【事例】山形県上山市の部活動地域展開 ─ NPO法人が「部活動サポートかみのやま」として事務を一括代行し、市独自の承認制度で8クラブに生徒1人月1,000円の補助
・NPO法人の総合型クラブを運営団体に指定し、会費・謝金・施設予約の事務を各クラブから切り離した上山市の設計
・令和7年10月から市独自に8クラブを承認し、生徒1人月1,000円+団体5,000円の補助と施設減免で支える仕組み
・謝金ゼロの部活動から月謝徴収へ移る際の意識醸成と、公的財源の裏付けを市が率直に課題として示している点
| 自治体名 | 山形県上山市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約2.7万人(令和8年1月31日時点・スポーツ庁成果報告書記載) |
| 中学校数 | 市立中学校4校(令和7年度・生徒574人・運動部23部) |
| 運営形態 | 特定非営利活動法人かみのやまスポーツクラブ(総合型地域スポーツクラブ)を運営団体「部活動サポートかみのやま」に指定し市が業務委託。実施主体は種目ごとの地域クラブ。市教育委員会生涯学習課に部活動地域展開コーディネーター(運動部2名・文化部1名)を配置 |
| 対象競技 | 陸上、サッカー、剣道、バスケットボール、バレーボール、ソフトテニス、軟式野球、マルチスポーツ(令和7年度承認8クラブ)。令和8年度は卓球を加えた8クラブを認定予定 |
| 保護者負担額 | 月額1,000〜1,500円程度(モデルクラブ:バレーボール月1,500円、ソフトテニス月1,000円)。スポーツ安全保険800円/年は別。承認クラブには市から生徒1人あたり月1,000円の個人補助と団体補助5,000円 |
取り組みの概要
上山市は市立中学校4校・生徒574人で、部活動の任意加入が2年目となり運動部の所属が減る一方、令和6年の調査で「休日に活動したい中学生が多い」「平日と同じ活動をしたいが受け皿がない」という状況が明らかになっていました。市は令和5年度からの3年間、スポーツ庁の実証事業でモデルクラブを指定して受け皿づくりを進め、3年目の令和7年度はこれまでのモデルクラブを核に、10月から地域クラブを市独自に承認する仕組みを始めました。同時に、スポーツ団体が受け皿として運営しやすくなるよう、総合型地域スポーツクラブであるNPO法人かみのやまスポーツクラブを唯一の運営団体に指定し、入会・会場予約・会費徴収・指導者謝金支払いなど各クラブに共通する事務を一手に担う「部活動サポートかみのやま(通称ブカサポかみのやま)」を立ち上げました。令和8年1月には認定地域クラブ設立ガイドラインを策定し、令和8年度からの認定地域クラブと認定運営団体の設立準備を整えています。
特徴的な取り組み
- 運営団体が事務を一括代行: 部活動サポートかみのやまは、月謝の集金、指導者への謝金給付と源泉徴収、施設の代理予約、市からの補助金の代理受領、連絡アプリの運用、ホームページ作成を担います。各クラブの指導者は生徒の指導に集中できる体制で、令和7年10〜1月を試験期間として運営業務の一部を実際に行い、クラブ組織化の課題を抽出しました。
- 市独自の承認と補助金: 令和7年10月から承認した8クラブ(上山RC・上山FC・北櫻会・かみのやまバスケットボールクラブ・かみのやまスポーツクラブ・上山バレーボールクラブ・上山ソフトテニスクラブ・上山BBC)に、中学生1人あたり月額1,000円の個人補助と団体補助5,000円を支給し(モデルクラブは除外)、社会体育施設の使用料を減免しました。令和8年2月実績では上山バスケットボールクラブ27名で32,000円、上山RC16名で21,000円などです。地域クラブの設立申請時にはガバナンス関係のチェックリスト提出を必須としています。
- モデルクラブで会費と謝金のバランスを検証: 上山バレーボールクラブ(平日1回・休日1回、月1,500円、指導者6名)と上山ソフトテニスクラブ(休日1回、月1,000円、指導者6名)で時間給と月ごとの謝金設定を試し、会計は中間検査と完了検査で適正な執行を助言しました。
- 運営団体主催の指導者研修: 種目別フィジカルトレーニング教室、発達段階に応じた指導とハラスメントのない環境づくり、中学生世代が起こしやすいケガとその予防の3研修を外部講師で実施。かみのやまスポーツクラブはゴルフ体験教室や陸上・剣道の部活動体験教室も開催しました。
- 学校施設のスマートロック導入: 小中学校の施設利用状況を一覧にして市ホームページに掲載し、モデル校・モデル施設でスマートロックやキーボックスによる鍵の受け渡しを実施。市内の県立上山明新館高校とはバレーボールで練習交流と体育館借用を行いました。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 謝金ゼロの部活動から月謝徴収への意識醸成が進まず、将来の見通しが持てずに金額設定をためらうクラブがある | 軌道に乗るまでは自主財源外の公的財源で指導者謝金を裏付け、個人補助・団体補助と施設減免を組み合わせる。所属人数・月謝額・謝金額を考慮して補助金の仕組みを見直す |
| スポーツ協会や競技団体に人的余裕がなく、定期的・持続的に指導にあたる人材確保の依頼が難しい | 予算の裏付けをもった依頼を模索し、「レベルアップは二の次にして持続可能な受け皿づくりに焦点化する」方針 |
| 運営団体の職務内容と範囲が未確定で戸惑いがあり、連絡アプリは使いづらいという声があった | 令和7年度の運営団体の職務実態を検証して市と運営団体の役割を見直し、アプリの機種を変更する |
| スポーツ庁の認定要件「所属中学生5名以上」を満たさない少人数クラブや、中学校にない種目への支援 | 条件や状況が違っても認められ支援を受けられる地域クラブも視野に入れて条件整備を行う |
成果・効果
3年間のモデル事業で指定したモデルクラブは3でしたが、令和7年度は8つの地域クラブを市独自に承認し、令和8年度は新規の卓球クラブ(スマッシュクラブ)を含む8クラブを認定地域クラブ、かみのやまスポーツクラブを認定運営団体とする準備が整いました。参加生徒からは「部活でクラブで言われたことを実践したらうまくいった」「細かく指導してくれて前よりテニスを深く知れた」、保護者からは「他校との繋がりができた」「部活での物足りなさを感じていたので練習機会が増えた」という声が寄せられ、一方で「練習場所は地区ごとの学校を中心に、送迎も親ありきでなく子どもの行動範囲内で」という要望もありました。指導者からは「クラブと学校間のコミュニケーションのみに委ねず交通整理してほしい」「教育委員会事務局と体育施設管理団体の情報が共有されていない」という指摘が出ています。市は令和8年度以降、認定地域クラブの設立促進と財政支援の条件整備、運営団体への委託内容の確定を進める方針です。
出典
→ 原文: スポーツ庁「令和7年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 山形県上山市」(報告書検索システム)
→ 原文: スポーツ庁「令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 山形県上山市」(報告書検索システム)
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