【事例】愛知県豊川市の部活動地域展開 ─ 受け皿整備を待たず令和9年夏に休日部活動を廃止する段階縮小ロードマップ
・豊川市は令和9年度の3年生引退後に休日部活動を廃止する学年進行型の段階縮小ロードマップを公表
・受け皿整備を待たない廃止先行路線と外部指導者45人体制への拡充が施策の柱
・アンケートで保護者の63%が月2,000円までの負担を許容と定量的に把握し議論を公開
| 自治体名 | 愛知県豊川市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約18.5万人(令和8年6月末時点・住民登録人口) |
| 中学校数 | 市立10校(生徒5,245人・令和6年5月1日時点) |
| 運営形態 | 行政主導(豊川市教育委員会・豊川市部活動検討委員会) |
| 対象競技 | 全部活動(常設運動部12種目132部・常設文化部8種目27部・臨時開設部9種目40部) |
| 保護者負担額 | 未定(市アンケートでは「2,000円まで負担可」とする保護者が63%) |
取り組みの概要
豊川市は令和5年3月から教育委員会内で地域移行に向けた事前会議を重ね(令和5〜6年度で計12回)、令和5年10月に市スポーツ協会・文化団体・PTA・校長会・中体連・吹奏楽連盟などで構成する「豊川市部活動検討委員会」を設置しました。令和6年1月には小学5年生から中学2年生までの児童生徒・保護者・教員を対象とする「休日の部活動のあり方に関するアンケート」を実施。令和7年2月14日の総合教育会議で「令和9年度をもって中学校における休日部活動を廃止する」方針を公表しました。ロードマップは、令和8年度の3年生引退後に休日部活動を月4回から月2回へ縮小し、令和9年度の3年生引退後に廃止する学年進行型の段階縮小です。小学校部活動は令和4年6月の校長会答申を受けて令和5年度に先行廃止しており、中学校はその第2段階にあたります。
特徴的な取り組み
- 受け皿整備を待たない廃止先行路線: 検討の過程では「受け皿にこだわっていると廃止は進まない」「受け皿を全て整えるのではなく、モデル事業として一つのスポーツに絞って少し早めに廃止してみる」といった議論が公開されており、受け皿の完成を待たずに休日部活動の縮小・廃止時期を先に確定させる路線を採っています。
- 外部指導者配置事業の拡充: 外部指導者は令和5年度29名から令和6年度35名(運動部30・文化部5)へ増員。謝金単価は令和7年度に1回4,000円から6,000円へ引き上げ、1回あたりの従事時間も2時間から3時間に延長。令和9年度には45人体制への拡大を予定しています。
- 学年進行方式の段階縮小: 在校生の学年進行に合わせて月4回→月2回→廃止と3年かけて縮小するロードマップを図表で公表し、生徒・保護者が見通しを持てるようにしています。
- 小学校部活動の先行全廃: 令和5年度に小学校部活動と小学校運動競技大会を廃止済み。中学校の休日部活動廃止はこの経験を踏まえた展開です。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 子どもたちの受け皿の確保 | 既存のスポーツ活動団体・文化芸術活動団体や地域企業への受入依頼の可否を検討中 |
| 吹奏楽の活動拠点・楽器保管場所 | 拠点となる学校の音楽室利用に向けた警備システム改修等を検討 |
| 休日部活動への教員の関与意向が低い(関わりたい派は兼職兼業を含めても14%) | 教員に依存しない外部指導者体制の拡充(45人体制へ増員予定・単価と従事時間を引き上げ) |
成果・効果
方針決定段階のため移行そのものの成果数値はまだありませんが、外部指導者35名は市立10校すべてに配置されています。アンケートでは、費用負担が発生する場合「2,000円までなら出せる」という保護者が63%、休日部活動が地域で行われた場合に「参加したい」と答えた生徒は33%で、参加したい活動像の最多は「勝敗や入賞にこだわらず、気軽に楽しめる」(3,070人)でした。検討委員会では「子どもたちの受け皿に見通しが立たない中で、方向性を打ち出すのは時期尚早」という批判的意見も議事録で公開されており、議論の透明性が高いことも特徴です。
出典
→ 原文: 休日の中学校部活動の段階的な地域連携について(令和7年2月・豊川市総合教育会議 資料)
→ 参考: 令和6年度第2回豊川市総合教育会議 議事録(令和7年2月14日)
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