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【事例】愛知県名古屋市の部活動地域展開 ─ 小学校先行転換と民間委託で2025年10月に休日部活廃止へ

公開:2026.04.28 更新:2026.09.22
この記事でわかること

・2020年度に小学校262校すべての部活動を廃止し、民間委託による活動へ先行転換した取り組み。
・平日の外部指導員を休日の地域クラブでも同一人物として配置し、指導の連続性を確保した。
・eスポーツ・ブレイキンなど10種目を新設し、部活動未加入者も含む中学生248名が参加した。

自治体名 愛知県名古屋市
人口規模 約230万人(2024年時点)
中学校数 市立中学校 約110校
運営形態 民間委託(リーフラス株式会社)+将来的な地域クラブ移行
対象競技 スポーツ・文化芸術活動(全種目対応)
保護者負担額 実証事業では徴収なし(本格実施時は調査時点で未公表)

取り組みの概要

名古屋市は政令指定都市の中でも部活動改革に先駆けて取り組んできた自治体です。まず小学校において2020年度までに市内全262校で部活動を廃止し、民間事業者リーフラス株式会社への業務委託による「新たな運動・文化活動」に転換しました。中学校では令和3年度(2021年度)から休日の部活動(1校1部)に外部人材指導を導入し、教育委員会担当課職員も緊急時対応できる体制を整備。令和4年度(2022年度)には同社に業務委託し、原中学校・平針中学校のバスケットボール部員を対象とした地域クラブ活動の実践研究を実施しました。2023年8月にはeスポーツ・ブレイキン・ゴルフ・吹奏楽など10種目に広げたモデル事業を実施。2024年10月から活動基準の段階的見直しを開始し、2025年10月には大会等を除いて土日の学校部活動を廃止し、地域クラブ活動への全面移行を目指しています。

特徴的な取り組み

  • 小学校での先行転換モデル:2020年度に市内全262校の小学校部活動を廃止し、リーフラス株式会社に業務委託する形で「新たな運動・文化活動」を整備。中学校地域移行の先行事例として機能している。
  • 民間事業者への業務委託:リーフラス株式会社が運営主体を担い、指導者研修・保護者専用窓口の設置・学校との調整連携まで一括して請け負う体制を構築。指導の質管理と保護者対応を専門事業者に集約した。
  • 平日と休日で同一指導者を配置:令和4年度実証事業では、平日の部活動外部指導員を休日の地域クラブ活動でも継続配置することで、指導の連続性を確保。保護者・学校双方から高評価を得た。
  • 多様な新種目の導入:2023年8月のモデル事業では、従来の部活動には存在しなかったeスポーツ・ブレイキン・ヨガ・HIPHOPダンス・ドローンなど計10種目を提供し、市内中学生248名が参加。部活動未加入者も対象に含めた活動機会の拡大を図った。
  • 段階的な活動基準の引き下げ:2024年10月から休日部活動の活動基準を段階的に縮小し、2025年10月には大会参加等を除いた土日の学校部活動を廃止するロードマップを設定。急進ではなく段階的な移行で現場の混乱を最小化している。
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課題と解決策

課題 解決策
全中学校での緊急時対応を教育委員会担当課が担うことが困難 民間事業者(リーフラス株式会社)が責任主体となり緊急時対応を含む運営管理を一括受託
受け皿となる地域スポーツ団体が量的に存在しない 全国規模の民間事業者を活用しながら地域指導者のネットワーク化を並行して推進
平日・休日で指導できる外部指導員が量的に不足 休日活動を平日部活の延長と捉えず独立した活動と再定義することで、新たな指導者層(未経験者・多様な人材)を取り込む検討を進める
指導の連続性に対する学校・保護者の不安 平日の外部指導員を休日地域クラブでも同一人物とする配置モデルで連続性を担保

成果・効果

令和4年度実証事業では、民間事業者が運営主体となっても、平日・休日の指導者を同一とすることでスムーズな活動運営が実現できることを確認しました。指導者研修や保護者専用窓口の設置により、きめ細やかな対応も可能であることが実証されました。2023年8月のモデル事業では市内中学生248名が参加し、従来の部活動では触れることのできなかった種目への挑戦機会が提供されました。2025年10月からの土日部活廃止により、教員の休日勤務時間の大幅削減が期待されています。

「なごや土日クラブ活動」の開始(2025年10月〜)

名古屋市は2025年10月、大会参加等を除いて土曜日・日曜日の学校部活動を終了し、土日の活動は「なごや土日クラブ活動」へ移行しました。部活動との連続性のない「地域団体の多様な任意活動」と位置づけられ、参加は任意の選択制です。生徒の参加申込は2025年9月16日に始まり、同年10月4日から土日のクラブ活動が開始されています。

  • 実施主体: 地域スポーツクラブ・各種競技団体・プロチーム・民間事業者・大学・文化芸術団体等(団体登録制で募集)
  • 申込方法: 専用ウェブサイト「なごや土日クラブ活動ポータル」で運用
  • 平日の部活動: 学校部活動として継続

よくある質問(FAQ)

Q. 名古屋市の中学校の部活動はなくなる?

A. 土曜日・日曜日の学校部活動は、大会参加等を除き2025年10月に終了しました。土日の活動は地域団体による「なごや土日クラブ活動」へ移行し、平日の学校部活動は継続しています。なお小学校の部活動は2020年度までに全262校で廃止され、民間委託の「新たな運動・文化活動」へ転換済みです。

Q. なごや土日クラブ活動はいつから始まった?

A. 2025年10月4日に土日のクラブ活動が開始されました。参加は任意の選択制で、専用の「なごや土日クラブ活動ポータル」から申し込む仕組みです。

Q. 保護者の費用負担は?

A. 名古屋市の公式ページには調査時点で費用の記載がありません。実証事業期間中は保護者からの徴収はありませんでした。最新の負担額は各クラブ・市の公式発表をご確認ください。

出典

→ 原文: 令和4年度地域運動部活動推進事業 休日の段階的な地域移行に関する実践研究 成果報告書(概要)名古屋市(文部科学省・スポーツ庁)

→ 参考: 名古屋市「名古屋市立中学校における部活動の見直しに向けて」(2025年10月16日更新)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

名古屋市は2020年度に市内全262校の小学校部活動を廃止し、リーフラス株式会社への業務委託による「新たな運動・文化活動」へ全面転換した。この先行転換により、民間事業者との協働体制と信頼関係が段階的に積み上げられた。中学校では令和3年度(2021年度)から休日部活への外部人材導入を開始し、令和4年度(2022年度)には同社への業務委託による地域クラブ活動の実践研究へと移行した。2024年10月からは休日部活の活動基準を段階的に縮小し、2025年10月には大会参加等を除いた土日の学校部活動を廃止するロードマップが設定されている。小学校段階での実績が中学校改革の土台として機能したこの構造は、全国の政令市における地域移行の事例の中でも稀な取り組みである。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

この取り組みでは、リーフラス株式会社が指導者研修・保護者専用窓口の設置・学校との調整連携を一括受託する体制が構築された。令和4年度実証事業では、平日の部活動外部指導員を休日の地域クラブ活動でも継続配置する方式が採用され、指導の連続性が確保された。この配置モデルは保護者・学校双方から高評価を得ており、緊急時対応も民間事業者が責任主体として担う体制により教育委員会の負担軽減が実現した。2023年8月のモデル事業ではeスポーツ・ブレイキン・ヨガ・HIPHOPダンス・ドローンなど10種目が提供され、市内中学生248名が参加した。部活動未加入者も活動対象に含めた設計が採られており、地域移行を単なる「部活動の代替」ではなく「活動機会の拡張」として設計した点がこの事例の際立つ特徴である。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

名古屋市のモデルは全国規模の民間事業者(リーフラス株式会社)の活用が前提となるため、同社が展開していない地域では直接の転用が難しい面がある。ただし、「小学校段階で先に民間移管を実証し、実績を積んだうえで中学校に展開する」という改革の順序は、他の民間事業者や地域スポーツ団体との連携においても応用できる考え方である。令和3〜4年度にかけて「1校1部から実証→段階的拡大」と段階を踏んだアプローチは、大規模一斉導入が困難な自治体にとっても参考となる手順として機能しうる。

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