トップ 事例を探す 愛知県 【事例】愛知県豊川市の部活動地域展開 ─ 受け皿整備を待たず令和9年夏に休日部活動を廃止する段階縮小ロードマップ
全種目 👥 10~30万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 愛知県

【事例】愛知県豊川市の部活動地域展開 ─ 受け皿整備を待たず令和9年夏に休日部活動を廃止する段階縮小ロードマップ

公開:2026.08.11 更新:2026.08.10
この記事でわかること

・豊川市は令和9年度の3年生引退後に休日部活動を廃止する学年進行型の段階縮小ロードマップを公表
・受け皿整備を待たない廃止先行路線と外部指導者45人体制への拡充が施策の柱
・アンケートで保護者の63%が月2,000円までの負担を許容と定量的に把握し議論を公開

自治体名 愛知県豊川市
人口規模 約18.5万人(令和8年6月末時点・住民登録人口)
中学校数 市立10校(生徒5,245人・令和6年5月1日時点)
運営形態 行政主導(豊川市教育委員会・豊川市部活動検討委員会)
対象競技 全部活動(常設運動部12種目132部・常設文化部8種目27部・臨時開設部9種目40部)
保護者負担額 未定(市アンケートでは「2,000円まで負担可」とする保護者が63%)

取り組みの概要

豊川市は令和5年3月から教育委員会内で地域移行に向けた事前会議を重ね(令和5〜6年度で計12回)、令和5年10月に市スポーツ協会・文化団体・PTA・校長会・中体連・吹奏楽連盟などで構成する「豊川市部活動検討委員会」を設置しました。令和6年1月には小学5年生から中学2年生までの児童生徒・保護者・教員を対象とする「休日の部活動のあり方に関するアンケート」を実施。令和7年2月14日の総合教育会議で「令和9年度をもって中学校における休日部活動を廃止する」方針を公表しました。ロードマップは、令和8年度の3年生引退後に休日部活動を月4回から月2回へ縮小し、令和9年度の3年生引退後に廃止する学年進行型の段階縮小です。小学校部活動は令和4年6月の校長会答申を受けて令和5年度に先行廃止しており、中学校はその第2段階にあたります。

特徴的な取り組み

  • 受け皿整備を待たない廃止先行路線: 検討の過程では「受け皿にこだわっていると廃止は進まない」「受け皿を全て整えるのではなく、モデル事業として一つのスポーツに絞って少し早めに廃止してみる」といった議論が公開されており、受け皿の完成を待たずに休日部活動の縮小・廃止時期を先に確定させる路線を採っています。
  • 外部指導者配置事業の拡充: 外部指導者は令和5年度29名から令和6年度35名(運動部30・文化部5)へ増員。謝金単価は令和7年度に1回4,000円から6,000円へ引き上げ、1回あたりの従事時間も2時間から3時間に延長。令和9年度には45人体制への拡大を予定しています。
  • 学年進行方式の段階縮小: 在校生の学年進行に合わせて月4回→月2回→廃止と3年かけて縮小するロードマップを図表で公表し、生徒・保護者が見通しを持てるようにしています。
  • 小学校部活動の先行全廃: 令和5年度に小学校部活動と小学校運動競技大会を廃止済み。中学校の休日部活動廃止はこの経験を踏まえた展開です。

課題と解決策

課題 解決策
子どもたちの受け皿の確保 既存のスポーツ活動団体・文化芸術活動団体や地域企業への受入依頼の可否を検討中
吹奏楽の活動拠点・楽器保管場所 拠点となる学校の音楽室利用に向けた警備システム改修等を検討
休日部活動への教員の関与意向が低い(関わりたい派は兼職兼業を含めても14%) 教員に依存しない外部指導者体制の拡充(45人体制へ増員予定・単価と従事時間を引き上げ)

成果・効果

方針決定段階のため移行そのものの成果数値はまだありませんが、外部指導者35名は市立10校すべてに配置されています。アンケートでは、費用負担が発生する場合「2,000円までなら出せる」という保護者が63%、休日部活動が地域で行われた場合に「参加したい」と答えた生徒は33%で、参加したい活動像の最多は「勝敗や入賞にこだわらず、気軽に楽しめる」(3,070人)でした。検討委員会では「子どもたちの受け皿に見通しが立たない中で、方向性を打ち出すのは時期尚早」という批判的意見も議事録で公開されており、議論の透明性が高いことも特徴です。

出典

→ 原文: 休日の中学校部活動の段階的な地域連携について(令和7年2月・豊川市総合教育会議 資料)
→ 参考: 令和6年度第2回豊川市総合教育会議 議事録(令和7年2月14日)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

全国の多くの自治体が「受け皿構築→移行」の順で進める中、豊川市は「廃止時期の確定→受け皿は並行整備」という逆順を選びました。廃止期限が先に確定していることで、関係団体や保護者の検討が本気になる効果が期待できる一方、期限までに受け皿が育たないリスクを市が引き受ける構図です。「受け皿にこだわっていると廃止は進まない」という議論そのものを議事録で公開している点も含め、意思決定の割り切り方と透明性の両立が参考になります。学年進行方式の段階縮小は、在校生の不利益を抑えながら移行する設計としてよく練られています。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

廃止先行型は「受け皿がないまま子どもの活動機会が失われるのでは」という保護者の不安と正面からぶつかります。豊川市は小学校部活動の全廃を先に経験しており、市民が「廃止」という選択肢を現実のものとして受け止める下地がありました。この経験がない自治体がいきなり中学校で廃止期限を切ると反発が大きくなります。導入する場合は、アンケートで負担許容額や活動ニーズを定量化し、批判的意見も含めて議事録を公開する豊川市の姿勢をセットで移植することが不可欠です。吹奏楽など施設・楽器に紐付く文化部の扱いを早期に検討することも重要です。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

総合教育会議・検討委員会の資料と議事録が全文公開され、市長・教育長の発言まで追える透明性は高い水準です。外部指導者予算は350万円→525万円→675万円(予定)と段階的に増額されており、財源の裏付けも示されています。一方、休日の受け皿となる運営主体・費用負担は未確定で、令和9年夏の廃止期限までに制度設計が間に合うかが持続可能性の焦点となります。

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