【事例】鳥取県南部町の部活動地域展開 ─ 人口約1万人で全9種目の「南部町型地域クラブ方式」へ・会費は月4,000円以内に統一し公用車で2校間を1日3往復
・人口約1万人・中学校2校で全種目の「南部町型地域クラブ方式」へ移行する工程と先行2種目の実績
・受益者負担を月4,000円以内(9クラブ平均1,666円)に統一し、困窮世帯支援の申請経路を整理した設計
・約6km離れた2校間を公用車で1日3往復する移動支援と、生徒の97.5%が肯定した評価
| 自治体名 | 鳥取県西伯郡南部町 |
|---|---|
| 人口規模 | 約9,865人(令和7年度事例シート記載時点)。令和5年度時点では10,289人 |
| 中学校数 | 2校(法勝寺中学校・南部中学校)。生徒252人、部活動12部活(運動部のみ・令和7年度) |
| 運営形態 | NPO法人(総合型地域スポーツクラブ)への業務委託。町教育委員会が特定非営利活動法人 南部町総合型地域スポーツクラブ「スポnetなんぶ」へクラブコーディネーター業務を委託し、同法人が活動実施・指導者謝金支払い・保険加入・連絡体制整備を担う |
| 対象競技 | 令和7年度の先行2種目はサッカー・剣道。令和8年度に野球・バスケットボール・バレーボール・卓球・ソフトテニス・陸上・ソフトボールを加えた全種目へ拡大予定 |
| 保護者負担額 | サッカーは月4,000円(別途登録料他13,000円)、剣道は月1,000円。保険料はスポーツ安全協会保険で生徒1人あたり年800円。令和8年度に立ち上げ予定のクラブを含め、受益者負担は月額4,000円以内に設定(9クラブ平均1,666円) |
取り組みの概要
鳥取県南部町では、人口減少が平成28年策定の「南部町人口ビジョン」の予測を上回るペースで進行し、団体種目で単独チームを組めない部活動が急増しました。町立中学校は法勝寺中学校・南部中学校の2校、生徒252人、部活動は12部という規模です。
町は令和5年度に「南部町部活動あり方検討委員会」を設置して計5回の協議を重ね、令和6年3月に「南部町部活動の地域移行のあり方に関する提言」を町教育委員会へ提出しました。提言は令和6・7年度を改革推進期間とし、令和8年度に「南部町型地域クラブ方式」へ完全移行することを求めています。
令和6年度からNPO法人「スポnetなんぶ」にクラブコーディネーター業務を委託し、令和7年4月にサッカー・剣道の2種目を先行して地域クラブ化しました。
令和8年度には残る全種目を「南部町型地域クラブ」として認定し、平日を含む町内全運動部活動の地域展開完了を目指しています。人口約1万人の町で、2種目の先行から全種目への完全展開まで工程を描いた事例です。
特徴的な取り組み
- 既存NPOへの一元委託とコーディネーター2名体制: スポnetなんぶの理事長と職員の計2名にコーディネーターを委託しています。理事長が団体間調整・制度設計、職員が指導者の登録管理・研修開催・育成会運営を分担し、施設調整・入会事務・指導者労務管理をNPOが一括して担う運用を定着させました。既存の総合型地域スポーツクラブを受け皿にすることで、新たな法人を立ち上げずに事務局機能を確保しています。
- 公用車シャトル運行で6km離れた2校間を1日3往復: 法勝寺中学校と南部中学校は約6km離れており、徒歩・自転車での移動が困難です。令和5年度は10人乗り公用車2台で生徒を移送し、運転業務を個人へ委託しました。令和8年度はハイエースで両中学校間を1日3往復し、運転手の費用として1,380円×3時間×250日を町が負担する案を策定しています。
- 受益者負担を月4,000円以内に統一(9クラブ平均1,666円): 令和8年度に立ち上げ予定のクラブを含め、受益者負担を月額4,000円以内に設定しました。9クラブの平均は1,666円です。先行2種目の実額はサッカーが月4,000円(別途登録料他13,000円)、剣道が月1,000円で、種目ごとに異なる実費を上限で束ねる設計になっています。
- 業務支援アプリで指導者の日報と謝金清算をデジタル化: 指導者がスマートフォンで当日中に業務日報を入力し、活動実績に紐づく謝金清算を自動化しました。NPOが指導者の労務管理を担う体制とあわせて、事務負担を抑える仕組みです。
- 西伯小学校グラウンドにLED夜間照明4基を整備: 平日夜間の練習場所を確保するため、西伯小学校グラウンドにLED夜間照明4基を整備しました。平日を含む地域展開を見据えた施設面の手当てです。
- 令和8年度の11クラブ中10クラブを地域指導者が担う: 令和8年度に地域展開する11クラブのうち10クラブが地域指導者による運営で、残る1クラブも教員が主ながら地域在住者です。先行するキルシェンユーゲント(サッカー)は中学1年10名・2年3名に指導者6名、南部清流館(剣道)は中学1年3名・2年2名に指導者2名という体制です。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 学校教育関係(部活動)と社会教育関係(地域クラブ)で予算区分が異なり、年度途中の移行ができない。当初計画していたソフトボールの8月移行は、指導者謝金の確保と予算組替が難しく見送りとなった | 学校教育と社会教育の両予算体系の緊密な連携と、柔軟な予算運用スキームの検討を今後の方針として明記する |
| 困窮世帯支援で個人情報の壁があり減免が機能しない。当初はスポnetなんぶが要保護・準要保護世帯への減免を行い町が減免額を同法人へ支出する計画だったが、個人情報保護の観点から行政が保有する対象世帯の情報を民間団体へ提供することが困難だった | 当初案を取りやめ、困窮世帯に対して町が直接活動費を支援する制度に切り替える。要綱を定めて令和8年度から実施し、年度当初の参加者説明会やホームページ等での周知に加え、随時申請できる仕組みと電子申請システムの採用で保護者の負担軽減を図る。支援内容案は年会費1,100円・保険料800円・参加費上限月額2,500円 |
| 2つの中学校が約6km離れており、生徒が徒歩や自転車で移動できない | 令和5年度は10人乗り公用車2台で移送し運転業務を個人へ委託。令和8年度はハイエースで両校間を1日3往復し、運転手費用(1,380円×3時間×250日)を町が負担する案を策定する |
| 種目ごとに必要経費が異なり、受益者負担の水準がばらつく | 令和8年度に立ち上げ予定のクラブを含めて受益者負担を月額4,000円以内に設定し、9クラブ平均1,666円という水準に収める |
| 人口減少が人口ビジョンの予測を上回り、団体種目で単独チームを組めない部活動が急増している | 令和5年度に部活動あり方検討委員会を設置して計5回協議し、令和6年3月の提言に基づいて令和6・7年度を改革推進期間、令和8年度を完全移行と位置づけた工程を組む |
成果・効果
令和5年度の合同部活動アンケートでは、対象生徒(7月は1〜3年の59人、12月は1・2年の44人)のうち99%が合同部活動を肯定的に評価し、97.5%が公用車送迎を肯定的に評価しました。移動支援が受け入れられていることが数値で確認されています。
令和8年1月の地域クラブアンケートでは、活動の充実度・指導内容への満足度について保護者・生徒とも90%超が肯定的に回答しました。会費については約90%の保護者が「適切」と回答しています。
令和8年度に地域展開する11クラブのうち10クラブが地域指導者による運営となり、残る1クラブも教員が主ながら地域在住者が関わる体制です。先行2種目の参加状況は、キルシェンユーゲント(サッカー)が中学1年10名・2年3名に指導者6名、南部清流館(剣道)が中学1年3名・2年2名に指導者2名となっています。
出典
→ 原文: 令和7年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業「地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業」鳥取県/鳥取県南部町/スポーツ庁(PDF)
→ 原文: 南部町部活動の地域移行のあり方に関する提言(令和6年3月)/南部町部活動あり方検討委員会(PDF)
→ 原文: 南部町部活動の地域移行のあり方に関する提言/南部町
→ 原文: 令和5年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業(合同部活動の推進に関する実証事業)鳥取県南部町/スポーツ庁(PDF)
→ 原文: 部活動の地域連携・地域移行/鳥取県
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