【事例】茨城県高萩市の部活動地域展開 ─ ウエイトリフティングを目玉に早稲田大学連携・国民スポーツ大会レガシー活用
・茨城県高萩市の地域移行で直面した課題と解決策
・運営主体の選択背景と財源確保の工夫
・他の自治体が参考にすべき視点
| 自治体名 | 茨城県高萩市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約2.7万人 |
| 中学校数 | 市内中学校(高萩市教育委員会生涯学習課が一括管理) |
| 運営形態 | 市教育委員会主導・競技団体連携型/市職員コーディネーター制 |
| 対象競技 | ウエイトリフティング(目玉)・軟式野球・サッカーほか(学校部活動にない競技を意図的に拡大) |
| 保護者負担額 | 各クラブで設定(高萩ウエイトリフティングクラブ等) |
取り組みの概要
茨城県高萩市は、令和5年度から段階的に休日中学校部活動の地域移行を開始し、令和8年度(2026年度)からは休日部活動を完全に廃止する計画です。同市の特徴は、学校部活動にはない「ウエイトリフティング」を地域クラブの目玉に位置付け、2019年の国民スポーツ大会開催レガシーを活かして全国中学生選手権大会(2021年~)を継続誘致している点です。
「高萩ウエイトリフティングクラブ」は週3日の活動を実施し、参加者は小中高生23人。市内児童生徒が過半数を占めるほか、日立市・いわき市など隣接地域からも参加が集まり、人口2.7万人の小規模都市の枠を超えた広域型運営となっています。市職員でクラブ指導者を兼ねる吉岡史生氏(早稲田大学監督兼任)がコーディネートを担い、令和7年1月31日~2月1日には早稲田大学ウエイトリフティング部と合同練習を実施するなど、大学アスリートとの連携を制度化しています。
特徴的な取組
- ウエイトリフティングを目玉に「学校部活動にない競技」を拡大: 学校部活動にはないウエイトリフティングを地域クラブの中核に位置付け、生徒の選択肢を学校部活動の枠を超えて拡大。
- 2019年国民スポーツ大会レガシーの戦略的活用: 2019年の国民スポーツ大会開催をきっかけに整備された競技基盤を、地域クラブ活動の土台として継続活用。全国中学生選手権大会(2021年~)誘致でも継続的に活用。
- 市職員+早稲田大学監督の二足の草鞋コーディネーター: 市職員の吉岡史生氏が早稲田大学監督を兼任しクラブ指導者も担当。行政・大学・競技の3つのネットワークを一人で接続する希少な体制。
- 大学アスリートとの合同練習: 早稲田大学ウエイトリフティング部と合同練習を実施し、中学生チャンピオンと大学生がマンツーマン指導を受ける機会を創出。
- 高浜スポーツ広場本館の多目的室改修: 床補強・バーベル(0.5~25kg)など必要用具を完備した専用施設を整備し、年間を通じた継続活動の場を確保。
- 広域からの参加者受入: 市内中高生に加え、日立市・いわき市など隣接地域の小中高生も参加する広域型クラブ運営。人口2.7万人の自治体では成立しにくい競技でも、広域参加で活動の質と量を確保。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 人口2.7万人の小規模自治体で多様な競技を維持する難しさ | ウエイトリフティングのような専門競技は広域参加(市内+日立市・いわき市)を受け入れ、競技人口を確保 |
| 専門競技の指導者確保 | 市職員でクラブ指導者を兼ねる吉岡氏が早稲田大学監督も兼任し、行政・大学・競技を一人で接続 |
| 専門競技の活動場所と用具 | 高浜スポーツ広場本館の多目的室を床補強し、バーベル(0.5~25kg)等の用具を完備した専用施設として改修 |
| 競技継続のモチベーション維持 | 早稲田大学ウエイトリフティング部との合同練習を制度化し、中学生チャンピオンと大学生のマンツーマン指導機会を提供 |
| 休日部活動の完全廃止に向けた段階移行 | 令和5年度から段階移行を開始し、軟式野球・サッカーなどでも令和5・6年度に地域クラブ活動を立ち上げ、令和8年度の完全廃止に向け順次拡大 |
成果・効果
高萩ウエイトリフティングクラブは週3日活動・参加者23人(小中高生)という規模で運営され、市外からの参加者も含む広域型クラブとして定着。早稲田大学との合同練習や全国中学生選手権大会の継続誘致により、競技経験の質を担保しています。令和6年度版の周知チラシでは申込用QRコードを記載し、登録手続きの簡便化も実現。令和8年度の休日部活動完全廃止に向け、軟式野球・サッカーを含む複数競技で受け皿団体の整備が進行中です。
出典
→ 原文: 高萩市公式ホームページ「休日部活動の地域移行」(高萩市教育委員会生涯学習課)
→ 原文: 教育新聞「【部活動地域移行の現場】目玉はウエイトリフティング 茨城・高萩」
💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント
高萩市の事例で最も興味深いのは、「学校部活動にない競技をあえて地域クラブの目玉に据える」発想です。多くの自治体が「既存部活動の受け皿を確保する」アプローチに留まる中、高萩市は2019年の国民スポーツ大会レガシーをウエイトリフティングという形で地域に残し、地域クラブ活動を「新しい選択肢を提供する場」へ進化させています。
また、市職員の吉岡氏が早稲田大学監督を兼任しクラブ指導者も担う「三役兼任コーディネーター」は、人材確保が困難な小規模自治体における極めて実用的なモデルです。一人の人物が複数のネットワークを束ねることで、組織間の煩雑な調整コストを大幅に圧縮しています。広域参加(市外からも受入)の設計も、競技人口が確保しにくい小規模自治体にとって貴重な参考事例です。
📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策
「国民スポーツ大会レガシー競技」を地域クラブに転換する設計は、過去にスポーツ大会を開催した自治体であれば応用可能です。施設・用具・指導者ネットワークが既に存在するため、ゼロからの立ち上げに比べてコスト圧縮効果が大きく、競技の象徴性も継承できます。広域参加を許容する設計は、競技人口が確保できない小規模自治体には特に有効ですが、保険・大会出場資格・連絡体制の整備を予め整理しておく必要があります。市職員兼コーディネーターの設置は人事的なハードルがある場合、退職教員や地域指導者で同様の三役兼任モデルを設計することも考えられます。
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