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【事例】大阪府泉大津市の部活動地域移行 ─ OZUスポ委託×「部活動にない種目」ダンス・バドミントン新規創設で運動機会を拡大

公開:2026.05.21 更新:2026.05.21
この記事でわかること

・泉大津市が令和6年度から実施する「学校部活動にない種目」ダンス・バドミントンの地域クラブ新規創設モデル
・総合型地域スポーツクラブOZUスポへの運営委託で実現する3中学校横断・低額部費(月1,000円)運営
・既存部活動との競合を避け、運動機会の少ない生徒(部活動未加入者)に新たな選択肢を提供する設計戦略

自治体名 大阪府泉大津市
人口規模 約7.4万人(2024年時点)
中学校数 3校(東陽中学校・誠風中学校・小津中学校)
運営形態 総合型地域スポーツクラブOZUスポ運営型(市から運営委託・大阪府実証事業新規市)
対象競技 ダンス・バドミントン(2部活動)
保護者負担額 月額1,000円(部費)+年間800円(スポーツ安全保険)

取り組みの概要

大阪府泉大津市は、令和6年度から大阪府の地域スポーツクラブ活動体制整備事業(新規実施市)として、「学校部活動にはない地域クラブ活動」を立ち上げ、市内3中学校(東陽・誠風・小津)の生徒を対象にダンスクラブとバドミントンクラブの2クラブを実施している。既存の部活動を地域に移行するのではなく、部活動未加入者など運動機会の少ない生徒に追加の活動機会を提供する設計が最大の特徴。市が総合型地域スポーツクラブ「OZUスポ」(特定非営利活動法人)に運営委託し、OZUスポが派遣講師・指導者の手配と日々の運営を担う。活動場所は旭小学校体育館・泉大津市立総合体育館等の公共施設で、徒歩・自転車での参加を前提とした近距離設計。

特徴的な取り組み

  • 「学校部活動にない種目」での先行展開: 既存の部活動の地域移行ではなく、部活動として設置がない/少ないダンス・バドミントンの2種目を地域クラブとして新規実施。既存部活動との競合を避けて、運動機会の少ない生徒を取り込む戦略。
  • OZUスポへの運営委託モデル: 泉大津市の総合型地域スポーツクラブ「OZUスポ」が運営主体となり、市から委託料を受領→ダンス・バドミントンクラブを運営。市は実績報告を受領するだけで、現場の管理運営はOZUスポが完結。
  • 低額部費による参加ハードルの低減: 月額1,000円・年間スポーツ安全保険800円というシンプルな料金体系。月額制で家計負担を平準化し、参加意思決定を容易にしている。
  • 3中学校横断のエリア型クラブ: 東陽中・誠風中・小津中の3校から生徒を募集する複数校合同型。少子化で単独校では成立しない種目をエリア横断で実現する設計。
  • 市内既存スポーツクラブとしての地域クラブ実績: 平成18年(2018年)に設立されたOZUスポは「だれもが地域でいつでもどこでも参加し、遊び、楽しめるクラブ」を理念に活動しており、地域クラブ運営の知見と実績を活かして部活動地域移行の受け皿として機能している。

課題と解決策

課題 解決策
運動部活動の顧問のなり手不足・技術指導できる人材不足 総合型クラブOZUスポの指導者と派遣講師による専門指導体制を構築
部活動未加入者など運動機会の少ない生徒の存在 既存部活動にないダンス・バドミントンを新規地域クラブとして実施し、運動機会を増加
既存部活動の合同部活動実施に向けた制度整備(大会出場資格等) 既存部活動とは別軸で地域クラブを設計。中学校現状や大会出場資格に合わせた仕組みを段階構築
地域スポーツの財政基盤・活動場所の確保 受益者負担(月1,000円)+行政公的支援の組み合わせで持続可能性を検証。公共施設を活動場所に活用

成果・効果

大阪府実証事業の新規市として、令和6年度から3中学校・2クラブの運用を開始。「学校部活動にはない地域クラブ活動」という設計コンセプトを実証することで、運動機会の少ない生徒(部活動未加入者)への新たな選択肢を提供。実証事業では、地域スポーツクラブが持続的に活動するための仕組みづくり(受益者負担と公的支援のバランス・コスト構造の検証)を進めており、収支構造の見える化が令和7年度以降の本格展開に向けた基盤となっている。総合型クラブOZUスポへの委託は、新たな運営組織を立ち上げる必要がない既存リソース活用型として、他自治体にも応用可能なモデルとして注目される。

出典

→ 原文: 泉大津市公式サイト「泉大津市 部活動運営方針」

→ 大阪府実証事業資料: 大阪府「令和6年度スポーツ庁・文化庁委託事業について」資料(地域クラブ大阪府ポータル)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

泉大津市の最大の特徴は、地域移行の入口を「既存部活動の移行」ではなく「部活動にない種目の新規創設」に設定した点。これにより、既存部活動・中体連大会・教員の働き方改革といった既得権益との衝突を最小化しつつ、運動機会の少ない生徒(部活動未加入者)への新たな選択肢を提供できている。総合型クラブOZUスポを既存リソースとして活用する委託方式も、新組織立ち上げのコストを回避する賢明な選択。3中学校・2種目という最小スケールから始める漸進的アプローチは、人口5〜10万人規模の自治体にとって参考になる。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

「部活動にない種目」アプローチが成立するには、既存の総合型クラブや受け皿団体が存在することが前提となる。総合型クラブが活発でない自治体では、まず受け皿組織を育てる準備期間が必要。また月1,000円という低額部費は短期的には参加ハードルを下げるが、長期的には指導者謝礼・施設使用料・備品費を賄う収支構造が成立するかの検証が必要。実証事業期間中の自治体予算で運営が成り立っても、本格運用フェーズでは値上げか公的補助の増額が課題となる。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

大阪府実証事業の新規市として始まったため、現時点では府の補助金が運営基盤を支える構造。市→OZUスポ→ダンス・バドミントンクラブという委託の流れは透明性が高く、責任所在も明確。一方で、令和7年度以降に府の補助が縮小・終了した場合の自立化シナリオの設計が課題。月1,000円の部費収入だけでは指導者謝礼の十分な確保が難しいため、市独自予算での補完か、参加生徒数の拡大による会費収入増を進めていく必要がある。

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