トップ 事例を探す 徳島県 【事例】徳島県吉野川市の部活動地域展開 ─ 男子バレーボールで市内初の拠点校チームを発足し、指導者を会計年度任用職員で確保
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【事例】徳島県吉野川市の部活動地域展開 ─ 男子バレーボールで市内初の拠点校チームを発足し、指導者を会計年度任用職員で確保

公開:2026.09.13 更新:2026.09.13
この記事でわかること

・地域クラブ0のまま、男子バレーボールの拠点校チーム1つで生徒の受け皿を確保した進め方
・コーディネーターと部活動指導員を会計年度任用職員として市が直接雇用する人材確保の方法
・「2年間入部なしで廃部」など、部活動の精選ルールを校長レベルで共通化する論点

自治体名 徳島県吉野川市
人口規模 約3.8万人(37,501人/令和6年度報告時点)
中学校数 4校・生徒764人・部活動33部
運営形態 行政直営(吉野川市教育委員会学校教育課。推進体制は「吉野川市部活動地域移行検討会議」)
対象競技 男子バレーボール(拠点校チーム)、ソフトテニス(地域クラブ化を協議中)
保護者負担額 未設定(令和6年度時点で地域クラブ活動の運営実績は0クラブのため)

取り組みの概要

吉野川市は中学校4校・生徒764人という規模で、部活動33部を運営しています。生徒数は令和2年度の785人から令和6年度は764人へ減少し、3年生の部員だけで構成され、3年生が引退すると休部になる部活動や、単独校でチームを編成できず合同チームとして活動する部活動が複数生じていました。市は「昨今の出生者数を見ると単一校による団体スポーツの将来的な存続は難しい」と現状を分析しています。

市がとった手順は、受け皿探しより先に「学校同士が話せる場」をつくることでした。令和5年6月に各中学校の部活動担当者・市中学校体育連盟会長・市中学校長会長・市スポーツ協会・教育委員会などで「吉野川市中学校部活動の地域移行タスクフォース会議」を立ち上げ、4回の会議を経て令和6年3月に提言をとりまとめます。令和6年度はその提言を受けて「吉野川市部活動地域移行検討会議」を新設し、6回の会議で方向性を整理しました。

その結果生まれたのが、市内初の拠点校による男子バレーボール部です。指導者として部活動指導員1名を会計年度任用職員として雇用し、7月20日から活動を開始しました。小学校でバレーボールを経験しながら中学校で続けられなかった生徒の受け皿になった好事例として、報告書に記録されています。

特徴的な取り組み

  • コーディネーターも指導者も会計年度任用職員で雇う: 地域移行コーディネーターを会計年度任用職員として雇用し、企画と関係機関との調整にあたらせました。拠点校チームの指導者となる部活動指導員も同じく会計年度任用職員として採用しています。委託先団体が育っていない段階で、市が直接雇用して人を確保する方法です。
  • タスクフォース会議→検討会議の二段構え: 令和5年度は現場の担当者レベルで課題を洗い出して提言をまとめ、令和6年度はその提言を受ける検討会議で方向性を決定するという流れをとりました。令和7年度以降は市立中学校長で組織する検討会議を、必要なときに開催する形に切り替えています。
  • 指導者候補は退職教職員から掘り起こす: 部活動を指導した経験がある指導者(退職教職員等)の情報収集を継続し、候補者へ協力を依頼しました。学校教職員以外の地域内の指導者を掘り起こすことを、拠点校化と同時に進める方針です。
  • ボランティアのソフトテニスクラブを次の受け皿候補に: 現在ボランティアで活動しているソフトテニスのスポーツクラブの管理者へ情報提供と協力依頼を行い、地域クラブチームとしての活動準備を進めています。学校独自の部活動と地域クラブチームが共存するモデルケースになる可能性があると評価しています。
  • 入学説明会で翌年度の方針を直接伝える: 令和7年1月の中学校入学説明会で、新入生と保護者へ新年度の方向性を提示しました。ロードマップ上も「中学校入学説明会にて、来年度の方針を伝える(1〜2月)」が毎年の定点として組み込まれています。
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課題と解決策

課題 解決策
学級数の減少で配属教員が減り、部活動の運営が厳しい 部活動指導員の雇用で対応。拠点校による部活動統合と並行して進める
「部活動は学校教育の一環」という認識が生徒・保護者・地域に根付いている 部活動が教育課程外であることを関係者が認識する必要があると明記し、入学説明会や検討会議を通じて周知していく方針
各校が独自に部活動を整理すると、廃部の基準が学校ごとにばらつく 検討会議の協議事項として「各学校における独自部活動の精選についての共通ルールの作成(例:2年間入部なしの場合廃部 等)」を掲げている
令和6年度時点で地域クラブ活動の運営実績が0クラブ まず拠点校による部活動統合を進めつつ、部員数の増減を見ながら地域移行の可能性を協議する二本立ての方針をとっている
拠点校化の対象種目・学校をどう決めるか 検討会議の協議事項として、統合する種目の選定、拠点校と参加校の選定、各種目の指導者選定を明示的に列挙している

成果・効果

令和6年度は、地域クラブ活動としての運営実績は0クラブでしたが、男子バレーボールで市内初の拠点校チームが発足しました。報告書は「小学校時代にバレーボールを経験してきたが、中学校で継続することができなかった状況を打開することができた好事例」と評価しています。

あわせて、各校の部活動運営について情報交換や協議を行う場が生まれたことを成果として挙げています。これまで各校が独自に運営していた部活動について、現状・課題・展望を共有する機会がなかったため、市全体の状況を整理する契機になったとしています。令和5年度から令和7年度の部活動改革推進期間を通じて、成績や勝敗にこだわらず「人間形成」を大切にした活動を進めることと、教職員の働き方改革の推進を目標に掲げています。

出典

→ 原文: スポーツ庁「令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業(地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業)成果報告書 徳島県吉野川市」(PDF)

→ 検索システム: スポーツ庁 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 報告書検索システム

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

吉野川市は地域クラブ0のまま「成果」を出した珍しい事例です。受け皿団体をつくるより先に、小学校でバレーボールを続けてきた生徒が中学校で行き場を失うという具体的な問題を特定し、拠点校チームと部活動指導員1名でそこだけを塞ぎました。地域展開の議論は総論の受け皿論に流れやすく、その間に生徒の3年間は終わってしまいます。「今どの生徒が困っているか」から逆算し、1種目・1人の雇用で解決できる範囲を先に処理する進め方は、財源も人材も限られた自治体にとって現実的な一手です。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

拠点校方式でいちばん揉めるのは「どの学校の、どの部を残すか」です。吉野川市はこの判断を各校任せにせず、検討会議の協議事項として「独自部活動の精選についての共通ルール」を作ると明示し、たとえば2年間入部者がいなければ廃部という具体案まで議題に載せています。廃部の基準を学校長個人の判断に委ねると、保護者対応の負担が現場に集中し、学校間で不公平感も生まれます。移植する際は、拠点校の選定ルールと廃部の基準をセットで、校長会レベルの合意文書にしておくことが要点です。加えて、受け皿団体が無い段階では会計年度任用職員としての直接雇用が最短ルートになります。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

令和6年度時点で推進計画・ガイドラインは未策定であり、拠点校化の全体像は検討会議の協議事項として並んだ段階です。指導者もコーディネーターも会計年度任用職員であるため、単年度の予算措置が切れれば体制が止まるリスクを抱えます。一方、入学説明会での方針提示をロードマップの定点に組み込んでいる点は、保護者への説明責任を仕組みとして担保するうえで有効です。共通ルールの文書化と、運営を担う地域団体の確保が、次の段階での評価軸になります。

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