クラブ化の3段階方式と軟式野球の先行クラブ化、撤退判断まで公開する検討委員会

公開:2026.07.29 更新:2026.07.29
この記事でわかること

・合同部活動→拠点校部活動→クラブ化と段階を踏む丸亀市の3段階エスカレーション方式
・令和8年8月開始予定の軟式野球2クラブ体制と月3,000円程度の会費設計・指導員の処遇
・スケートボード教室の事業費内訳と撤退判断まで公開する検討委員会の透明な運営

自治体名 香川県丸亀市
人口規模 約11万人(2024年時点)
中学校数 不明(出典資料に校数の記載なし)
運営形態 行政直営(学校教育課・まなび文化課・スポーツ推進課の3課がそれぞれ実証を担当し、部活動地域移行等検討委員会〈委員12名〉で審議)
対象競技 軟式野球(先行クラブ化)、スケートボード、吹奏楽、ものづくり系(電気・住居環境・機械)ほか
保護者負担額 軟式野球の地域クラブは月3,000円程度の会費を想定(国が示す目安を参考)。スケートボード教室・文化クラブ体験会は参加無料で実施

取り組みの概要

丸亀市は令和5年度から「丸亀市部活動地域移行等検討委員会」(委員12名・任期1年)を年2〜3回開催し、会議資料・会議録・アンケート結果をすべて市公式サイトで公開しながら地域展開を進めています。令和8年2月20日開催の令和7年度第2回委員会では、部員不足への対応を「合同部活動→拠点校部活動→それでも成り立たない場合にクラブ化」という段階方式で行う考え方を明示しました。現在合同部活動を実施しているのは軟式野球の2部のみ、拠点校部活動は女子ソフトボールのみで、部員数が極端に少ない軟式野球から令和8年8月(夏の総体後の新チーム移行時)に市内2クラブ体制での地域クラブ化を先行させる計画です。平日は当面、学校部活動として残す方針も確認されています。

特徴的な取り組み

  • 3段階のエスカレーション方式: いきなり全部活動をクラブ化せず、部員不足が生じた部から合同部活動、次に拠点校部活動、それでも成立しない場合に地域クラブ化と段階を踏む設計。90人規模の部を性急に統合すると大会に出られない生徒が出る、という具体的な懸念から導かれた現実的な方式です。
  • 軟式野球の先行クラブ化: 地域の野球関係者・競技部長と協議を重ね、令和8年2月には市内の野球部顧問を集めて国の認定地域クラブ制度を説明。ゴールデンウィーク前後に新1・2年生保護者への説明会を行い、8月に人数に応じた2クラブ体制で始動する計画です。会費は月3,000円程度を想定しています。
  • 3課並走の実証事業: スポーツ推進課はスケートボード教室(東洋炭素アーバンスポーツパーク丸亀・参加無料・申込27名・事業費83万9,700円)、まなび文化課は南中学校吹奏楽部への綾歌吹奏楽団による約3時間の集中指導や小学校の文化クラブ体験会、学校教育課は四国職業能力開発大学校と連携した電気系・住居環境系・機械系のものづくり教室(総勢25名参加)を実施しました。
  • 撤退判断まで公開する運営: スケートボード教室は初心者の上達や継続希望など成果があった一方、中学生の参加が4名にとどまり、既存部活動や塾との両立、会場までの移動手段、施設使用料(1回1日12万円)、講師の多忙化という課題から「一旦中止」と判断。成果だけでなく撤退の理由も会議録で公開しています。
  • 部活動指導員の処遇を明示: 時給1,600円(国・県・市が3分の1ずつ負担)、市の会計年度任用職員として契約し、週40時間超は時給2,000円の超過勤務手当を支払う仕組みを説明。スポーツ推進課・スポーツ協会への指導者名簿(人材バンク)作成も呼びかけています。

課題と解決策

課題 解決策
部員不足で単独校のチーム編成が困難(特に軟式野球) 合同部活動→拠点校部活動→クラブ化の3段階方式で、成立しなくなった部から順に地域クラブ化
実証事業への中学生参加が少ない(スケートボード教室は中学生4名) 既存部活動との両立・移動手段・費用の課題を検証し、成果と課題を検討委員会で公開した上で事業を一旦中止と判断
指導者の確保と労務管理 部活動指導員を会計年度任用職員として時給1,600円で契約し、フルタイム勤務者の兼業には労働基準法上の制約があることも明示。指導者名簿の整備を関係団体に依頼
クラブ増加に伴う市の財政負担 会費月3,000円程度の受益者負担を組み合わせ、国・県・市の3分の1ずつの指導員報酬負担を活用。市全体で取り組む新組織の設置も検討

成果・効果

スケートボード教室では3か月間で「初心者とは思えないほど上達した」参加者が多く、継続希望も多数寄せられました。南中学校吹奏楽部への集中指導では「生徒の視野が広がり、翌日の練習から学んだ内容を生かす姿が見られた」と顧問から評価されています。ものづくり教室は4系列中3系列で総勢25名が参加し、興味に応じた活動への積極的な参加が確認されました。検討委員会は会議録を発言者名入りで公開しており、認定地域クラブ制度の要件を「かなりハードルが高い印象」と率直に評価するなど、意思決定の過程が追跡できる透明性の高い運営が続いています。

出典

→ 原文: 丸亀市公式サイト「丸亀市部活動地域移行等検討委員会」
→ 原文: 令和7年度第2回丸亀市部活動地域移行等検討委員会 会議録(令和8年2月20日)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

丸亀市の事例が貴重なのは、「うまくいかなかった実証」を隠さず、撤退理由まで会議録で公開している点です。スケートボード教室は参加者の満足度が高かったにもかかわらず、中学生4名という数字と施設使用料1回12万円というコストを直視して一旦中止を決めました。地域移行の実証事業は「やってみた」報告で終わりがちですが、丸亀市は費用の内訳(総額83万9,700円・講師謝金1人1日7,000円)まで数字で残しており、他自治体が同種事業を設計する際の貴重なベンチマークになります。合同→拠点校→クラブ化の3段階方式も、全面移行を急がず「成立しなくなった部から順に」という優先順位を明確にした点で参考価値が高い設計です。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

段階方式は既存部活動が維持できている間は変化が起きにくく、クラブ化のタイミングを逃すと受け皿づくりが間に合わないリスクがあります。丸亀市は部員数が最も少ない軟式野球を先行事例に選び、総体後の新チーム移行という部活動カレンダー上の自然な節目に開始時期を合わせました。保護者説明会を正式入部前のゴールデンウィーク前後に置く段取りも含め、「いつ・誰に・何を説明するか」の時系列設計はそのまま移植できます。また、フルタイム勤務者を部活動指導員に迎える際の労働基準法上の制約は多くの自治体で見落とされがちで、会計年度任用職員として契約する丸亀市の整理は実務上の参考になります。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

検討委員会の資料・会議録・3者アンケートを継続公開し、発言者名入りで議論を追跡できる透明性は高水準です。財源は会費月3,000円程度の受益者負担と国・県・市の指導員報酬3分の1負担を組み合わせる設計ですが、クラブが増えた場合の市の持ち出し増は市自身が課題として認めており、試算の公表と新組織の検討が今後の焦点です。香川県のガイドライン策定を待つ部分もあり、市単独で先行した軟式野球クラブの1〜2年の運営実績が制度全体の持続可能性を占う試金石になります。

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