トップ 事例を探す 愛媛県 【事例】愛媛県西条市の部活動地域展開 ─ 県の「みきゃんクラブ(仮称)」と連携する7年ロードマップで令和10年度末に休日全部活動の地域展開へ
全種目 👥 10~30万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 愛媛県

【事例】愛媛県西条市の部活動地域展開 ─ 県の「みきゃんクラブ(仮称)」と連携する7年ロードマップで令和10年度末に休日全部活動の地域展開へ

公開:2026.08.01 更新:2026.08.01
この記事でわかること

・令和7〜13年度の7年間を1枚に落とし込み、国・県・市の取組を同じ時間軸で公開
・令和10年度末に休日、令和13年度末に平日の全部活動地域展開という2段階の到達目標
・県の「みきゃんクラブ(仮称)」との連携を計画に組み込み、広域で解く課題を明示

自治体名 愛媛県西条市
人口規模 約10.4万人(2024年11月1日時点の住民登録人口:103,579人・50,894世帯)
中学校数 10校(西条東・西条西・西条南・西条北・東予東・東予西・河北・丹原東・丹原西・小松の各中学校)
運営形態 検討段階。市町の取組としてコーディネーター配置と運営団体・実施主体の体制整備を進め、令和11年度以降は県が構築する「みきゃんクラブ(仮称)」と連携する枠組み
対象競技 全部活動(運動部・文化部)。文化部活動に関するガイドライン(仮称)の策定時に方針を見直すと明記
保護者負担額 未定。ロードマップに財源確保の取組として「受益者負担と公費負担のバランス研究」「地元企業等の協賛金の可能性を探索」「経済的困窮者等の支援」が位置づけられている

取り組みの概要

愛媛県西条市は、令和8年2月の第6回学校部活動地域展開(移行)検討委員会で「部活動地域展開の実現に向けた西条市のロードマップ(案)」を示しました。令和7年度から令和13年度までの7年間を1枚の図に落とし込み、国の改革実行期間・県の取組・市の取組を同じ時間軸に並べた構成です。

市の取組は3段階です。令和7年度に「(仮)西条市の新しい学校部活動の在り方に関する方針」と方針に基づく推進計画を策定し、令和8〜10年度を「具体的体制構築期間」として受け皿づくり・指導者確保・財源確保を並行して進め、令和10年度末に全部活動の休日の地域展開を実現します。続く令和11〜13年度を「地域展開実行期間」と位置づけ、令和13年度末に全部活動の平日の地域展開を実現するという道筋です。

検討委員会は令和5年2月17日の第1回から令和8年2月16日の第6回まで開かれ、各回の資料が公開されています。第6回の議事は「西条市の部活動における地域展開の方針について」と「地域展開の実現に向けたロードマップについて」の2本でした。

並行して市教育委員会は市校長会と連携し「西条市の部活動の在り方に関する方針」を策定、11月から運用を開始しました。休養日・活動時間・大会参加・部活動数の適正化までを定めた学校側のルールと、地域展開のロードマップを別建てで整備している点が特徴です。

特徴的な取り組み

  • 国・県・市を同じ時間軸に並べたロードマップ: 国の改革実行期間を前期(令和8〜10年度)と後期(令和11〜13年度)に分け、県の取組と市の取組をその下に並べた1枚図を公開しています。県が令和10年度末までに県内全ての部活動で休日の地域展開を実現し、令和11年度以降は平日も含めた拡充・持続化に移るという県の工程と、市の「具体的体制構築期間」「地域展開実行期間」が対応する構成です。
  • 県の「みきゃんクラブ(仮称)」を連携先に明記: 愛媛県は市町連絡協議会のスキームを「みきゃんクラブ」へ移行し、県と市町の包括的な協働体制を整備する方針です。西条市のロードマップは、令和11年度以降の地域展開実行期間の中心に「(県)みきゃんクラブとの連携」を据え、単独市では解決しきれない課題を広域連携で処理する前提を明示しています。
  • 市町の取組を5分野に分解: 市町の主な取組として、体制構築(コーディネーターの配置、運営団体・実施主体の体制整備)、指導者確保(地域人材の発掘、地域クラブへの指導者マッチング)、財源確保(受益者負担と公費負担のバランス研究、地元企業等の協賛金の可能性を探索、経済的困窮者等の支援)、普及啓発(周知イベントや体験会等の開催、学校及び地域向け説明会の開催)、地域モデルの創出(実情に応じた移動手段の研究、地域独自の活動の研究)の5分野が示されています。
  • 休養日・活動時間を数値で規定した学校側の方針: 「西条市の部活動の在り方に関する方針」は、学期中は週当たり2日以上の休養日を設け、うち平日は少なくとも1日、土曜日および日曜日は少なくとも1日以上とすると定めています。週末に大会参加等で活動した場合は休養日を他の日に振り替えます。活動時間は平日が長くとも1日2時間程度で下校時刻を厳守、学校の休業日や長期休業中の週末は1日3時間程度です。
  • 組織する部活動数の適正化を方針に明記: 生徒や教職員の数、校務分掌、部活動指導員の配置状況等を踏まえ、指導内容の充実・生徒の安全確保・教職員の長時間労働の解消等の観点から部活動を実施できるよう、適正な数の部活動を組織すると定めています。同時に、校長は自校の生徒の実態や運動部活動の状況を踏まえ、生徒がスポーツに求める多様な欲求を満たす活動を行える環境を整えることも考えるとしています。
  • 合同部活動を学校間連携の枠組みで位置づけ: 単一の学校で特定種目の部活動を設けることができない場合は、学校の方針や学校間の連携・協力を第一とし、中学校体育連盟の編成規程に則り合同部活動等の取組を支援すると教育委員会の取組に明記しています。地域展開の前段として、学校間連携で活動機会を維持する道筋を残す設計です。

課題と解決策

課題 解決策
受け皿となる団体も指導者も財源も同時に不足しており、どれか1つだけ整えても移行できない 令和8〜10年度を「具体的体制構築期間」とし、受け皿づくり・指導者確保・財源確保を並行して進める期間として明示。あわせて「地域展開に向けての課題解決期間」を同じ期間に重ねる
単一の市町では受け皿や指導者を確保しきれない種目がある 県が市町連絡協議会のスキームを「みきゃんクラブ(仮称)」へ移行し、県と市町の包括的な協働体制を整備。広域連携の強みを生かして市町の課題解決を後押しする
受益者負担を増やせば参加できない生徒が出る 財源確保の取組として、受益者負担と公費負担のバランス研究、地元企業等の協賛金の可能性の探索、経済的困窮者等の支援の3点をロードマップに位置づける
単一の学校では特定種目の部活動を設けられない 学校の方針や学校間の連携・協力を第一とし、中学校体育連盟の編成規程に則って合同部活動等の取組を教育委員会が支援する
地域展開の内容が保護者や地域に伝わらない 普及啓発として周知イベントや体験会等の開催、学校および地域向け説明会の開催をロードマップの取組項目に入れる。あわせて方針の概要版とチラシを公開している

成果・効果

令和8年時点ではロードマップが案の段階であり、参加者数などの実績値は公表されていません。確定しているのは、令和10年度末に全部活動の休日の地域展開、令和13年度末に全部活動の平日の地域展開という2つの到達目標と、それに向けた期間区分です。

学校側の方針は既に運用が始まっており、休養日は学期中で週2日以上(平日1日以上・土日1日以上)、活動時間は平日2時間程度・休業日3時間程度という数値基準が全10校に適用されています。方針は各校の部活動の状況や国・県の方針の変更等を勘案して必要に応じて見直すこと、文化部活動に関するガイドライン(仮称)の策定時にも見直すことが明記されています。

出典

→ 原文: 西条市「部活動検討委員会の設置について」(各回の検討会資料)

→ 原文: 部活動地域展開の実現に向けた西条市のロードマップ(案)PDF

→ 原文: 西条市「中学校の部活動が大きく変わります(西条市の部活動の在り方に関する方針)」

→ 原文: 西条市の部活動の在り方に関する方針【概要版】(西条市教育委員会)PDF

→ 原文: 西条市統計データ(2025年版)「11. 世帯数、人口の推移」

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域展開・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

西条市のロードマップが実務的に優れているのは、国・県・市の3層を同じ時間軸に並べ、どの期間にどの主体が何をするかを1枚で示した点です。地域展開の計画は往々にして「令和何年度から移行」という到達点だけが独り歩きしますが、西条市は令和8〜10年度を体制構築、令和11〜13年度を実行と明確に切り分け、体制構築期間に受け皿・指導者・財源の3本を並列に置きました。この3本のどれか1つでも欠ければ移行は成立しないため、並列に配置したこと自体がリスク管理として機能しています。県の「みきゃんクラブ(仮称)」を連携先として計画に書き込んだ点も、市単独では解けない課題を先に県へ寄せる整理として合理的です。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

この構成を移植するときの前提は、県側に受け皿となる広域スキームが存在することです。愛媛県のように県が市町連絡協議会を発展させた協働体制を用意している場合は市の計画に組み込めますが、県の動きが遅い地域では「広域連携で解決する」と書いた部分が空欄のまま残ります。県の工程が未確定な自治体は、広域に寄せる課題と単独で処理する課題を先に仕分けし、単独分だけでも成立する最小構成を用意しておく必要があります。また、西条市は学校側の方針(休養日・活動時間・部活動数の適正化)を地域展開とは別建てで先に運用開始しており、地域展開が遅れても教員の負担軽減は進む二本立てになっている点も、移植時に見落とさない方がよい設計です。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

検討委員会を令和5年2月から令和8年2月まで6回開催し、各回の資料を公開していること、方針を市校長会と連携して策定し概要版とチラシまで用意していることは、透明性と現場合意の両面で評価できます。方針に「各校の部活動の状況や国・県の方針の変更等を勘案して必要に応じて本方針を見直す」という改定条項を置いた点も、7年計画を運用するうえで現実的です。一方、財源は「受益者負担と公費負担のバランス研究」という検討段階にとどまり、保護者負担の水準はまだ示されていません。体制構築期間の3年間で協賛金や公費の裏づけを具体化できるかが、令和10年度末の目標達成を左右します。

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