トップ 事例を探す 静岡県 【事例】静岡県沼津市の部活動地域展開 ─ 4人の部活動コーディネーター×12人検討協議会×サッカー・陸上重点化実証
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【事例】静岡県沼津市の部活動地域展開 ─ 4人の部活動コーディネーター×12人検討協議会×サッカー・陸上重点化実証

公開:2026.05.21 更新:2026.05.21
この記事でわかること

・沼津市の4人部活動コーディネーター制度(うち1名は沼津市スポーツ協会会長)
・12人構成の検討協議会(学識・学校・保護者・自治会・地域スポーツ・芸術文化・公募市民)
・5種目→2種目への重点化アプローチ(令和5年11月実証開始→令和7年夏サッカー・陸上競技で本格化)

自治体名 静岡県沼津市
人口規模 約18.5万人(2025年時点・静岡県東部の中核都市)
中学校数 市立中学校(第三中・第五中・大岡中・片浜中ほか)
運営形態 市教育委員会主導・「沼津市部活動改革検討協議会」(12名構成)/部活動コーディネーター4名配置(うち1名は沼津市スポーツ協会会長・髙嶋氏)
対象競技 サッカー・バレーボール・ソフトテニス・陸上競技・卓球(令和5年度実証5種目)/令和7年夏からサッカー・陸上競技の2種目で本格実証
保護者負担額 受益者負担を含む費用設計を実証事業を通じて検討中(生徒の移動手段・指導費用と並ぶ重要論点)

取り組みの概要

静岡県沼津市は、令和5年7月に「沼津市部活動改革検討協議会」を設置し、令和6年5月23日の教育委員会定例会を経て「沼津市部活動地域移行取組方針」を策定しました。検討協議会は学識経験者・学校・保護者・自治会代表・地域スポーツ活動関係者・芸術文化活動関係者・公募市民の12人で構成され、市民意見を含む幅広い視点から検討を進める仕組みを採用しています。令和5年11月からサッカー・バレーボール・ソフトテニス・陸上競技・卓球の5種目で休日部活動の実証事業を開始し、令和7年夏からはサッカー・陸上競技の2種目で本格的な実証事業を展開しています。将来的には休日から段階的に地域移行を進め、平日も含めた全ての活動を地域移行することを目指しています。

特徴的な取り組み

  • 4人の部活動コーディネーター配置: 学校・保護者・生徒の現場の声を聞いて競技団体と調整する役割の部活動コーディネーターを4名配置。うち1名は沼津市スポーツ協会会長・髙嶋氏が務め、地域スポーツ界との連携を強化。
  • 12人構成の検討協議会: 学識経験者・学校・保護者・自治会代表・地域スポーツ活動関係者・芸術文化活動関係者・公募市民の12名で構成し、多様なステークホルダーから意見を集約。
  • 5種目→2種目への重点化: 令和5年11月から5種目(サッカー・バレーボール・ソフトテニス・陸上競技・卓球)で実証を開始し、課題抽出を経て令和7年夏からはサッカー・陸上競技の2種目に重点化して本格実証を展開。
  • 各学校への実態ヒアリング調査: 4人の部活動コーディネーターが各学校に伺い、部活動の実態や課題をヒアリング調査することで、学校現場のリアルなニーズを政策に反映。
  • 中体連クラブ参加への対応: 日本中学校体育連盟(中体連)主催大会等で令和5年度からクラブ参加が認められており、こうした大会変化に対応する必要があることを取組方針に明記。

課題と解決策

課題 解決策
受け皿となる指導者・団体の把握 4人の部活動コーディネーターが学校・保護者・競技団体間を調整する役割を担い、地域人材を可視化
生徒の移動手段の確保 実証事業を通じて課題を整理し、活動場所と通学・送迎の組み合わせを段階的に検証
指導に係る費用負担 受益者負担を含む費用設計を実証事業の中で検証・整理
休日から平日への段階拡大 当面は実証事業を通じた課題と可能性の検証・確認を行い、将来的に休日から段階的に地域移行を進め、平日も含めた全活動を移行

成果・効果

沼津市は静岡県東部の中核都市(人口約18.5万人)として、令和5年11月から5種目で実証事業を開始し、第三中卓球部・大岡中ソフトテニス部・大岡中吹奏楽部・第五中ソフトテニス部・片浜中バレー部など複数の中学校で地域指導者による休日活動が始まっています。指導者には主婦・会社員・公務員・高校の先生・ソフトテニス協会理事長など多様なバックグラウンドを持つ地域人材が参画し、専門的な知識や技術を持った指導者からのクオリティの高い指導を受けられる環境が整いつつあります。令和7年夏からはサッカー・陸上競技に重点化した本格実証事業に移行し、受け皿団体・指導者・移動手段・費用負担という4つの中核課題を整理しながら、休日から平日への段階拡大を慎重に進めるフェーズに入っています。

出典

→ 原文: 沼津市部活動地域移行取組方針(案)に関するパブリック・コメント(沼津市公式サイト)広報ぬまづ2024年3月1日号「部活動の地域移行 中学の部活、変わります」

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

沼津市の事例で特筆すべきは、「4人の部活動コーディネーター」を中核に据えた制度設計です。多くの自治体が「協議会を設置した」「方針を策定した」で止まる中、沼津市は学校・保護者・競技団体間を調整する実務担当者として4名のコーディネーターを配置し、うち1名を沼津市スポーツ協会会長が務めることで、地域スポーツ界との実質的な連携を確保しています。また、令和5年度に5種目で実証を始めた後、令和7年夏に2種目(サッカー・陸上競技)に重点化する「広く始めて深く検証する」アプローチは、財源・人材リソースに制約のある自治体の参考になります。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

沼津市方式を他の中核都市が導入する際の最大のハードルは、4人のコーディネーターの確保と報酬設計です。沼津市はスポーツ協会会長を起用することで地域人材を活用していますが、他地域では退職校長・元体育教員・スポーツ協会職員などから人選する必要があります。コーディネーターの役割は「学校と地域の橋渡し」という抽象的な業務になりがちなため、業務マニュアル・面談シート・実態調査フォーマットを最初に整備することが鍵となります。また、12名の検討協議会は学識経験者・学校・保護者・自治会・地域スポーツ・芸術文化・公募市民とバランスの取れた構成が成功要因で、特に公募市民の参画は合意形成の透明性確保に貢献します。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

沼津市の制度はパブリックコメント・検討協議会・コーディネーター制度の3層構造でガバナンスを確保しています。一方、財源面では受益者負担額の具体的水準や生活困窮世帯への支援策がまだ公表されておらず、令和7年夏以降の本格実証フェーズでこれらの課題整理が進む段階にあります。指導者として主婦・会社員・公務員・高校の先生など多様な地域人材が参画している点は厚みのある地域基盤を示唆しますが、休日3時間の指導報酬の妥当性・継続性が長期持続可能性の論点となります。

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