トップ 事例を探す 大分県 【事例】大分県豊後高田市の部活動地域展開 ─ 地域おこし協力隊・大学生まで多彩な指導者バンクを整備し令和7年度末の移行完了をめざす
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【事例】大分県豊後高田市の部活動地域展開 ─ 地域おこし協力隊・大学生まで多彩な指導者バンクを整備し令和7年度末の移行完了をめざす

公開:2026.05.04 更新:2026.05.04
この記事でわかること

・大分県豊後高田市の地域展開で直面した課題と解決策
・運営主体の選択背景と財源確保の工夫
・他の自治体が参考にすべき視点

自治体名 大分県豊後高田市
人口規模 約2.2万人(2020年国勢調査)
中学校数 不明(市内全中学校が対象)
運営形態 地域のスポーツ・文化芸術団体等が運営主体。市が人材バンクを整備し指導者確保を支援。市長部局・教育委員会・地域スポーツ文化芸術団体・学校・保護者からなる協議会を設置
対象競技 スポーツ・文化芸術の全種目
保護者負担額 可能な限り低廉な会費を設定(経済的に困窮する家庭の生徒への参加費用支援も検討)

取り組みの概要

大分県豊後高田市教育委員会は、令和6(2024)年10月に「豊後高田市新たな地域クラブ活動の在り方等に関する方針」を策定しました。「地域の子供たちは、学校を含めた地域で育てる。」という意識のもとで、少子化の中でも将来にわたって生徒がスポーツ・文化芸術活動に継続して親しめる機会を確保するとともに、体験格差の解消をめざしています。休日の中学校部活動については令和7(2025)年度末までに地域クラブ活動へ移行することを目標とし、地域の実情により移行できない場合も合同部活動(拠点型部活動)の導入や部活動指導員・外部指導者の配置により、教師が直接休日の指導や大会引率に従事しない体制を構築することとしています。

特徴的な取り組み

  • 地域おこし協力隊・大学生・高校生まで含む多彩な指導者確保: 地域クラブ活動の指導者として、スポーツ・文化芸術団体の指導者、部活動指導員、退職教師、教師等の兼職兼業者に加え、企業関係者、公認スポーツ指導者、スポーツ推進委員、競技・活動経験のある大学生・高校生や保護者、地域おこし協力隊など、多様な人材から幅広く確保する方針を明示しています。
  • 人材バンクの整備(市が県と連携): 市は市内スポーツ・文化芸術団体等の協力を得ながら、指導者の発掘・把握に努め、求めに応じて指導者を紹介する人材バンクを整備します。市は県と連携してこの人材バンクを構築・運営します。
  • 教師等の兼職兼業の円滑化: 市教育委員会は、地域クラブ活動での指導を希望する教師が円滑に兼職兼業の許可を得られるよう規程・運用の改善を行います。ただし、教師本人の意思を尊重し、指導を望んでいないにもかかわらず参加を強いられることがないよう十分に確認することも明記されています。
  • 地元企業の設備・用具提供支援の促進: 地域クラブ活動の運営団体・実施主体が地元企業の協力を得て、施設の利用や設備・用具・楽器の寄附等の支援を受けられる体制整備を推進します。
  • 経済的困窮家庭への参加費用支援: 会費は「可能な限り低廉」を原則としながらも、経済的に困窮する家庭の生徒の地域クラブ活動への参加費用支援についても取組を進めることを方針に明記しています。

課題と解決策

課題 解決策
少子化の中で従来の部活動体制の維持が困難になっている 地域クラブ活動への移行を令和7年度末を目標に推進。移行できない場合も合同部活動(拠点型部活動)で対応
地域クラブ活動の指導者確保が困難 地域おこし協力隊・大学生・高校生・退職教師まで含む多様な指導者ソースを明示し、市が県と連携した人材バンクを整備
兼職兼業を希望する教師が円滑に参加できない 市教育委員会が兼職兼業の規程・運用を改善し許可取得を円滑化。一方で本人の意思を尊重し強制しない原則も明記
参加費用が家庭の経済状況によって活動機会の格差を生む懸念 会費設定は可能な限り低廉とし、経済的困窮家庭への支援策を検討・推進

成果・効果

令和6年10月の方針策定により、豊後高田市の部活動地域展開に向けた基本的な枠組みが整いました。市長部局・教育委員会・地域スポーツ文化芸術団体・学校・保護者からなる協議会設置により、関係者が一体となった推進体制が構築されています。令和7年度末の地域クラブ移行完了という期限設定のもと、多彩な指導者確保策と人材バンクの整備が進められています。市の体育協会と文化協会が地域の各スポーツ・文化芸術団体等の取組を助言・支援する役割を担い、地域全体での受け皿整備が進んでいます。

出典

→ 原文: 豊後高田市公式ホームページ「部活動」(豊後高田市新たな地域クラブ活動の在り方等に関する方針 令和6年10月)

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

豊後高田市の最大の特徴は「指導者確保の幅広さ」にあります。スポーツ・文化芸術団体指導者・退職教師といった定番の確保先に加え、地域おこし協力隊・競技経験のある大学生・高校生・保護者まで明示的にリストアップしている点が際立っています。これは人口2万人規模の小規模市において、既存の組織的な指導者だけでは圧倒的に不足するという現実を直視した対応です。「思いがけない人材」を指導者として取り込む発想は、他の小規模自治体でも参考になります。

「教師の意思を尊重した兼職兼業」という原則も重要です。指導を希望しない教師に強制しない旨を明記することは、自治体の方針文書として珍しい配慮です。これにより、指導を続けたい教師が積極的に地域クラブに参加しやすい環境と、不本意な負担を強いられない環境が両立します。「教師の知見を活かしつつ、働き方改革も実現する」というバランスの取り方は、学校現場への信頼獲得にもつながります。

地元企業の施設・用具・楽器提供という視点も実践的です。特に文化部活動では、楽器等の高価な設備が保護者負担の大きな課題となりますが、地元企業からの寄附等支援を制度的に促進する仕組みを方針に盛り込むことで、費用の課題への対応策として機能します。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

豊後高田市モデルで最も参考になるのは「人材バンクの設計思想」です。市が単独で運営するのではなく、県と連携してバンクを構築するという設計は、人材が少ない小規模自治体でも一定の規模を確保できる可能性があります。特に地域おこし協力隊を指導者候補に組み込む発想は、過疎地域の自治体で活用できる視点です。また、「令和7年度末までに移行できない場合でも合同部活動で教師が休日指導しない体制を作る」という段階設定は、完全移行が困難な自治体でも「教師の休日指導ゼロ」という目標を維持できる現実的な設計です。

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