トップ 事例を探す 茨城県 【事例】茨城県神栖市の部活動地域展開 ─ 直営型・自主運営型ハイブリッドで全市一斉移行
全種目 👥 5~10万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 茨城県

【事例】茨城県神栖市の部活動地域展開 ─ 直営型・自主運営型ハイブリッドで全市一斉移行

公開:2026.04.06 更新:2026.05.27
この記事でわかること

・茨城県神栖市が地域移行で直面した課題と具体的な解決策
・運営主体の選択背景と財源確保の工夫
・他の自治体が参考にすべき3つの視点(部活動地域展開ナビの分析)

自治体名 茨城県神栖市
人口規模 約9.3万人(2026年2月末時点)
中学校数 8校(神栖地区4校・波崎地区4校)
運営形態 市直営型クラブ+自主運営型クラブのハイブリッドモデル
対象競技 軟式野球、サッカー、ソフトテニス、バスケットボール、バレーボール、卓球、剣道、柔道、吹奏楽(直営型9種目)
保護者負担額 直営型:年会費1,000円+月会費2,000円(自主運営型は各団体設定)

取り組みの概要

茨城県神栖市は、少子化による部活動の維持困難という課題を背景に、令和5年(2023年)9月に「神栖市地域クラブ活動移行推進計画」を策定しました。令和6年(2024年)9月には市内全8中学校で一斉に休日部活動の地域クラブ活動への移行を開始しています。運営形態は、市が主体となって運営する「直営型クラブ(かみす地域クラブ)」と、既存のスポーツ団体等が運営する「自主運営型クラブ」を組み合わせたハイブリッドモデルを採用しており、神栖地区・波崎地区それぞれに地域クラブを設置しています。指導者の約半数は兼職兼業の許可を得た現役教員が担い、残りを地域の専門家・愛好家が補う体制を構築しています。

特徴的な取り組み

  • 全市一斉移行: 段階的な試験運用を経ず、令和6年9月に市内全中学校で同時に休日部活動の地域展開を開始しました。推進計画の策定から約1年で全市移行を実現した迅速な取り組みが特徴です。
  • 直営型・自主運営型ハイブリッドモデル: 市が直接運営する「直営型クラブ」では9種目を統一料金・統一ルールで提供し、既存スポーツ団体が運営する「自主運営型クラブ」と組み合わせることで、生徒の多様なニーズに対応しています。
  • 兼職兼業制度の積極活用: 指導者確保の核として、教員が学校外で指導者として報酬を得られる兼職兼業制度を活用しています。制度面の理解促進に注力し、指導者の約半数を兼業許可を得た教員が担う体制を実現しました。
  • 丁寧な移行支援: 保護者・生徒に対して移行初期から年間スケジュールを具体的に示し、説明会の開催と動画配信を組み合わせることで、移行への理解と円滑な参加を促しました。

課題と解決策

課題 解決策
指導者の確保が困難 教員の兼職兼業制度の周知・活用を推進。指導者の約半数を兼業許可教員が担う体制を整備し、地域の専門家・愛好家でも補完
保護者・生徒の移行不安 移行初期から年間スケジュールを具体的に提示。対面説明会と動画配信を組み合わせて丁寧に説明し、理解・参加を促進

成果・効果

令和6年9月の全市一斉移行後、生徒からは「様々な視点からの指導がありがたい」「クラブでの活動が普段の部活動にも反映されている」といった肯定的な声が報告されています。茨城県教育委員会は神栖市の取り組みを「学校と地域をつなぐ好事例」として評価しており、文化部(吹奏楽)の地域展開事例としても県の先進事例として紹介されています。直営型9種目に加え、自主運営型クラブによる多様な種目選択肢を提供することで、生徒一人ひとりの活動継続を支援しています。

出典

→ 原文: かみす地域クラブ|茨城県神栖市

→ 参考: 神栖市「かみす地域クラブ」の事例 – 茨城県教育委員会

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

神栖市の最大の特徴は「直営型」と「自主運営型」を地域の実情に応じて使い分ける点にある。一般的に自治体が悩むのは「行政主導で安定を取るか、民間主体で持続可能性を取るか」という二項対立だが、神栖市はこの問いに対して「両方やる」という答えを出した。直営型で品質と公平性を担保しつつ、自主運営型でコミュニティの主体性を引き出す設計は、大規模移行における現実的な落とし所として注目に値する。特に、地区単位(神栖地区・波崎地区)で運営主体を柔軟に変えた点は、地域差のある自治体が参考にすべき発想だ。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

このモデルを導入する際の最大の課題は「直営と自主運営の役割分担を明確化すること」だ。どの種目を直営で、どの種目を自主運営にするかの基準があいまいだと、保護者や学校間で不公平感が生じる。解決策として、種目の特性(競技人口・指導者確保のしやすさ)や地区ごとの既存スポーツ団体の有無を事前にマッピングし、選定基準を文書化しておくことが重要だ。また、自主運営団体が困ったときに行政に相談できる「伴走支援体制」を最初から設計しておくことで、脱落を防ぐことができる。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

会費収入(年会費1,000円+月会費2,000円)は全国的に見ても標準的な水準だが、長期的には指導者謝金の上昇と財政負担のバランスが課題になる。直営型は行政コストが明確な分、予算削減の対象になりやすい。5年後を見据えた自己財源の多様化(企業協賛、ふるさと納税、自主事業など)を早めに検討しておきたい。

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