【事例】山形県南陽市の部活動地域展開 ─ 市スポーツ協会を事務局に11クラブが受け皿となり、市独自の指導者研修で70人を認定して令和8年4月から休日の部活動を原則廃止
・既存のスポーツ少年団・競技協会・クラブチームをモデル種目として認定し、11クラブを受け皿にした南陽市の進め方
・市独自の指導者研修会Ⅰ・Ⅱと認定資格(70人)で、JSPO資格を待たずに指導を始められるようにした仕組み
・スポーツ協会に事務局を置いて指導者を指導に専念させる分業と、中体連大会重視の意識が残す課題
| 自治体名 | 山形県南陽市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約2.9万人(令和7年度・スポーツ庁成果報告書記載) |
| 中学校数 | 市立中学校3校(令和7年度・生徒715人・運動部38部) |
| 運営形態 | 一般社団法人南陽市スポーツ協会にコーディネーター業務を含めて委託し、地域クラブを統括する事務局(運営団体)とする。実施主体はスポーツ少年団・競技協会・地域クラブチームの11クラブ。市教育委員会(学校教育課・社会教育課)が検討委員会を運営 |
| 対象競技 | 柔道、陸上、剣道、ソフトテニス、軟式野球、卓球、カローリング、バレーボール、サッカー 等(令和7年度11クラブ・うちカローリングは部活動にない新規種目) |
| 保護者負担額 | 平均月1,000円程度(年会費2,000〜24,000円、月会費1,000〜2,000円、陸上は1回200円など、クラブごとに設定)。スポーツ安全保険800円/年は別 |
取り組みの概要
南陽市では生徒数の減少で部活動の休部・廃部が進み、希望する競技が学校にない、部員不足で合同チームを組んで大会に出る、という状況が増えていました。市は令和5年度に検討委員会を設置し、令和7年度までの3年間で休日の部活動のあり方を見直しました。目的は、設置されている部活動をそのまま地域に移すことではなく、生徒が自由に活動を選べる環境を整え、地域スポーツや文化・芸術活動の場を確保することです。令和7年度は既存のスポーツ少年団・競技協会・クラブチームをモデル種目として認定し、10クラブが31部活動分の受け皿となったほか、部活動にないカローリングのクラブも加わって計11クラブが活動しました。運営は指導者(実施主体)と事務員(運営団体)に分け、運営団体を一般社団法人南陽市スポーツ協会が担う体制で、令和8年4月から休日の学校部活動を原則行わない方針です。
特徴的な取り組み
- スポーツ協会が事務局、クラブは指導に専念: 市はコーディネーター業務を含む業務を南陽市スポーツ協会に委託し、外部人材を総括コーディネーター(アドバイザー)に委嘱。運営団体が保険加入や会員管理などの事務を担い、報告に基づいて謝金等の支払いを管理し、実施主体の指導者は指導に専念します。運営団体と実施主体が同一システム内で情報共有できるアプリも一部で使い始めました。
- 市独自の指導者研修と認定資格: 研修会Ⅰ(ジュニア期のスポーツ指導と市部活動ガイドライン、熱中症等の死亡・障害事例、コンディショニング実習)と研修会Ⅱ(普通救命講習・応急処置、多種目間の情報交換)の両方を受講すると修了証を発行。モデル種目の指導者には受講を義務づけ、令和7年度末時点で南陽市認定資格の所持者は70人(うち29人が今年度取得)、モデル種目の指導者総数は61人です。JSPO資格などの取得は市スポーツ協会の助成で後押しします。
- 生徒の志向に合わせた種目: 休日に部活動以外の種目に取り組みたい児童生徒が約50%いるというアンケートを踏まえ、カローリング協会の協力で部活動にない種目をモデル種目にし、参加した中学生同士でチームを組んで大会に出ました。指導者研修にコンディショニングを位置づけ、市の健康づくり施策であるトータルコンディショニングプログラムとも連動させています。
- 休日の学校施設に地域クラブ枠: 休日の日中、学校部活動として使っていた時間帯を地域クラブ活動優先に設定し、クラブごとに活動拠点を定めて同じ施設を使う者同士で時間調整。学校の備品は利用可とし、ボールや消耗品は各クラブが準備するルールを各中学校がまとめて全クラブに伝えます。
- 段階的な周知: 令和7年11月に児童説明会、12月に各部活動の保護者会説明会、令和8年1月に部活動改革の情報提供と講演会、2月に地域クラブ説明会と申請受付を実施し、県や地区の担当者連絡協議会にも参加しています。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 生徒・保護者が中体連大会への出場を重視し、年代をオープンにした活動への抵抗があり、中体連大会への参加や指導は難しいと考えるクラブも多い | 部活動の意義を再確認しつつ、競技ごとの説明会で「地域でスポーツを支える」意識を広げる。多世代交流を促し豊かなスポーツ環境の構築を目指す |
| 学校施設は社会教育団体の利用でほぼ満杯で、移行期は学校部活動と地域クラブが同時に活動する | 利用希望団体を集めて時間や条件を調整する会を開き、各学校が使用ルールを提示。鍵管理や予約方法は他市町の取り組みを参考に検討 |
| 事務員の確保、システム導入、ホームページ管理に新たな人件費・使用料がかかる | 継続した財源確保と受益者負担への理解を進めるとともに、企業協賛など新たな財源を模索。経済的理由で参加を断念させない体制を検討 |
| アンケートで希望の多かった種目でも市内に公の競技団体がなく、実施の見通しが立たないものがある | 地域のスポーツ団体との連携と関係者とのコミュニケーション強化で、生徒のニーズに合う種目の設置を検討 |
成果・効果
各競技団体の連携のもと受け皿となる地域クラブは年々増え、令和7年度は11クラブ(指導者61人)が活動しました。多くの地域クラブから、指導者研修が生徒との関わり方や自己評価の機会として評価され、指導謝金が指導者の責任感やモチベーションを高めているという意見が寄せられています。事務機能を一括して運営団体が担うことは「非常に助かっている」一方、報告書類が煩雑になることがあり、簡略化されたシステムの実質運用が求められています。参加生徒からは肯定的な意見が増え、他校との交流で活動が充実したという感想も出ています。市は令和8年4月から休日の学校部活動を原則行わない方針で、地域クラブの定義の確認、生徒・保護者への説明、平日の拠点校部活動の検討を進めます。
出典
→ 原文: スポーツ庁「令和7年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 山形県南陽市」(報告書検索システム)
→ 原文: スポーツ庁「令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 山形県南陽市」(報告書検索システム)
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