【事例】静岡県静岡市の部活動地域展開 ─ 体験交流型・技能向上型の2軸設計・民間事業者参入で令和9年9月平日休日同時転換
・静岡市が「体験・交流型」と「技能向上型」2軸で地域クラブを設計した背景
・VELTEXスポーツ等民間事業者が実施主体となる多種目提供モデルのポイント
・令和9年9月の平日・休日同時転換という静岡市独自の移行ロードマップ
| 自治体名 | 静岡県静岡市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約69万人(2024年時点) |
| 中学校数 | 複数校(市立中学校、15年間で生徒数16,389人→14,035人に減少) |
| 運営形態 | 民間事業者(㈱シラトリ・㈱VELTEXスポーツエンタープライズ等)が地域運営団体として実施 |
| 対象競技 | スポーツ:ダンス・サッカー・バレーボール・バスケットボール・テニス・バドミントン・アルティメット・ピックルボールほか。文化芸術:吹奏楽・美術 |
| 保護者負担額 | 不明(調査時点未公表) |
取り組みの概要
静岡県静岡市は人口約69万人の政令指定都市で、2015年に16,389人いた市立中学校生徒数が2025年には14,035人へと約15%減少しており、部活動の持続的な維持に向けた制度再設計が求められていた。市は「(仮称)しずおか地域クラブ活動」として令和9年9月(2027年9月)に平日・休日の部活動を同時期に地域クラブへ転換することを計画しており、2026年1〜2月に体験会を実施して生徒・保護者への周知を進めている。スポーツ・文化芸術の両分野をカバーし、民間のスポーツ事業者・文化団体が地域運営団体として参画する形で多様な選択肢を整備している点が特徴的である。
特徴的な取り組み
- 「体験・交流志向型」と「技能向上志向型」の2軸設計: 地域クラブ活動の参加形態を、「体験・交流志向型」(楽しみや体験を重視)と「技能向上志向型」(競技力向上を目指す)の2種類に区別して設計している。部活動経験の有無や目的意識の異なる生徒それぞれが自分に合ったクラブを選べる仕組みで、一律に「競技部活動の代替」とするのではなく、多様なニーズに対応したメニュー設計となっている。
- 民間スポーツ事業者・文化団体の参入: ㈱シラトリや㈱VELTEXスポーツエンタープライズなどの民間スポーツ専門企業が地域運営団体として実施主体となっており、プロフェッショナルな指導体制と事業運営ノウハウを活用している。教育委員会が直営で運営するのではなく、民間の専門性を積極的に取り込む方針で多様な種目の提供を可能にしている。
- 令和9年9月の平日・休日同時転換という明確な工程: 「令和9年9月に平日・休日の活動を同時期に転換開始」という具体的なマイルストーンを設定し、準備が整った部活動は令和9年4月から先行実施することも検討している。「休日から段階的に」という一般的なアプローチとは異なり、平日・休日を一体的に移行することで教員の負担軽減効果をより明確に実現しようとしている。
- ピックルボール・アルティメットなど新種目の導入: 既存の学校部活動では設置されなかった「ピックルボール」「アルティメット」「ダンス」など新しい競技種目を地域クラブ活動として導入している。地域移行を単なる「部活動の代替」にとどめず、生徒の新たなスポーツとの出会いの場として捉え直している点が先進的である。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 15年間で約2,400人減少した生徒数減少への対応と部活動持続性確保 | 民間実施主体の参入による多種目・多種類のクラブ提供で生徒の活動機会を確保 |
| 生徒の活動目的(体験重視か競技重視か)の多様化への対応 | 体験・交流志向型と技能向上志向型の2種類を設定し、目的に合ったクラブを選択できる仕組みを整備 |
| 平日・休日の同時転換に向けた準備負担 | 2026年1〜2月の体験会で生徒・保護者への早期周知を実施。準備完了部活動の先行実施も選択肢として設定 |
成果・効果
静岡市の「しずおか地域クラブ活動」は令和9年9月の本格始動に向け、2026年初頭から体験会を実施して生徒・保護者への周知を進めている。ダンス・ピックルボール・アルティメットなど従来の学校部活動では提供されなかった新たな種目が加わることで、スポーツ・文化芸術の選択肢が広がっている。㈱VELTEXスポーツエンタープライズ(バレーボール)・㈱シラトリ(ダンス等)など民間事業者が参画することで、指導の専門性と事業の継続性が担保される体制が整備されつつある。
出典
→ 原文: 静岡市公式サイト(仮称)しずおか地域クラブ活動
💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント
静岡市の「体験・交流志向型」と「技能向上志向型」という2軸の分類は、地域クラブ活動の設計において非常に重要な示唆を含んでいます。これまでの学校部活動は「試合に勝つこと」「上達すること」を中心に設計されており、体験重視・友達との交流目的で活動したい生徒にとっては敷居が高い面がありました。地域クラブ活動では、参加の目的に応じた複数の選択肢を用意することで、より広い層の生徒が参加できる包摂的な設計が可能になります。
また、ピックルボールやアルティメットなど「学校部活動では存在しなかった種目」を地域クラブで提供する試みも重要です。地域移行を「部活動を外に移す」という後ろ向きの文脈ではなく、「中学生のスポーツ・文化体験を豊かにする機会」として前向きに再定義することで、保護者や生徒の受容度が高まります。新しい種目との出会いが地域クラブの魅力となり、参加率維持につながるという視点は他自治体でも参考になります。
CONSULTING / 専門家に相談
受け皿団体の組織整備・経営について
専門家に相談しませんか?
設立手続きの進め方・行政との調整・資金計画など、
総合型地域スポーツクラブ特化のコンサルティングをご提供しています。