トップ 事例を探す 広島県 【事例】広島県三次市の部活動地域展開 ─ NPO・総合型クラブ・住民自治の3モデル試行から令和9年4月休日展開へ
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【事例】広島県三次市の部活動地域展開 ─ NPO・総合型クラブ・住民自治の3モデル試行から令和9年4月休日展開へ

公開:2026.05.04 更新:2026.05.04
この記事でわかること

・広島県三次市の地域展開で直面した課題と解決策
・運営主体の選択背景と財源確保の工夫
・他の自治体が参考にすべき視点

自治体名 広島県三次市
人口規模 約4.7万人(2020年国勢調査)
中学校数 不明(市立中学校全体で生徒数1,084人・令和5年度)
運営形態 NPO法人(甲奴地域)・総合型地域スポーツクラブ(三和地域)・住民自治組織(十日市地域)など地域実情に応じた多様な運営主体。今後「三次市地域クラブ(仮称)」を設立予定
対象競技 スポーツ・文化芸術・地域伝統芸能・ボランティア活動など多様な活動(スポーツ系・文化芸術系の多種目が対象)
保護者負担額 受益者負担が原則(経済的理由で参加できない子どもが出ないよう費用の在り方を検討中・調査時点で未確定)

取り組みの概要

広島県三次市は、少子化による生徒数・部員数の減少を受け、令和3(2021)年に「三次市地域部活動検討委員会」を設置しました。令和5年の生徒数は1,084人で、平成25年から413人(27.5%)減少しており、設置部活動数も93部と10年間で14部(13%)減少しています。令和5年3月に検討委員会からの提言を受け、同年10月に「三次市部活動の地域移行に係る基本方針」を策定し、地域の特性を生かしたモデル事業を各地域で開始しました。その後、令和6年12月に新たな提言が示され、令和7(2025)年3月に「三次市部活動の地域展開に係る基本方針」として内容を改訂。「地域移行」から「地域展開」へと名称を変更し、地域全体が連携して子どもの活動環境を整える方向性を明確にしました。令和9(2027)年4月から休日の部活動の地域展開を正式に実施し、将来的には平日を含む完全な地域展開をめざしています。

特徴的な取り組み

  • 甲奴地域:NPO法人による軟式野球クラブの設立: 甲奴地域では、NPO法人が運営主体となり、軟式野球の地域クラブが設立されました。活動状況をもとに、順次、軟式野球以外の種目にも拡大予定です。
  • 三和地域:総合型地域スポーツクラブとの連携: 三和地域では、既存の総合型地域スポーツクラブが運営主体となり、小中学校と連携しながら、児童生徒の意向に沿った活動実施に向けた取組を進めています。
  • 吹奏楽の広域合同練習: 市民ホールきりりにおいて、市内中学校の吹奏楽部員を対象とした合同練習を実施しました。文化芸術部活動における広域連携モデルとして機能しています。
  • 十日市地域:住民自治組織との茶道部連携試行: 十日市地域では、住民自治組織と文化芸術活動の連携について協議を行い、茶道部の活動をコミュニティセンターで試行的に実施するなど、取組のきっかけづくりを行っています。
  • 「地域移行」から「地域展開」への概念転換: 単に学校部活動を地域に委ねる「移行」から、地域住民・各種団体・企業など多様な主体の参画により「協働による魅力あるまちづくり」につなげる「地域展開」へと名称・概念を刷新しました。
  • 令和9年4月からの休日地域展開を明示: ロードマップで「令和9年4月から休日の部活動の地域展開を実施する」と期限を明示し、令和7〜8年度を準備期間として体制整備を進めています。

課題と解決策

課題 解決策
少子化により93部ある学校部活動の存続が困難になりつつある 「三次市地域クラブ(仮称)」を設立し、複数地域から子どもが集まって活動できる環境を整備。学校単位の枠を超えた活動機会を提供する
地域によって活動環境・受け皿組織が異なり画一的な移行が困難 甲奴地域NPO・三和地域総合型クラブ・十日市地域住民自治組織など、地域実情に応じた多様な運営主体を活用し地域に適した形で推進する
生徒の多様なニーズに学校部活動だけでは対応できない(93.7%が入部しているが18.6%が「他に入りたい部がない」と回答) スポーツ・文化芸術に加え、地域伝統芸能活動・ボランティア活動も含む「生徒が選択してやりたい活動を行う」形をめざす
経済的な理由で地域クラブへの参加をあきらめる子どもが出る可能性 受益者負担を原則としつつ、経済的理由で参加できない子どもが出ないよう活動費用の在り方を継続検討する

成果・効果

令和5年10月の基本方針策定以降、甲奴・三和・十日市の各地域でモデル事業が先行実施されました。甲奴地域ではNPO法人が運営する軟式野球の地域クラブが設立され、三和地域では総合型地域スポーツクラブが小中学校と連携した体制が構築されています。吹奏楽では市民ホールきりりでの市内中学校合同練習が実現し、文化部活動での広域連携モデルが実証されました。これらの成果を踏まえ、令和7年3月に「地域展開」として基本方針を改訂し、令和9年4月からの休日地域展開実施というロードマップが確定しました。アンケートでは生徒・保護者の8割以上が「他の学校との合同部活動」に肯定的であり、教員以外による指導についても約9割が肯定的な回答を示すなど、地域展開への素地が整いつつあります。

出典

→ 原文: 三次市公式ホームページ「三次市部活動の地域展開」(令和7年3月策定「三次市部活動の地域展開に係る基本方針」を含む)

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

三次市の最大の特徴は「地域ごとに異なる受け皿を活用する多様性」にあります。甲奴地域ではNPO法人、三和地域では総合型地域スポーツクラブ、十日市地域では住民自治組織と連携するなど、一律の方式を押し付けず、地域の実情と既存リソースに合った受け皿づくりを実践しています。これは「地域の特性を生かした」という基本目標を言葉だけでなく具体的に体現した設計であり、地域によって活動資源の充実度が異なる中山間地域の現実に向き合った現実的なアプローチといえます。

「地域移行」から「地域展開」への概念転換も注目されます。三次市は令和7年3月の基本方針改訂で、単に学校部活動を地域に委ねる「移行」から、地域住民・各種団体・企業が参画して「協働による魅力あるまちづくり」につなげる「展開」へと発想を大きく変えました。スポーツ・文化芸術にとどまらず、地域伝統芸能やボランティア活動まで含む活動の幅広さは、部活動の代替ではなく「地域で子どもを育てる」という哲学を示しています。

令和9年4月という明確な期限設定とロードマップも重要です。令和7年度に保護者への説明・ロードマップ策定、令和8年度に推進協議会の立ち上げ・地域クラブ設立、令和9年度に休日地域展開開始という段階的な計画は、関係者が逆算して準備を進めるための共通の時間軸を提供しています。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

三次市のモデルを参考にする際のポイントは「地域ごとに異なる受け皿を許容する柔軟性」です。NPO法人・総合型クラブ・住民自治組織のどれが存在するかは地域によって異なりますが、既存の資源を活用するという発想は規模を問わず応用できます。また、スポーツ・文化芸術に加えて「地域伝統芸能」や「ボランティア活動」も活動の選択肢に含める発想は、過疎化が進む地域での文化継承という課題解決にもつながり得ます。人口4.7万人という小規模市が複数地域でのモデル事業を並行実施しながら令和9年4月の期限を設定できている点は、中小規模自治体に対して実践的な示唆を与えます。

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