トップ 事例を探す 京都府 【事例】京都府綾部市の部活動地域展開 ─ 超小規模5校環境でバレーボール・陸上の2クラブ参加費ゼロ先行実証と府立高校グラウンド活用
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【事例】京都府綾部市の部活動地域展開 ─ 超小規模5校環境でバレーボール・陸上の2クラブ参加費ゼロ先行実証と府立高校グラウンド活用

公開:2026.05.03 更新:2026.05.03
この記事でわかること

・生徒数11〜88名の超小規模5校を含む綾部市が参加費ゼロで先行した2クラブ実証の詳細
・府立高校グラウンドを活動拠点として活用した施設確保の工夫と支援学校生徒を含む包摂的参加設計
・参加者数の伸び悩み・大会参加不可という課題と令和7年度ソフトテニス追加への対応方針

自治体名 京都府綾部市
人口規模 約3万人(30,035人)
中学校数 6校(生徒数714人)
運営形態 綾部市教育委員会(各競技協会に委託)
対象競技 バレーボール・陸上競技(計2種目、令和7年度よりソフトテニス追加予定)
保護者負担額 参加費なし(無料)

取り組みの概要

綾部市は人口約3万人、面積347.10 km²という広大な市域を持つ京都府北部の都市です(令和6年度)。公立中学校6校に714名の生徒が在籍していますが、市内最大の綾部中学校(473名)を除く5校は生徒数が88名・62名・41名・39名・11名という超小規模校で、少子化が構造的課題となっています。令和6年度に部活動43部が活動する中、単独チームの編成困難が顕在化しつつあります。

令和6年度はスポーツ庁の実証事業に参加し、バレーボール教室(綾部市バレーボール協会運営)と「あすれっつ中学生部門」(陸上競技・綾部市陸上競技協会運営)の2クラブを先行実施しました。両クラブとも参加費無料で、市内中学生に加えて中丹支援学校中学部の生徒も参加できる体制を整えています。

運営体制は綾部市教育委員会が事業設計・費用負担を担い、各競技協会が指導者派遣と活動運営を担う二層構造です。バレーボール教室は綾部市立綾部中学校体育館、陸上競技は京都府立綾部高等学校グラウンドを活用し、毎週定期的に活動を継続しました。

特徴的な取り組み

  • 超小規模5校を包摂する「部活不問」参加設計:生徒数11〜88名という超小規模校が5校存在する市内で、学校部活の有無に関わらず市内全中学生が参加できる体制を構築。クラブに対応する部活動がない学校の生徒も参加可能とし、スポーツ機会の格差是正を実現しました。
  • 府立高校グラウンドを陸上クラブ拠点に活用:「あすれっつ中学生部門」では京都府立綾部高等学校のグラウンドを活動拠点として使用。市立中学校の施設に限定せず、高校施設を開放することで競技専用環境での練習を実現するとともに、高校との連携関係を構築しました。
  • 両クラブとも毎週定期開催・指導者計19名体制:バレーボール教室は毎週日曜日(午前9時〜正午)、陸上競技は毎週土曜日(午前9時〜11時)に開催し、令和6年4月18日から令和7年2月7日まで活動を継続。バレーボール10名・陸上9名の計19名の指導者が安定した活動を支えました。
  • 令和7年度からソフトテニスを追加し3種目体制へ:令和6年度の2種目実証を踏まえ、令和7年度にソフトテニスの追加を予定。段階的な種目拡大により、地域クラブの選択肢を着実に広げる方針です。

課題と解決策

課題 解決策
参加者数が少ない(バレーボール平均9.2名・陸上平均2.9名) 令和7年度にソフトテニスを追加して種目の選択肢を拡大。拠点校活動・合同部活の推進と組み合わせ、参加者の底上げを図る。支援学校中学部生徒への周知も継続する
引率体制が整備されていないため大会参加が不可 地域スポーツ活動の運営体制拡充に向けて、令和7年度の体制整備を検討中。当面は競技経験・技術習得の場として機能させ、大会参加体制は段階的に構築する方針
6校のうち5校が超小規模(11〜88名)で単独チーム編成困難 地域クラブを複数校の生徒が集まる合同練習の場と位置づけ、単独校では組めない人数でのチーム練習を可能にする。拠点校活動・合同部活との連携も検討
広大な市域(347 km²)での送迎問題 バレーボールは市中心部の綾部中学校体育館、陸上は府立高校グラウンドと、それぞれアクセスしやすい既存施設を拠点に設定。保護者送迎を前提とした会場配置で運用している

成果・効果

令和6年度は2クラブが4月18日から令和7年2月7日まで活動を継続し、計19名の指導者体制で市内6校の生徒を対象に地域クラブ活動を実施しました。バレーボール教室の平均参加者数は9.2名、陸上競技は2.9名で推移。参加者には学校部活に対応する競技がない生徒や、中丹支援学校中学部の生徒も含まれており、これまでスポーツの場が限られていた生徒へのアクセス拡大が実現しました。

綾部市部活動地域移行検討委員会による推進計画の策定も進められており、令和7年度からのソフトテニス追加が決定。地域スポーツ活動の拡大と拠点校活動・合同部活の推進を組み合わせた総合的な対応により、段階的な完全移行に向けた基盤が構築されつつあります。

出典

→ 原文: 令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業 実証事業報告書(京都府・福知山市・舞鶴市・綾部市)|スポーツ庁

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

綾部市の事例が突きつける最大の問いは「生徒数11名の学校でどう部活動を維持するか」です。市内6校のうち5校が88名以下という数字は、「部活動の地域移行」ではなく「部活動が成立しない環境での代替手段を作る」という課題に直面していることを示しています。バレーボール教室の平均参加9.2名・陸上の2.9名という数字を「少ない」と見るか「超小規模校が集まればこれだけ集まる」と見るかで、評価は分かれます。少子化が最も進んだ地域でこそ、地域クラブが部活動の代替として機能する必要性は最も高いと言えます。

「部活不問で参加可能」という設計と、中丹支援学校中学部を対象に含めた点は、インクルーシブな地域スポーツの観点から注目すべき取り組みです。学校部活では受け入れが難しいケースでも、地域クラブという枠組みであれば参加できる生徒がいることを示しており、地域クラブの存在意義を広げる視点として他地域の参考になります。

府立高校グラウンドを陸上クラブの拠点として活用している点は、施設確保の観点から示唆的です。市立中学校や市の体育施設だけでなく、県立高校や大学等の施設を活動場所として交渉・確保することが、選択肢の乏しい地方都市では特に有効です。綾部市の場合、高校施設の開放が実現したのは教育委員会を通じた行政間調整の賜物と考えられ、地域クラブの展開を「市だけの問題」ではなく「県・高校との連携事業」として位置づけることの有効性を示しています。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

綾部市型の最大の課題は「参加者をどう増やすか」です。平均2〜9名という現状は、スポーツとしての集団活動の質を維持するギリギリの水準です。隣接市町との広域連携(合同練習や遠征の実施)や、小学生も参加できる合同練習会の定期開催など、母集団を広げる工夫が次のステップとして重要になります。また、大会参加ができない点は参加者のモチベーション維持に影響する可能性があるため、公式大会への道筋(チーム登録の仕組みや出場資格の整理)を早期に検討することが参加者の継続につながります。

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